定時制高校の存続を求める都民の声にこたえ、募集停止をやめよ

東京都は定時制高校を次々に廃止し、都立・立川高校の定時制について、2025年度からの募集停止を打ち出しました。多様な背景をもつ人たちから、切実に求められる定時制の存続を求め、追求しました。(2024年5月28日、文教委員会)

目次

定時制高校の今日的な意義を、どう認識しているのか

◯斉藤委員 都立立川高等学校定時制課程の募集停止の予告を取り消すことに関する陳情について、質問いたします。

 都教育委員会は、平成二十八年、二〇一六年に発表した都立高校改革推進計画において、都立立川高等学校定時制を含む四つの都立高校の定時制課程を閉課程することに決めています。

 小池都知事が就任して以降、夜間定時制を守ってほしいという多くの声が繰り返し届けられてきましたが、都教育委員会は、こうした声に耳を傾けずに閉課程の強行を続けています。都立雪谷高校と都立江北高校の二つは、既に廃校となってしまいました。

 今回は、都立立川高校定時制課程について、昨年十月に二〇二五年度からの募集停止の予告が出された下で、この取消しを求める陳情が出されました。

 こうして繰り返して都民の陳情が出されるのは、夜間定時制が、困難を抱える子供たちにとって、学びのセーフティーネットとしての貴重な役割を担っているからだというふうに思います。今こそ、夜間定時制が持つ今日的意義を再確認していかなくてはいけないというふうに強く感じています。

 そこでまず、その役割についての認識から伺っていきたいと思います。

 二〇二一年三月の予算特別委員会での立川高校定時制についての我が党の質問に対して、当時の藤田前教育長は、立川高校定時制ではこれまでも、個々の生徒の状況に応じたきめ細かい学習指導を行っており、入学した生徒たちを卒業まで、一人一人自信を持たせ、進路実現を図る教育活動を展開してきておりますと、閉課程が決まった後でも、その役割について重要な答弁をしています。

 まず最初に、教育長にお伺いしたいと思います。

 浜教育長も、このときの認識と同じ認識をお持ちでしょうか。ご答弁お願いします。

◯猪倉高校改革推進担当部長 同様の認識でございまして、立川高校定時制課程も含め、全ての都立高校では、生徒の希望する進路の実現に向けて、そのニーズや実情に応じた学習指導を行っているものと認識しております。

◯斉藤委員 繰り返し都民の方々から声が寄せられている、こうした基本的な認識について、私は浜教育長に答弁を求めているんですけれども、これに答えないというのは大変残念です。

 さらに伺います。質問を換えて、もう一回伺います。

 小池都知事も、夜間の定時制高校について答弁しています。今日では、不登校を経験した生徒、そして外国人の生徒などの学びの場となっている、そして、きめ細やかな指導を行うなど、社会人としての自立を促す、その上で重要な役割を果たしていると認識をいたしておりますという小池都知事の答弁です。

 この知事の答弁と同じ認識をお持ちか、浜教育長、ぜひご答弁お願いします。

◯猪倉高校改革推進担当部長 立川高校定時制課程も含め、全ての都立高校では、生徒の希望する進路の実現に向けて、そのニーズや実情に応じた学習指導を行っているものと認識しております。

◯斉藤委員 今日も傍聴者の方もたくさんおられる中で、本当に繰り返しこの声が届けられていて、こういうことに教育長が答弁されないというのは、本当に私は重大な姿勢だというふうに思います。

 今ご答弁で、立川高校定時制を含めて、全ての都立高校ではというご答弁なんですけれども、知事も、前教育長の藤田教育長も、前教育長も、立川定時制高校について、きちんと答弁をしています。きめ細やかな指導の下に、一人一人に自信を持たせる、また、社会人としての自立を促す、その上で重要な役割を果たしているという認識を示しているんですね。こういうことをきちんと捉えて、さらに今日的意義を再確認していくということが重要だというふうに思います。

