選択的夫婦別姓への努力と、教員などの婦人科検診の廃止撤回を

※ 2023年11月16日、文教委員会

目次

東京都として、選択的夫婦別姓の実現へのいっそうの努力を

○斉藤委員 男女平等、ジェンダー平等推進について伺います。

 初めに、選択的夫婦別姓について伺います。

 結婚時に改姓するのは、現在も九六%が女性です。法律が姓の変更を強制していることは、自分のアイデンティティーを奪われると感じるなど、個人の尊厳を脅かしており、女性の人権を守る観点から大変重要な課題となっています。

 また、法律婚をして、やむなく旧姓を使用している人も、改姓を避けるために、やむなく事実婚をしている人も、仕事や社会生活を送る上で様々な不便や不利益を受けている状況です。

 現在、世界で夫婦同姓を法律で義務づけている国は日本だけです。国民世論も、既に七割以上が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成しており、一日も早く法改正すること、そのために東京都も力を発揮していくことが求められています。

「男女平等参画推進総合計画」にもとづき、都として選択的夫婦別姓の研究に着手

〇斉藤委員 一年半前に策定された東京都男女平等参画推進総合計画の一三五ページでは、選択的夫婦別姓など、都では変えることが難しい社会制度等については、国への積極的な提案を検討しますとしています。

 現在、どのような検討を行っているのか、伺います。

○宮本男女平等参画担当部長 都は、選択的夫婦別姓について、国へ、議論を深め結論を出すよう提案要求を実施しております。

 都としても、国の動向を注視しながら研究を進めることといたしております。

○斉藤委員 国に提案要求を実施していると。

 ちょっと再確認なんですけれども、研究を進めるというのは、選択的夫婦別姓制度についての研究を都として進めるということでよろしいでしょうか。

○宮本男女平等参画担当部長 はい、そういうことでございます。

○斉藤委員 選択的夫婦別姓制度についての研究を都として進める、そのとおりだというご答弁でした。

 既に、国へのこの提案要求を実施しているということですけれども、この国への提案要求は、二〇二二年三月にこの男女平等参画推進総合計画が策定される前の二〇二一年度から毎年行われており、大変重要ではありますが、その内容は、都民に生じている不便、不都合を解消する観点から、選択的夫婦別姓制度に係る議論を早急に深め、結論を出すことというものです。

 この不便、不都合の解消という方向性は求めているものの、議論の結論を出すという要望は、やはりちょっと弱いというふうにいわざるを得ません。だからこそ、その後、策定された男女平等参画推進総合計画では、国への積極的な提案を検討しますと、その積極的な提案の必要性が記載されているのだというふうに思っています。

 その点で、今、選択的夫婦別姓制度についても研究を進めるというお答えをいただいたのは、非常に重要だというふうに思います。ぜひ生活文化スポーツ局さんが中心となって、都民の声の掘り起こしや、具体的な不便や不利益、この現状を、ジェンダー平等や人権尊重の観点から見たときの課題など、研究を進めていただきたいというふうに思います。

「男女平等参画審議会」を積極的に活用し、国への働きかけの強化を

〇斉藤委員 そして、国への積極的提案を検討する上で大きな役割を果たすことができるのは、男女平等参画審議会ではないでしょうか。

 そもそも国への積極的な提案の検討が計画に盛り込まれた経緯として、計画改定に当たっての男女平等参画審議会の答申に、選択的夫婦別姓制度など、東京都だけでは変えることが難しい社会制度等については、国への積極的な提案を検討する必要がありますと示されたことがあります。

 そこで伺いますが、計画策定後、男女平等参画審議会の開催状況はどのようになっていますか。また、現在、委員はどのようになっていますか。

○宮本男女平等参画担当部長 男女平等参画推進総合計画の策定後は、審議会を開催しておりません。

 また、現在、審議会委員の任期は、令和五年四月十八日で終了しております。

○斉藤委員 計画策定後は、一年以上会議を開催せず、また、今年四月で任期が終了したので、現在は審議会委員はいないということなんですね。

 この間、男女平等参画審議会は大体そういうサイクルになっていまして、計画改定の約一年前に委員が任命され、一年弱の期間で、この計画改定に当たっての諮問、答申がなされ、あとの一年強は、この会議が開催されず任期が切れる、その後、三年くらいは、委員の任命もなく休眠状態となり、また次の計画改定が近づくと、この委員の任命が行われるという、この繰り返しになっている状況です。

 本来、男女平等参画審議会は、計画だけでなく、男女平等参画に関する重要事項を調査、審議すると条例にも書かれていまして、せっかく知事の附属機関として存在するのですから、積極的にこの活用をしていくということが大事なのではないでしょうか。

