都営住宅の間取りを見直し、ゆとりのある住居に

都営住宅・辰沼団地の建て替えにあたって、東京都は、間取りの希望をきくアンケートを初めて実施しました。回答では約7割の方が、現行の1DKではなく、2Kを選択。ゆとりのある間取りへの切実な願いが示されました。ところが、東京都は狭いスペースしかあたえない型別供給のルールを根拠に、たとえ2Kでも、十分な広さを示していません。住民の願いにこたえた抜本的な改善を迫りました。(2024年2月29日、本会議)

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間取り希望をきくアンケートを、他の都営住宅でも

〇斉藤まりこ都議 都営住宅の間取りの見直しについて伺います。

 都営住宅の型別供給について、昨年の第一回定例議会で見直しを求めた我が党の代表質問に対して、都は、住戸内のバリアフリー化や介護スペースの確保など、社会状況の変化等に対応し、今後とも必要な見直しを行っていくと答弁しました。重要な一歩です。

 足立区で建て替えを予定している辰沼団地では、一期目と二期目の工事の対象の単身世帯に、都が間取りの希望についてのアンケート調査を行っています。住民に間取りについての希望を聞く取組は初めてのことです。

 まず、この調査を行った意義について伺います。

 このアンケート調査では、一DKか二Kのどちらを選ぶか聞いていますが、単身世帯の方が従来の一DKではなく、二Kを選んだ割合とその主な理由は何か伺います。

 住民の方々から直接お話を伺いましたが、介護や看護が必要になったときに、家族が泊まれるスペースがあれば安心だという声が多くありました。また、もともと家族で三Kの部屋に住んでいて、今は一人暮らしになっている高齢の女性の方は、孫が近くで受験があるからと、おばあちゃんちに泊まりに行っていいと連絡が来て、泊まりに来てくれた、それが本当にうれしかったと笑顔で話してくれました。高齢の方々の生きがいや健康を守るためにも、また、子育て世帯なども多く入れるよう、ゆとりのある間取りの部屋を提供することが重要です。

 ほかの都営住宅にも、新たな間取りの導入を検討していくことを求めますが、いかがですか。

 間取りの希望を含めた入居者の要望をつかむためのアンケートをほかの都営住宅の建て替えでも実施することを求めます。

狭すぎる都の基準をやめ、住まいは人権の立場で十分な広さを

〇斉藤まりこ都議 しかし、今、都が辰沼団地の方々に示している間取りの選択肢では、根本的なスペースの改善としては極めて不十分です。二Kでは、ダイニングがなくなり、食事するスペースと寝室を分けて使うためには、居室の一つをダイニングとして使うことになり、結局は、一DKと変わらないのではないかという声が寄せられています。そもそも、提示されている部屋の広さは、一DKが三十五平米、二Kが三十八平米とほとんど変わらないため、二Kの二つ目の居室が狭いことが予想されます。この背景には、都営住宅の型別供給のルールがあります。

 そこで伺いますが、都営住宅の型別供給実施基準の根拠となる法令は何ですか。

 そもそも国は、公営住宅の型別供給の根拠となる省令は現在は定めていません。私たちは、公営住宅の世帯人数ごとの供給基準について、全国の道府県と政令都市への調査を行いました。他県では、世帯人数ごとの基準を定めていないか、一人世帯でも二DKを認めているところがほとんどで、広さは四十五平米から五十五平米というところが多数です。大都市圏の大阪府も一人世帯に二DKで、広さは四十九平米、千葉市でも二DKまたは四十五平米の広さを認めています。

 適切な居住への権利は基本的人権であることを国際的に認めた宣言に日本政府が署名してから三十年がたとうとしています。

 住まいは人権の立場から、型別供給は廃止して、単身者でも十分な広さの二DK以上の供給を認めていくべきですが、見解を伺います。

東京都の答弁

◯住宅政策本部長(山口真君) 五点のご質問にお答えいたします。

 まず、都営辰沼町アパートでのアンケートについてでございますが、介護者の滞在やひとり親世帯等の入居ができる広さと二つの居室を備えた新たな間取りを検討中であり、試行する辰沼町アパートにおきまして、居住者の生活状況や入居希望を把握するため、第一期と第二期の単身世帯を対象に、令和五年七月にアンケートを実施したものでございます。

 次に、アンケートの結果についてでございますが、約七割の方が、介護者のため、居間と寝室を別にするため、親族を泊めるため、荷物が多いためなどの理由で、新たな間取りの二Kを選択しております。

 次に、他団地での新たな間取りの導入についてでございますが、現在、間取りの検討を進めている段階であり、今後の取組については未定でございます。

 次に、型別供給実施基準についてでございますが、この基準は、地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法に基づき、国が定めた基本的な方針を踏まえたものとなっております。

 最後に、住戸の間取りについてでございますが、都営住宅は、都民全体のセーフティーネットであり、世帯構成に応じたより的確な居室構成、面積規模の住宅の供給を図っていくことが重要でございます。

 型別供給実施基準は、その目的を果たすために都が定めているものであり、今後とも適切に運用してまいります。

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