給食の無償化も、定時制の教育を充実させる力に

〇斉藤委員 夜間定時制といえば学校給食がありますけれども、これまでは有料で、立川高校定時制でも、年間、注文をしますと約八万円くらいかかるということもあって、どの夜間定時制でも喫食率が低いということが課題になっていました。

 しかし、今年度に無償になってから、私は幾つかの夜間定時制の先生方にお話を伺いましたけれども、給食を食べる生徒が増えているというふうに聞いています。

 立川高校定時制では、昨年五月と今年の五月を比べて、実際に予約数にどのような変化があったのか、伺います。

◯猪倉高校改革推進担当部長 立川高校定時制課程では、令和五年五月の給食の予約数は、一日当たり約五十人、令和六年五月は、一日当たり約九十人となってございます。

◯斉藤委員 昨年度が約五十人だったところ、今年度は約九十人と、人数比で一・八倍になっているということですけれども、在校生の数も後から伺いますけれども、在校生の数に対する割合でいうと、昨年が三割ぐらいだったのに比べて、今年度は、六割以上の割合で二倍以上に増えているということが分かります。本当によかったなというふうに思います。

 ある夜間定時制の先生からは、無料になったから食べるという生徒がいたということや、栄養価があっておいしいと評判の給食をたくさん食べてもらえるのはうれしい、もっと早くやってくれたらよかったのにと思うくらいだというお話も伺いました。

 さらに、立川高校定時制ではアルバイトをしている生徒も多く、約五割の生徒がアルバイトをしているというふうに聞いています。仕事で疲れて学校に来て、栄養価のある食事をお金の心配なく食べることができるというのは、成長期の子供たちの健康を支える上でも大きな役割を発揮していくものだというふうに思います。

立川高校の定時制について、現状や意義をとらえて存続を

その1 都内の普通科では最大規模で、交通の便もよい

〇斉藤委員 次に、立川高校定時制課程の現状について確認をしたいと思いますが、今年度の立川高校定時制の入学者数と、一年から四年までの在籍数について伺います。

◯猪倉高校改革推進担当部長 今年度の立川高校定時制課程の入学手続人員は、定員六十人に対して二十七人でございます。

 学校によれば、令和六年五月一日現在の一年から四年までの生徒数の合計は百四十人でございます。

◯斉藤委員 今年度は、合計で百四十人の生徒が在籍しているということです。募集停止予告がされても、なお多くの生徒が入学しているということです。

 では、立川高校定時制課程よりも生徒数が多い普通科の夜間定時制課程はあるのか、伺います。

◯猪倉高校改革推進担当部長 立川高校定時制課程よりも生徒数が多い普通科の夜間定時制課程はございません。

 なお、令和五年五月一日現在の夜間定時制課程の生徒数について見ると、普通科では立川高校が百六十一人となっている一方、工業科の工芸高校では二百七十六人、総合学科の青梅総合高校では百六十一人となってございます。

◯斉藤委員 立川高校の定時制よりも生徒数が多い普通科の夜間定時制課程はないというご答弁です。

 今、工芸高校や総合科の定時制の答弁もありましたけれども、そもそも学ぶ内容が違うので、普通科に代われる学校ではありません。

 立川高校定時制というのは、それだけ多くの方が希望されている。特に、多摩地域の広範囲から生徒が集まっている学校です。ここが廃校になれば、中央線沿線の夜間定時制がなくなり、生徒たちが通いやすい学校がなくなってしまいます。

 夜間定時制課程で教えていたある先生は、経済的な困難を抱えている生徒も多い夜間定時制課程が身近な範囲にあることが重要だというふうにいっています。生徒が定期代を払えないことがあって、テストの日に八時間かけて歩いて学校に来たということもあったそうです。自転車で通える範囲に学校があって、身近に通いやすいことが重要だというお話でした。

