大地震がおきても衛生的な環境を守るためには、下水道管の耐震化が急務です。東京都がその計画を着実にすすめるとともに、各区と連携したトイレ計画をもち、リスクの高い地域でのとりくみを強化するよう求めました。(2023年10月23日、公営企業会計決算特別委員会)
避難所などの下水道管の耐震化を、5カ年計画をふまえて着実に
◯斉藤委員 下水道局の事業は、都民の日常生活を支える上で欠かせないライフラインを担い、災害時においても、その役割を欠くことなく果たしていくことが求められる重要なものです。誰もが安心できる衛生的な環境を将来にわたって保障していくためにも、その公的な役割がますます重要になってきていると思います。
その視点から、今回は、下水道管の耐震化と施設の上部利用と住民との対話、そして、包括民間委託について伺います。
まず、下水道管の耐震化について伺います。
下水道局では、災害時の下水道機能を確保するために、避難所などの災害時に人が集まる施設や災害復旧拠点における対策を進めてきました。
首都直下型地震は、今後三十年の間に七〇%の確率で起こるといわれてから久しい中で、そのリスクへの対応は喫緊の課題です。
下水道局では、経営計画二〇二一の五か年計画の中で、さらに一時滞在施設や災害拠点連携病院などを対象に追加して対策を行っていますが、その取組はますます重要なものになっています。
まず、これらの施設の排水を受ける下水道管の耐震化を実施した施設数について、二〇二二年度の実績と、これまでの累計について伺います。
◯藤橋建設部長 令和四年度における下水道管とマンホールの接続部の耐震化につきましては、百六十八か所の施設で対策を実施いたしました。
これにより、累計四千七百八十六か所で対策が完了いたしました。
◯斉藤委員 この下水道管の耐震化を実施した施設数について、資料要求の五ページにも出していただいております。昨年度、二〇二二年度は百六十八か所ということですが、これまでの五年間の単年度ごとの実績と比べると、その数は少なくなっている状況です。
事前に伺いましたけれども、今回の経営計画を策定する中で、対象施設に一時滞在施設や災害拠点連携病院を加えたことで、新たな調整や工事の設計に時間がかかったという事情もあったということですが、五か年の目標達成のために取組の強化が必要です。
二〇二五年度までの五か年の施設数の目標の累計五千五百十五か所に向けて、今年度も含めた三年間で残りの七百二十九施設の下水道管の耐震化を実施するためにも、昨年度よりもピッチを上げていくという必要があります。
この目標に向けて、今後はどの施設に対して耐震化対策を行っていくのか、どこの施設に対して耐震化対策を行っていくのか、その検討は行われているのか伺います。
◯藤橋建設部長 下水道管の耐震化は、避難所など震災時に人が集まる施設や災害復旧拠点などの排水を受け入れる下水道管を対象に対策を進めてまいりました。
令和七年度末までの実施予定施設については、区の地域防災計画なども踏まえて、既に検討を行ってございます。
◯斉藤委員 区の地域防災計画なども踏まえて、既に検討しているということですけれども、目標達成に向けて着実に対策を進めていただきたいというふうに思います。
各区と連携して、災害時トイレ計画を
〇斉藤委員 災害時に都民の命を守るために、下水道管の耐震化の取組を強化していくためには、避難所などを定める区との連携が大切です。下水道局では、区とどのように情報共有を行っているのか伺います。
◯新谷施設管理部長 下水道局は、各区と情報共有しながら、各区が指定した避難所などにおける下水道管とマンホールの接続部の耐震化などを進めておりまして、工事の実施や完了を各区に報告してございます。
◯斉藤委員 各区が指定する避難所などの施設の下水道管の耐震化を行うため、区との連携は必須ですけれども、私は、日頃から衛生的な下水の環境確保を担っている下水道局として、もっと積極的な役割を果たしていくことができるのではないかと思っています。
私は、以前の質疑で、災害時快適トイレ計画を策定している徳島県の取組について取り上げましたが、県が市町村と連携しながら、災害用トイレの備蓄のほか、主要な避難所のマンホールトイレや地下貯水槽の整備を県が進めていくということが明記されていました。
災害時用トイレには、マンホールトイレのほかにも、簡易トイレや安心トイレなど様々なタイプがあり、各区が、それぞれの状況に応じて、必要なトイレ数の確保に取り組んでいるところですけれども、下水道局はそうした各区の状況を集約できる立場にもあるのではないかと思います。他県の先進例にも学びながら、都の関係局とも連携し、各区の取組をそれぞれが共有できるようにして、対策の底上げにつなげる役割を果たしていくことを求めます。
首都直下型地震の被害想定をふまえ、リスクの高い地域での対策強化を
〇斉藤委員 都は昨年、二〇二二年五月に、首都直下型地震等による東京の新たな被害想定について発表しています。今後は、この新しい被害想定に合わせて取組の強化も必要だというふうに思います。
その被害想定の中で、下水道の管渠被害率が明らかにされ、公表されていますが、都心南部直下地震の場合には、二十三区の中でも、足立、葛飾、荒川、墨田、江戸川、江東の東部の六区と大田、品川、港、目黒、渋谷、世田谷の南部の六区の管渠被害率が、五%から一〇%と高くなっています。
多摩東部直下地震では、西東京市と八王子市に加えて、二十三区の東部が、やはり高い管渠被害率になっています。
今後は、そうした地域を優先に管渠やマンホールの耐震化を行っていくことも必要だと考えますが、いかがですか。
◯袰岩計画調整部長 下水道局では、地元区と調整しながら、震災時に人が集まる避難所や災害拠点病院、一時滞在施設など、対象施設を重点化して下水道管の耐震化に取り組んでおります。
◯斉藤委員 現在の計画での取組内容についてのお答えでしたけれども、まだ目標に届いていない取組について、着実に行っていくということはもちろんですけれども、優先順位のつけ方、さらに、次の計画の策定に当たっては、これらの管渠被害率の値を参考にして取組の強化を図っていくことが必要ではないかと思います。
実際に、私の地元の足立区では、この新しい想定で示された管渠被害率から、必要な災害時用のトイレの数を算出して、その確保を目指していくというふうに対策をしています。
下水道局においても、さらなる耐震化の取組に管渠被害率の高い地域を念頭に置いた対策をしていただくよう求めるものです。