 男女平等参画審議会で、選択的夫婦別姓についての国への提案について審議することも有効だと思いますが、いかがですか。

○宮本男女平等参画担当部長 既に、都として国への提案要求を実施してございます。

○斉藤委員 国への提案要求をしているというのは、何度も今聞いているんですね。

 ジェンダー平等、男女平等を進めていこうという機運が高まっている中で、やはりこの審議会の活用を強化していく、活発化させていくということは、必然的なことだと思うんです。

遅々として進まない現状の打開へ、率先して踏み込んだ対応を

〇斉藤委員 第三回定例議会で小池都知事は、選択的夫婦別姓についての国での議論は遅々として進まない状況だと述べています。だとするなら、都が現在行っている提案要求にとどまらず、もっと踏み込んで要求していくことが必要ではないでしょうか。

 審議会では、諮問、答申のほかに、諮問がなくても意見具申する、建議するということも可能ですが、委員が任命されていなくては動きようがありません。男女平等の推進に、審議会も積極的に活用していくことを求めます。

 十月三日の日経新聞で、待ちぼうけの別姓当事者という記事が報道されました。

 宇宙航空研究開発機構、JAXAで主任研究開発員を務める女性は、過去五回、同じ夫との離婚届を提出した、特許の発明者や海外出張に必要なパスポートに旧姓を載せ続けるためにペーパー離婚を繰り返してきた、姓が変われば自らのキャリアを証明できなくなるので、不利益や不安があっても、この選択をせざるを得ない、一九九四年に結婚し、一九九六年に国の法制審議会が選択的夫婦別姓制度導入を答申して以来、四半世紀以上も裏切られ続けているという内容です。夫婦別姓が認められない現状の改善を、もうこれ以上先延ばしにはできないということが、この記事からもよく分かります。

 家族の在り方は多様化し、夫婦、家族の形は様々です。同性婚も、そして夫婦別姓もどちらもできる、個人の選択に寛容な社会をつくっていくことが求められています。

 東京都として、現在行っている要望よりさらに踏み込んで、選択的夫婦別姓の導入や、そのための法改正を求める積極的な提案を行っていくことを改めて強く求めます。

働く女性の健康支援へ、乳がん・子宮がんの検診廃止をやめよ

働く女性の健康支援の重要性を、どう認識しているか

〇斉藤委員 次に、女性の健康について伺います。

 私たち日本共産党都議団の下に、女性の教職員の方が、三十四歳の若さで、一歳の赤ちゃんを残して亡くなったというお話が寄せられました。二十九歳で乳がんを発症し、入退院を繰り返しながら、教壇に立つために闘病していたということですけれども、一緒に働いていた教職員の方から、婦人科検診があったら早期発見ができたのではないか、悔やまれるという声が届いています。

 東京都男女平等参画推進総合計画の二〇ページには、安心して働き続けるために、ハラスメントのない職場づくりや健康支援などにも取り組むことが必要ですとしていますけれども、働く女性の健康支援の重要性について認識を伺います。

○宮本男女平等参画担当部長 計画では、安心して働き続けるために、ハラスメントのない職場づくりや健康支援などにも取り組むことが必要としております。

 関係局において取組を進めております。

○斉藤委員 二〇ページに記載されている内容を繰り返していただいたのですけれども、男女平等を推進する局の立場から、なぜ働く女性の健康支援が重要なのか、もっと深い認識、ご答弁をいただきたかったのですが、いずれにしても、働く女性の健康支援は必要だと考えていらっしゃるということだと思います。

 働く女性が増える中、雇用する側も、女性特有の健康課題に対応し、女性が健康を保ちながら快適に勤務し、力を発揮できる環境を整えることの重要性が着目されています。

 生理に伴う症状や更年期障害などによりパフォーマンスが低下したり、健康上のことから男性基準の働き方に合わせられず、切り捨てられたり、諦めたり、離職を余儀なくされる方もいます。

 男性と女性では、かかりやすい病気が違うのに、これまでの職場健診は、生活習慣病予防など、どちらかというと男性を基準とした対策が中心だったと指摘する声もあります。

 働く女性の健康支援は、女性に合う形でこれまで以上に充実させていくことが事業主に求められているということだと思います。

婦人科検診(乳がんと子宮がんの検診)の廃止は、ジェンダー平等に逆行

〇斉藤委員 そうした中、多摩地域の小中学校の先生から、これまで職場の健康診断の項目に婦人科検診、つまり、乳がん、子宮がん検診があったが、これが廃止された、復活してほしいという声が寄せられました。