 立川のように交通の要衝であるということも、通いやすい条件として重要です。

 学校規模も大きく、通いやすい立川高校の定時制が、なぜ閉課程なんだという疑問の声が繰り返し寄せられてきましたが、都教委は、納得のいく理由を示していません。

 なぜ昨年十月に立川高校定時制の募集停止を予告したのか、その理由について伺います。

◯猪倉高校改革推進担当部長 平成二十八年二月に策定いたしました都立高校改革推進計画・新実施計画におきまして、生徒や保護者などのニーズの高い昼夜間定時制高校とチャレンジスクールの夜間部の規模拡大やチャレンジスクールの新設を行い、その進捗や、夜間定時制課程の応募倍率の推移などの状況を考慮しながら、一部の夜間定時制課程を閉課程していくことといたしました。

 平成二十八年以降これまで、生徒等のニーズに応じて、チャレンジスクールの新設や夜間部の規模拡大を行ってまいりましたが、夜間定時制課程については、応募倍率が低い状態が続いてございます。

 こうした状況を踏まえ、不登校経験のある生徒の増大など、困難を抱える生徒のニーズに応えられる受入れ環境を充実するため、令和七年度に、立川高校定時制課程から徒歩圏内にある立川地区チャレンジスクールの新設及び砂川高校の受入れ規模を拡大するとともに、立川高校夜間定時制課程については、生徒募集を停止する予定でございます。

◯斉藤委員 これまでも繰り返されておりますけれども、ご答弁のとおり、都立高校改革推進計画、今は第二次の計画になっていますが、この中で夜間定時制課程の一部閉課程について、おっしゃるとおり、チャレンジスクールの新設やチャレンジスクールと昼夜間の定時制高校の夜間部の規模拡大を行い、その進捗や、夜間定時制課程の応募倍率の推移を考慮しながら、一部の夜間定時制課程を閉課程しますとしているんですね。

 しかし、現状では、立川地区のチャレンジスクールの新設や昼夜間の定時制高校の砂川高校三部の増学級の前に立川高校定時制の募集停止予告を行っています。

 今年度も、ほかの全日制課程の高校にも匹敵するような生徒の在籍数がある立川高校定時制に対して、この段階で募集停止の予告を出すには、あまりに拙速ではないでしょうか。

その2 不登校の子にとって、入りやすい学校であることが安心に

〇斉藤委員 今、生徒からのニーズということもおっしゃいましたけれども、これだけのニーズがある立川高校定時制に、このニーズがあるということをどう認識しているのでしょうか。ご答弁お願いします。

◯猪倉高校改革推進担当部長 夜間定時制課程の入学者選抜の状況は、平成二十八年度から令和六年度までにかけまして、募集人員は八百十人減少しておりますが、第一次募集の応募倍率については、平成二十八年度の〇・三八倍から令和六年度の〇・三一倍へと低下しております。

 第一次募集の応募者数につきましても、平成二十八年度の九百十二人から、令和六年度は五百七人と減少しており、さらに、二次募集における応募者が平成三十年度以降大幅に減少し、入学者の減少が顕著となってございます。

 こうした状況を踏まえまして、不登校経験がある生徒の増大など、困難を抱える生徒のニーズに応えられる受入れ環境を充実するため、令和七年度に、立川高校定時制課程から徒歩圏内にある立川地区チャレンジスクールの新設及び砂川高等学校の受入れ規模拡大を予定するとともに、立川地区チャレンジスクールの近隣にございます立川高校夜間定時制課程につきましては、生徒募集を停止する予定でございます。

◯斉藤委員 今、応募倍率について詳しく数字のご説明がありましたけれども、私、ここでいいたいのは、そういう数字の問題だけで考えていくのでは、本当に現場に寄り添うものにならないということ、それを認識していただきたいと思うんです。

 応募倍率が低いということを、そのことが悪いことだということで、いつもいわれるのですけれども、倍率が低いということは、不安を抱えている生徒が誰でも入れるという環境だということにもなっているんです。

 生徒や保護者にとって、中学校で不登校などを経験したときに、高校はどこに行けるんだろうかということが大きな不安になります。

 実際に中学校で不登校を経験して立川高校定時制を卒業した方からのお話を聞きましたけれども、学校に行っていなかった自分が行ける高校があるのだろうかと不安だった、しかし、立川高校の定時制に入れるということを知って安心したということです。受検をして受からなかったら、また傷ついてしまう、そう思うと不安で、立川高校の定時制を選んだということでした。実際に入って、先生たちが寄り添って対応してくれた中で、四年間通い切ることができて、自信を持つことができたという生徒さんなんです。

