「はとバス」での労働条件の改善を

「週5日働いていたのに、コロナでの休業補償が週1日分しか支払われていない」。東京都の事業協力団体である「はとバス」の労働者からの訴えをうけ、きちんと指導・監督するように求めました。(2021年11月25日、公営企業委員会)

目次

東京都には、指導監督する責任がある

〇斉藤委員 最後に、交通局の事業協力団体、はとバスでの労働環境について伺います。

 株式会社はとバスは、都が展開する政策の一端を担うなど、都と事業協力を行う事業協力団体として位置づけられています。

 東京都政策連携団体の指導監督等に関する要綱では、事業協力団体に対して交通局はどのように関与するとされているでしょうか。

◯土岐次長 東京都政策連携団体の指導監督等に関する要綱では、局長等は、事業協力団体に対しまして、法令その他の規程に定めるところにより適切な関与を行うほか、当該団体との協力強化に向け、必要な関与を行うものとされております。

 また、局長等は、毎年度、事業協力団体の運営状況につきまして総務局長に報告するものとされており、事業協力団体に対し、その運営状況について適宜報告を求めております。

◯斉藤委員 東京都政策連携団体の指導監督等に関する要綱、これでは、局長等は、事業協力団体に対して、法令その他の規程に定めるところによって適切な関与を行うほか、必要な関与を行うものとされているということです。つまり交通局は、事業協力団体に対して、指導監督する立場で、適切で必要な関与を行うということです。

非正規の職員から、コロナでの休業補償が極端に少ないという訴えが

〇斉藤委員 はとバスで非正規雇用で働いている方から相談をいただきました。コロナの感染拡大になる前は、勤務日数は週四日という契約で、実際には週五日間働いて、その分のお給料が支払われてきたといいます。

 しかし、二〇二〇年の四月一日から、コロナのときですね、二〇二〇年四月一日からの契約更新のときに、勤務日は週一日とするという条件に変えられてしまったということです。その方は、その旨を前日の三月三十一日に会社から説明され、十分に考えることができなかったということ、また、ほかの非正規雇用の方々と同様に、コロナだから仕方がないのかなと思ったということもあり、その契約書にサインをしてしまったということでした。

 しかし、その下で起きたことがひどいことでした。正社員には、休業補償やボーナスの支給もあるのに、非正規職員、非正規雇用の方々には、その新しく結ばれた週一日という計算でしか休業補償が支払われなかったということです。

 まず伺いますが、新型コロナの感染拡大が始まった二〇二〇年春以降に、はとバスがこのように非正規雇用の労働者に対して不利益な条件の雇用契約に切り替えている実態について、交通局は把握しているのでしょうか。

◯土岐次長 雇用形態や労働条件等を含め、従業員の雇用に関しましては、法令等で定められた基準や手続に基づき、会社がその責任において適切に対応しているものと認識してございます。

◯斉藤委員 会社がその責任において適切に対応しているものと認識しているというご答弁なので、交通局は知らなかったということでしょうし、今後も関係ないといっているような非常に無責任な答弁だと私は思います。

 実質的に週五日間働いてきて、契約更新を続けて十五年近くも勤務をしてきた方ですけれども、週にたった一日分の休業補償しかもらえないという状況で、どうやって生活していくことができるんでしょうか。都の事業協力団体で、こうした労働者へのひどい処遇を許してはならないというふうに思います。

契約時に休日や労働時間などの労働条件が示されなかった、との訴えも

〇斉藤委員 さらに伺います。

 無期雇用への転換を希望した労働者に対して、はとバスが、二〇二〇年十月、昨年ですね、十月一日付で出した労働条件の書類には、勤務日について、勤務シフトによるという記載になっていたということでした。これは、労働基準法の第十五条に定められた明示すべき労働条件、具体的には、休日や労働時間について記載がなく、使用者が好きなようにできてしまうという中身です。このことについて、労働者が労働基準監督署に訴えた際に、これはおかしいという判断になり、はとバスに対して助言指導が行われたということです。

 はとバスが、非正規雇用の労働者に対して、こうした勤務日について、勤務シフトによるという明示すべき労働条件を示さない書面を提示して、労働基準監督署から助言指導されているというこの事実について、交通局は把握しているのか伺います。

◯土岐次長 会社に確認いたしましたが、そのような労働局の助言はないと聞いております。

◯斉藤委員 会社はそのような助言はないといっているということですが、私が当事者から伺っている話とは食い違います。もう一度、確認をしっかりしていただきたいというふうに思います。

 私は、労基署にも確認しました。労基署は、個別の案件について助言指導を行ったかどうかは第三者には教えないということになっていますが、ただ、一般論として、はとバスが出したような勤務日や労働時間の定めのないような書類を労働者に提示することは、労働基準法第十五条に反するものだと明言していました。労働条件を明示しない会社はブラック企業である可能性が高いので注意しましょう、こういう労働者向けの注意喚起もネットで見られるくらい、典型的な悪い例だと思います。

 さらに、労基署の方からは、コロナに当たって労働者に契約の不利益変更を行って休業補償を出さないようにする会社は、残念ながらありますというふうにいっていました。私は、東京都交通局事業協力団体がこのようなブラック企業のような状況になっているということは、看過できない重大な問題だというふうに思います。

 東京都の事業協力団体であり、交通局とのつながりの深いはとバスに、非正規雇用の労働者に不利益な契約や労働条件を押しつけるのをやめさせ、コロナ前の労働実績に基づいて休業補償を遡って行うことを交通局として指導するべきですが、見解を伺います。

◯土岐次長 従業員への休業補償を含めました労働条件につきましても、繰り返しになりますが、法令等で定められた基準や手続に基づきまして、会社がその責任において適切に対応するものと考えております。

◯斉藤委員 繰り返しの答弁なんですね。

 ちょっと申し訳ないんですけど、もう一回質問させてもらいたいんですけど、これまで、はとバスのこのようなブラックな状況について質疑をしてきましたが、交通局は、これでもなお、はとバスが従業員の雇用に関して適切に対応していると認識しているといえるんでしょうか。少なくとも確認する必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

◯土岐次長 はとバスの従業員の雇用に関しましては、同社と従業員との間で労働条件等を決定すべきものであり、交通局がお答えする立場にはございません。

◯斉藤委員 あくまでも確認するということさえいえないということは、私、本当に重大だと思います。交通局の姿勢が問われるというふうに私は思います。

 少なくとも、しっかりと交通局として実態を把握する必要があるというふうに思います。

 当事者の方は、はとバスから提示された書類などは手元に残しています。そうしたものも含めて、交通局として確認をするべきだというふうに思います。

 はとバスの問題については、我が党の大山委員が今年の三月にも質疑をしています。パワハラの問題があり、このときも、東京労働局から、はとバスの営業所に助言指導がされているということでした。

 さらに、そのときに大山委員から指摘がありましたけれども、はとバスの代表者は、歴代元交通局長が務めてきました。今は、元主税局長が代表取締役社長になっています。こうした事業協力団体が労働者にひどい処遇を行うブラックな状況だということは恥ずかしいことではないでしょうか。いつも代表者に元局長を送り込んできた交通局として無関係だとはいえないんじゃないでしょうか。

 この指導監督等に関する要綱に照らして、責任放棄をせず、適切な関与、必要な関与を行い、東京都としての責任を果たすべきです。そのことを強く求めて、質問を終わります。

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