受験シーズンの痴漢撲滅キャンペーンの開始にあたって

※ 2023年3月14日、公営企業委員会

目次

キャンペーン開始は、都民から歓迎されている

◯斉藤委員 今回の新年度予算案には、痴漢対策の強化について、関係各局が連携して取り組む施策が盛り込まれました。日本共産党都議団は、痴漢被害のアンケート調査を行い、本気の痴漢対策を求めてきた中で、取組が前に進むことを歓迎いたします。

 交通局でも、若い方々が、女性専用車の導入拡大を求める陳情が全会派一致で趣旨採択されたことも受けて、一月十八日から女性専用車の導入が始まったことや、それに先駆けて、一月十一日から受験シーズンに向けた痴漢撲滅キャンペーンを行うなど、かつてない対策の強化に踏み出していただいているところだと思います。

 幾つか伺っていきたいと思いますが、まず、一月十一日から三月十日に行われた痴漢撲滅キャンペーンでの取組の内容について伺います。

◯市川電車部長 交通局では、誰もが安心して都営地下鉄を利用できる環境づくりをより一層進めていくため、受験シーズンに合わせ、新たな痴漢撲滅キャンペーンを実施しました。

 キャンペーン期間中は、駅係員による巡回を強化するとともに、車内や駅構内放送、ツイッターなどSNSでの情報発信、新たなポスターの掲出等により、集中的にお客様へ痴漢撲滅の呼びかけを行いました。

◯斉藤委員 車内や駅構内での放送、また、私も大江戸線でよく耳にしておりまして、心強く感じているところです。また、初日のイベントに私は駆けつけることはできなかったんですけれども、警視庁の協力の下、痴漢を許さないという皆さんのお姿をメディアを通して拝見させていただいて、とても頼もしく感じているところです。

 一月十一日からのキャンペーンと当日のイベントは、メディアでも大きく取り上げられ、私たちのところにも、交通局が受験シーズンの対策をやってくれてうれしいという声が届いていますが、交通局にはどのような声が届いているのか伺います。

◯市川電車部長 当局には、交通局が、痴漢をさせない、見逃さないという姿勢を強く打ち出してくれることに、多くの女性や男性が安心するのではないかといった声などが寄せられております。

◯斉藤委員 うれしい声だというふうに思います。ふだんは苦情などの連絡がほとんどだということで、ご苦労も多いことと思うんですけれども、こうした声はなかなか届くものではないと伺いましたので、本当に都民に喜ばれている取組なんだというふうに思います。

 長い間見過ごされてきた、当事者が声を上げにくい問題、しかし、最も身近に起きている性暴力に交通局が立ち上がっていただいたこと、敬意を表したいというふうに思います。被害を受けるのは圧倒的に女性が多いですけれども、女性だけの問題とせず、男性職員の皆さんも社会に働きかけてくれることが大きな勇気にもつながります。ぜひ誇りを持って続けていただきたいというふうに思います。

学生と協働でつくったポスターも画期的なもの

〇斉藤委員 キャンペーンと同時に、新しいポスターもとても目立っていると思いますが、交通局が新しく駅構内に貼り出している、痴漢目撃助けたい、助ける準備できていますか、こういう呼びかけのピンクのポスターは、都内の学生と協働で作成したということでした。呼びかけるメッセージも、被害者や加害者ではなく、最も多くの第三者の方々に助けることを促すという新しい視点での呼びかけです。

 内容も作成過程もこれまでにないものだと思いますが、こうした学生との協働で作成した取組について、交通局の感想について伺います。

◯神永企画担当部長 交通局では、痴漢等の防止に向け、より幅広い層への普及啓発を図るため、東京都立大学の学生の意見を取り入れたポスターを作成し、本年一月から掲出しております。

 この取組は、複数のメディアでも紹介され、普及啓発に一定の効果があったものと考えております。

◯斉藤委員 複数のメディアでも紹介され、普及啓発に一定の効果があったということです。

 私たちは、ポスター作成については、若い方々の意見を取り入れて作ることも求めてきましたが、まさに今回のポスターは、若い皆さんの英知や発想から、多くの第三者に呼びかけ、傍観者でいるのではなくて、行動する第三者、いわゆるアクティブバイスタンダーの視点が取り入れられているという点でも画期的なものだというふうに思っています。私も学ばせていただいたというふうに思っています。

 日本共産党都議団は、この間、民間の鉄道各社さんにも痴漢対策の取組を強化していただこうと懇談の場をいただいてきました。私も、その中で、交通局の取組について紹介をさせていただいたりしているんですけれども、その中で、このポスターの作成過程や内容について、とても勉強になりますという声をいただきました。

都営地下鉄でも、新たに女性専用車両の導入へ

〇斉藤委員 また、女性専用車の新たな導入についても話題になっています。民間の鉄道会社さんとお話しする中で、私も改めて実感しましたけれども、女性専用車については、性別による差別だというような、男性差別だと、こういうような反対や抗議の声にさらされるということが多いということで、各社さんの悩みの種のようでした。鉄道各社さんに共通する問題だったというふうに思うんですが、だからこそ、交通局が新たに女性専用車を導入したことは、各社に勇気を与えているというようでした。

 JRのとあるターミナル駅の駅長さんからは、交通局さんが女性専用車を導入してくれて心強いですと、こういうふうにいってくれたという声もあります。私鉄の方からも、女性専用車の導入についても参考になりますという声もいただきました。