 また、別の夜間定時制の先生からもお話を伺いましたけれども、やはり不登校を経験した生徒やその保護者は、入れる高校があるのかと心配になって、追い詰められることが多いということなんです。夜間定時制高校があるよということが分かると、親子ともに安心に思ってもらえるということなんですね。

 不登校の生徒たちが今増えている中、チャレンジスクールですとか、いろいろ手だてを考えて充実させるということは重要だと思いますが、定時制がその役割を果たしていないということではないんです。試験があって、入れない可能性がある高校、それでは不安だという、そういう子たちもいるということを、ぜひここで改めて知っていただきたいと思うんですね。

 つまずいたり、傷ついたり、不安を抱えた子供たちが安心して誰でも入れる学校があるということが重要なんだということ、先生もお話ししてくださいました。

 入る人数や効率性の視点ばかりで応募倍率を見るということではなくて、生徒にとって入りやすい学校があること、これがまさに子供たちの学びのセーフティーネットになっているんだということ、改めて目を向けていただきたいというふうに思います。

その3 年輩者ふくめ、幅広い世代の方々とともに学べる場に

〇斉藤委員 さらに伺います。夜間定時制課程は、社会人にとっても入りやすいということも、学び直しをしたいという方々からのニーズに応える学校になっています。

 そこで伺いますが、立川高校定時制には、二十歳以上の生徒は何人いますか。

◯猪倉高校改革推進担当部長 立川高校定時制課程につきましては、学校によれば、現在、九割以上が十代の生徒であり、二十歳以上の生徒は一割未満となってございます。

◯斉藤委員 九割以上が十代の生徒で、二十歳以上の生徒は一割未満、今年度についてお答えいただいたのですが、具体的な数字はお答えがありませんでした。

 昨年度の立川高校定時制の学校要覧を見ますと、二十代以上の生徒は、昨年度は二十人いらして、一割以上いらっしゃいました。五十歳以上の生徒もいらっしゃいました。

 立川高校の定時制を数年前に卒業した方から、お話、声が寄せられていますけれども、少し年齢が上の人もいたし、八十代の方もいて、みんな一緒に学んでいるということがよかったという声が寄せられています。

 私の地元にあった都立江北高校の定時制に六十代のときに通っていたという方から、お話を伺ったこともあります。

 若い生徒たちが、ご年配のその方に興味津々で、なぜ今、学校に来ているのかということを聞いてきたということです。若い頃に学校に行けず苦労した話、だけれども、頑張って仕事をしてきて、今ようやく、もう一度勉強がしたくて来ているんだという話を、若い生徒たちはじっくり聞いてくれたそうです。心に何か抱えながら通っている生徒たちに、ずっと年上の人生の先輩の生徒の話を聞いて、何かしら思ったのではないかと、その方はお話をしてくれました。そして、年の離れた自分を、仲間として、いつも気にかけたり、声をかけてくれる若い子たちの姿が本当に頼もしかった、そういうお話でした。

 このように、人生の先輩たちからも、同時に一緒に学ぶことができるということも、夜間定時制のよいところではないでしょうか。

 一方で、昼夜間定時制やチャレンジスクールでは、入学試験もあり、砂川高校などは、この夜間中心の三部も含めて制服もあるため、社会人や年がずっと上の方々にとってはハードルが高くて通いにくい現実があります。

 実際に、六年かけて通うことができることになっていますが、四年、五年、六年かけて単位を取ろうとしている生徒以外には、二十歳以上の生徒はいないというふうに私は聞いています。