 小中学校の教員は、東京都が人件費を負担していますが、健康診断は勤務校の自治体が行います。その婦人科検診が廃止されたということなんです。

 女性がかかるがんにはどのような特徴があるのか、男女平等参画推進総合計画にはどのように記載されているのか、伺います。

 また、がんの受診率向上は重要ですが、どのように取り組んでいくのか、各局の進捗状況についての報告をどのように受けているのか、伺います。

○宮本男女平等参画担当部長 計画では、女性のがん死亡率に着目すると、乳がんが他のがんと比較して最も高い状況にありますと記載しております。

 進捗状況につきましては、所管局における前年度の取組実績等について、ホームページで公表してございます。

○斉藤委員 計画には、都民の死亡率の一位はがんだということも記載されていますが、その中で、がん死亡率、つまり、がんが原因で亡くなった方の人数は、女性では乳がんが最も多いということなんですね。

 厚生労働省の全国がん登録罹患数・率報告によれば、女性が最も多くかかるがんは乳がんで、しかも、三十代前半から急増し、四十代後半にピークを迎えます。また、子宮がんは、乳がんより罹患者が増える年齢が低く、現役世代では、乳がんに次ぐ罹患率となっています。

 各局の取組として、先ほどホームページで公表しているということで、生活文化スポーツ局のホームページに記載されているんですけれども、都の保健医療局でも、女性特有のがんについて、検診の重要性を訴えて、乳がんや子宮がんのキャンペーンも行っています。つまり、現役世代の女性の健康を守るためには、婦人科検診は大変重要なものだということだと思います。

 それを廃止するというのは、ジェンダー平等に逆行し、女性の健康支援の後退だといわざるを得ません。

この分野でも大きな多摩格差があり、悪化している

〇斉藤委員 日本共産党都議団では、都内全区市町村の教職員、それから役所などで働く自治体職員の婦人科検診の実施状況について調査をいたしました。その結果、東京都及び二十三区では、教職員にも自治体職員にも婦人科検診が行われていました。もちろん、職免を使って勤務時間中に受けることができるというふうにも聞いています。

 しかし、一方で、驚くべきことに、多摩地域では、自治体職員の婦人科検診を行っている市町村はゼロということが分かりました。教職員の婦人科検診も、約半分の十四市町村でしか行っていなく、大きな多摩格差となっていることが明らかになりました。

 しかも、教職員については、かつては多摩地域三十市町村のうち二十七市町村で実施をしていたのに、次々と廃止され、二〇一九年以降も六市が廃止されているということが分かりました。

 この背景には、財政難や、各市から委託を受けていた都立がん検診センターが職域検診をやめてしまったことなどがあり、この対応が必要なんですけれども、もう一つの側面として、婦人科検診をおまけのように捉えていなかったかということも問われるのではないでしょうか。

職場での婦人科検診の重要性への啓発も、切実に求められている

〇斉藤委員 重要性の意識啓発も求められているというふうに思います。

 自治体職員、教職員の職場健診を行う都内区市町村に対しても、具体的にがん検診の重要性を普及啓発していくことも重要だと思いますが、いかがですか。

○宮本男女平等参画担当部長 各事業者において適切に対応すべきものと考えております。

 なお、がん検診の普及啓発につきましては、所管局において実施されているものと認識いたしております。

○斉藤委員 今のご答弁は、何というか、女性の健康支援に対して、とても前向きとは思えない姿勢だというふうに思うんですね。この計画の中にも健康支援ということをうたっていますので、ぜひ積極的にこれは啓発を進めていただきたいというふうに思います。

 職場でがん検診が受けられなかった場合、その方は、居住自治体のがん検診を受診することになります。住んでいる自治体で自分で申し込み、予約を取って、仕事を調整して、有給休暇を取って行かなければなりません。ただでさえ多忙で長時間労働が問題となっている教職員には大きな負担を強いることになり、受診機会を逃しても仕方のない状況をつくってしまっていると思います。

 一般的にも、保健医療局のこの調査によれば、がん検診が職場で行われる場合は八割が受診していますが、ほかに受診機会がない場合に受ける居住自治体での検診の受診率は三割未満と激減をして、受診のハードルが高くなることが分かります。

 公務員の場合は、職場で受けても、居住自治体で受けても、健診費用を自治体が負担するということに変わりがないわけですから、受けやすい職場健診で婦人科検診を受けられるよう、ジェンダー平等の立場から各自治体に啓発していただきたいというふうに思います。

 また、どこの職場でも、女性が健康を保ちながら力を発揮し、離職することなく働き続けられることは、女性自身にとってだけでなく、雇用する側である事業主にとってもメリットになります。婦人科検診を含め、働く女性の健康支援を充実することの重要性を企業や事業主に対して広く啓発し、また支援していただくことを求め、質問を終わります。

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