 そうした状況の中、女性専用車の意義について、鉄道利用者が積極的に発信していくことがとても大事だというふうに思っています。

 私たちは、この間、ホームページ等で、女性専用車の意義について発信していくことを求めてきましたが、その取組状況について伺います。

◯市川電車部長 女性専用車は、お客様の任意のご協力の下、運行しているものであり、できるだけ多くの方にご理解いただくことが必要と認識しています。

 このため、大江戸線への女性専用車の導入に合わせ、局ホームページに、導入の目的等に関するQ&Aを追加するなど、内容を充実させました。

◯斉藤委員 私もホームページを拝見させていただいていますけれども、交通局の女性専用車のページを開くと、そこに導入の理由と女性専用車の意義についてQ&A方式で記載されていて、とても分かりやすい内容だというふうに思いました。私からも、質疑の中で、大阪メトロのQ&A方式の発信など紹介させていただいてきたので、このような取組に結びついて本当によかったというふうに感じています。

 そして、こうした鉄道事業者からの発信が、社会全体の認識のアップデートにもつながっていくものだというふうに思います。

導入時間帯に、案内のための警備員の配置について

〇斉藤委員 女性専用車両の運用についてなんですけれども、私も、大江戸線の上野御徒町駅を利用しているんですが、導入時間帯には、係員か警備員の方がいて、誘導してくださるのを心強く思っています。

 この女性専用車の導入時間帯でのホームで案内する警備員等の配置はどのようになっているのか伺います。

◯市川電車部長 女性専用車の運行開始に合わせ、お客様案内を強化するため、大江戸線全駅を対象に、一月十八日から、各駅一名または二名の警備員をホームに配置しております。

◯斉藤委員 全駅を対象に、各駅に一、二名の配置をしているということです。

視覚的に分かりやすく案内する工夫について

〇斉藤委員 女性専用車が適切に運用されるためにも大事なことだというふうに思いますが、同時に、視覚でも分かりやすく表示されていることが必要だというふうに思います。

 ほかの鉄道事業者では、女性専用車の場所が分かりやすいように、ホームの床面に表示をしているところもあります。大江戸線でも同様の工夫が必要だと思いますが、いかがですか。

◯市川電車部長 大江戸線のホーム床面への案内サインについては、多くの駅で、階段や柱の配置により、女性専用車のある四号車付近のホーム幅が狭くなっており、サインの大きさが限定されるなどの課題がございます。

 現在、乗り場については、駅係員や警備員が直接ご案内するとともに、ホームドアへのステッカー貼付、ポスターの掲出、駅構内放送等でご案内をしております。

◯斉藤委員 ホームの幅が狭いということなんですけれども、しかし、他社の中で見ていても、ピンクのステッカーが床面に貼ってあると、とても目立って分かりやすいですね。ホームの線路沿いに見渡したときにすぐに見つけることができる。これは、幅が狭いという場合でも、ステッカーの大きさを小さくしても、結構目立つということがあると思いますので、そうした工夫などを行って、検討していただきたいというふうに思います。

新生活がはじまる4月のキャンペーンをはじめ、官民連携したとりくみ強化へ

〇斉藤委員 女性専用車両の大江戸線への導入と受験シーズンに痴漢撲滅キャンペーンを警視庁と共に行ったということは、本当に大きなインパクトがあったというふうに思います。今後も、こうした取組が大事だと思います。

 受験シーズンのキャンペーンは三月十日で終了しましたが、これからは、四月の新年度で、新入生や新入社員など新しい生活が始まる季節になります。慣れない電車通勤や通学の方が増える時期になるので、新生活が始まる四月に向けた痴漢対策のキャンペーンもぜひ行っていただきたいと思いますが、いかがですか。

◯市川電車部長 都営地下鉄では、痴漢撲滅に向けて、独自の対策強化期間を設けて重点的に呼びかけを行っておりまして、受験シーズンに加え、新生活が始まる入学、入社シーズンにも痴漢撲滅キャンペーンを実施することとしております。

◯斉藤委員 新生活が始まる入学、入社シーズンにも痴漢撲滅キャンペーンを行うというご答弁でした。本当に心強いことだと思います。今回も、ぜひ、初日にイベントを行うなど、本気の対策に乗り出しているということを発信していただきたいというふうに思います。

 都は、新年度予算案について、この痴漢撲滅プロジェクトの費用五千万円を計上し、この中には、痴漢被害実態調査や民間と連携した痴漢撲滅キャンペーンなどが盛り込まれて、重要な内容になっていると思います。

 交通局は、この中でどのように関わっていくのか伺います。

◯神永企画担当部長 都では、官民連携で犯罪の抑止等を促進し、痴漢被害のない社会の実現を目指すため、関係局や警視庁で構成されるプロジェクトチームを立ち上げることとしており、交通局もこのプロジェクトチームに参画する予定でございます。

◯斉藤委員 関係局というのは、生活文化スポーツ局だというふうに思いますけれども、警視庁ともプロジェクトチームを発足させると。さらには、民間事業者とも連携していくということで、とても期待をしております。

 民間の鉄道事業者さんのお話でも、一社ではなかなか取組が難しいけれども、関東圏で一緒に対策をやれたらいいですねと、そういうお話もありました。交通局での取組の前進をきっかけに、機運が高まってきているというふうにも感じています。ぜひ、東京の公営鉄道として、リーダーシップを執るような取組を進めていただきたいというふうに思います。あわせて、三田線への女性専用車の導入に向けても、この路線を共有する東京メトロとも協議を始めていただくことを求めて、次のテーマに移ります。

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