 幅広い年齢にとって学びの保障につながり、若い生徒も含めて、よい学びの機会につながる夜間定時制高校をもっと生かしていくことが必要ではないかというふうに思います。

その4 高校のグラウンドを利用でき、部活動がさかん

〇斉藤委員 教育の環境整備についても伺います。

 令和七年、二〇二五年度に開設としている立川地区チャレンジスクール、ここは旧多摩教育センターの跡地につくられています。

 立川高校に比べて敷地が狭いということを、以前の委員会で我が党のとや英津子理事が質問していますけれども、新しく開校する予定の立川地区チャレンジスクールには校庭はあるのかどうか、伺います。

◯猪倉高校改革推進担当部長 立川地区チャレンジスクールでは、校庭を設置いたしませんが、校舎に体育館及び多目的コートの設置を進めておりまして、体育の授業や部活動等で活用する予定でございます。

◯斉藤委員 校庭はないということなんですね。体育や部活動の内容に制限が出てくる、影響してくるのではないかというふうに思います。

 特に、立川高校定時制では部活動も盛んで、全国大会や都大会に出て活躍している部もあります。グラウンドで行う部活動では、陸上部や野球部、サッカー部などがあります。こうした部活動は、立川地区チャレンジスクールではできないのではないですか。

 実際に、立川地区チャレンジスクールの学校案内を見ますと、設置予定の部活動の中に陸上部、野球部、サッカー部はありません。校庭がないことで、子供たちの部活動に関わる条件を後退させてはならないというふうに思います。

 この点でも、豊かな学校環境を持つ立川高校定時制を廃校にしてはならないというふうに思います。

その5 日本語指導の必要な生徒には、きめ細かい対応も

〇斉藤委員 次に、日本語指導が必要な生徒への対応について伺います。

 日本に暮らす在留外国人が急速に増える中、都立高等学校等においても、日本語指導が必要な生徒数がこの十年間で二・二倍に増えていることが、都教委の示している外国につながる生徒への指導ハンドブックに掲載されています。その多くが定時制に通っているということも示されています。

 閉課程が決められている小山台高校定時制では、多文化理解や市民科という、学校で設定している科目があって、語学だけでなく、社会に出てから必要な労働法などの知識を身につける取組をしています。

 立川高校定時制でも、日本語指導が必要な生徒の取り出し授業を行っているということで、昼夜間定時制で教えている先生からも、夜間定時制の方が手厚いということも伺っています。

 また、夜間定時制で教えている先生からは、日本語指導が必要な生徒の中には、保護者が日本語が分からないために、在留資格などの申請を生徒がやらなくてはならないケースもあって、教員がそれをサポートしているということも伺いました。一クラスの規模が二十人程度の夜間定時制だからこそ、そうした、きめ細やかな対応ができるということもお話ししてくださいました。

 そこで伺いたいのですけれども、日本語指導が必要な生徒たちのニーズに応えていくためにも、現実に手厚くサポートができる夜間定時制を守り、取組を充実させていくことこそ求められていると思いますが、いかがですか。

◯信岡グローバル人材育成部長 日系人を含む外国人の滞在が増加し、これらの外国人に同伴される子供が増加したことを契機に、全国的な調査が実施されております。

 調査等に関する学校現場の事務負担軽減等の特別措置として、平成二十年度以降は隔年度調査が実施されております。

 そういった意味では、全ての都立高校において日本語指導の充実を図っていくことが重要かと考えております。

◯斉藤委員 今、ご答弁で、調査が実施されているということ、そういう取組を充実させていくことは重要だということをご答弁がありましたけれども、まさにこれを実践しているのが夜間定時制だと思うんですね。なので、やはり、その答弁にふさわしく、その役割を見直しして考えていただきたいというふうに思います。

 それから、その調査の内容なんですけれども、今回陳情を出された方々は、小山台高校の定時制と立川高校定時制の生徒の中で、外国につながる生徒がどのくらいいるのか、実態把握をしてほしいということを求めております。今後、取組を充実させていく上でも重要なことだと思います。実態把握の下に都民的な議論ができるように、公表することを改めて求めておきます。

その6 ヤングケアラーの子たちも通っている

〇斉藤委員 我が党は、第一回定例議会の一般質問でアオヤギ有希子都議が立川高校定時制のことを取り上げましたが、このときに、立川高校定時制に私たちは伺わせていただいて、先生方からお話を伺ってきました。

 この中で、生徒の中には、家族のお世話、介護をする、こういうヤングケアラーの生徒がいるというお話も伺ってきました。

 また、別の夜間定時制で教えていた先生からも、ヤングケアラーだと分かる生徒が複数以上いるということも教えていただきました。病気の母親と高齢のおばあちゃんのお世話をしているという生徒や、年の離れた小さなきょうだいを見ているという生徒がいたということです。

 この点、ちょっとこれも伺いたいのですけれども、定時制課程には、家族の介護や小さな子供の世話をしている、そういうヤングケアラーの生徒も通っている、そういう実態があるということを都教委はつかんでいますか。

◯猪倉高校改革推進担当部長 立川高校定時制課程には、様々な事情を抱えた生徒さんがいらっしゃいます。そういった点を把握しているところでございます。

◯斉藤委員 様々な生徒がいるということで、ヤングケアラーの方への認識は、ちょっと示されなかったのですけれども、ぜひこういうことにも目を向けていただきたいと思うんです。

 東京都は、今、ヤングケアラーの支援、都教委としても強化をしている、踏み出しているところだというふうに思います。

 このお話を伺った中では、小さなきょうだいの面倒を見ている生徒が、母親が仕事でいない日中にきょうだいの世話をして、母親が戻る夜に学校に来ていたということです。きょうだいの世話のために、遅刻したりしながらも卒業まで頑張って通っていたそうですが、四年間のゆっくりしたペースだったからこそ通えたのではないかというふうに先生は感じていたそうです。

 まさに、このヤングケアラーの支援に都教委としても取り組んでいるところだというふうに思いますが、定時制課程は、まさにそうした今日的な背景を持つ子供たちの学びを支える上で、魅力的な選択肢となっている貴重な資源だというふうに思いますが、認識について伺います。

◯猪倉高校改革推進担当部長 先ほどと若干繰り返しの答弁になりますが、平成二十八年以降これまで、生徒等のニーズに応じて、チャレンジスクールの新設や夜間部の規模拡大を行ってまいりましたが、夜間定時制課程については、応募倍率が低い状態が続いております。

 こうした状況を踏まえ、不登校経験のある生徒の増大など、困難を抱える生徒のニーズに応えられる受入れ環境を充実するため、令和七年度に立川地区チャレンジスクールの新設及び砂川高校の受入れ規模を拡大するとともに、立川高校夜間定時制課程につきましては、生徒募集を停止する予定でございます。

◯斉藤委員 いろんなそういう様々な困難を抱えている、そういう子たちの学びを支える上で、既にその役割を果たして重要な選択肢になっている、その認識について伺ったんです。

多様な背景をもつ人たちが、安心して通える定時制の存続を

〇斉藤委員 今、お話、繰り返しでありましたけれども、困難を抱える生徒のニーズに応えられる受入れ環境を充実させるというのなら、立川高校定時制、これを今、募集停止にするということは、その中身に逆行するという話ではないですか。

 既に、そういった様々な背景、それこそヤングケアラーの生徒さん、外国につながる生徒だったり、不登校の経験者の方々が夜間定時制にも通っているわけです。そこをなくしてしまうということは、理屈が通らないというふうに思います。

 チャレンジスクールや昼夜間定時制、これを充実させるということは、それは重要なことだと思います。しかし、今現在、その役割を果たしている、そして、四年間でゆっくり学ぶこともできる、試験や制服などもなくて安心して通える、こういう学校の選択肢をなくしてしまうというのは、充実するという方向性とは逆の方向になるというふうに私は思います。

 まさに今日的な様々な背景を持つ子供たちが安心して学び、さらに、少人数規模のクラスで一人一人に寄り添う教育を受けられる、そういう環境の中で自信や生きる力を身につけていく場になっているのが夜間定時制課程だというふうに思います。その意義をもう一度見直しして、立川高校定時制課程の募集停止の予告を取り消すことを強く求めます。

 この陳情の採択を求めて、質問を終わります。

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