※ 2022年10月21日、決算特別委員会
コロナ禍で女性からの相談が急増している
〇斉藤委員 コロナ禍で女性を取り巻く環境が大きく変化しています。昨年四月に、国の男女共同参画局が発表したコロナ下の女性への影響と課題に関する研究会報告書では、女性の非正規雇用労働者の減少や自殺者数の増加など、女性への深刻な影響が明らかになったこと、また、女性への深刻な影響の根底には、平時においてジェンダー平等、男女共同参画が進んでいなかったことがあり、コロナ禍の影響により顕在化したことなどが示されました。
女性への支援は喫緊の課題です。その中で、都の生活文化スポーツ局は、相談事業や女性が置かれた社会背景の課題の調査など、重要な役割を担っていると思います。
そこでまず、東京ウィメンズプラザで実施している相談事業について、過去五年間の相談件数及び二〇二一年度のDV相談件数と、それ以外の相談件数について伺います。
◯樋口男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザの相談件数でございますが、平成二十九年度が二万三千六百十八件、平成三十年度が二万三千八十六件、令和元年度が二万二千四百二十三件、令和二年度が二万四千百五十七件、令和三年度が二万八千三百二十二件となっております。
また、令和三年度につきましては、配偶者等からの暴力に関する相談件数が五千百九十六件、それ以外が二万三千百二十六件となっております。
◯斉藤委員 相談件数は、コロナ禍の二〇二〇年と二〇二一年で増えているということが分かります。特に昨年度は、前年に比べて四千人以上増えているということです。昨年度は、ウィメンズプラザで相談員を増やし、より多くの相談を受けられるようになったということが数字にも表れているというふうに思います。
これらの相談は、相談員が受ける一般相談のほかにも、法律相談や男性相談などもありますが、ウィメンズプラザで実施している相談の種類と、それぞれの二〇二一年度の相談件数について伺います。
◯樋口男女平等参画担当部長 令和三年度は、一般相談が二万六千二百七十四件、弁護士や精神科医による面接相談が百二件、男性のための悩み相談が七百五十三件、LINE相談が千百九十三件となっております。
相談がふえている若い女性へ、窓口の情報が届くように
〇斉藤委員 それでは、昨年度にウィメンズプラザに寄せられた相談内容の特徴的なものはどういうものか伺います。
◯樋口男女平等参画担当部長 令和三年度の相談内容でございますが、心に関する相談が最も多く、次いで配偶者等からの暴力に関する相談、家族に関する相談となっております。
◯斉藤委員 心に関する相談が最も多く、続いて配偶者等からの暴力、いわゆるDVに関する相談が多いということです。
都は、昨年度からLINEでのDV相談、ささえるライン@東京を始めていますが、昨年度から本格実施となったLINEでの相談、ささえるライン@東京では、昨年度は、先ほどのご答弁で千百九十三件のDV相談を行っているということでした。この相談者の年代別の傾向について伺います。
◯樋口男女平等参画担当部長 令和三年度の相談者を年代別で見ますと、三十代が四割を超えており、二十代から四十歳代で全体の約七割を占めております。
◯斉藤委員 三十代が四割以上で、二十代から四十代で全体の七割を占めているということです。
都は、この事業について、前年の二〇二〇年に試行実施を行っていて、このときの結果について公表されていますが、それによると電話での相談に比べ、若年層の相談が増えたという結果だということです。コロナ禍で最も影響を受けているのが女性の若年層だといわれています。そういう点では、最も支援の手を届けなくてはいけない層に一番多くつながったということは、重要なことだと思います。
しかし、ちょっと気になるのが相談件数が試行実施だった二〇二〇年度は、一か月で二百五十二件の相談があったということですが、昨年度は一年間で千百九十三件ですから、一か月で百件程度になっているということです。
そこで伺いますが、ささえるライン@東京の相談事業の広報はどのように行っているのか、試行実施のときと昨年度で違いがあるのかどうか伺います。
◯樋口男女平等参画担当部長 LINE相談についてでございますが、令和二年度からホームページやSNSによる発信、LINE広告等による広報を行っております。
令和三年度につきましては、これらの取組に加えまして、都内全ての大学、短大や区市町村向けにPRカードの配布を実施しております。
◯斉藤委員 昨年度の本格実施から、今年度は都内の大学や短大、さらに区市町村の男女参画センターにもこのPRカードを置いているということを伺いました。今後も必要な人に届くように、より検証と工夫を行って進めていただきたいというふうに思います。
女性がおかれた状況の変化を積極的につかみ、施策につなげていく努力を
〇斉藤委員 このテーマの冒頭でもいいましたけれども、女性を取り巻く環境は大きく変化をしています。
政府が先日、新たな自殺総合対策大綱、これを発表し、女性や若年層の自殺者の増加が明らかになっています。二〇一九年までのコロナ禍前の五年間の平均人数と、二一年を比べると、十九歳以下と二十代で増加し、特に女性の十九歳以下は六九・八%、約七割増え、そして二十代は四七・四%と五〇%近く顕著に増加をしているということが分かりました。コロナ禍で女性や小中高校生の自殺者が増えているという状況に、非常事態は続いていると大綱に明記されています。
都は、この女性が置かれている社会背景をどのように認識しているか、改めて伺います。
◯樋口男女平等参画担当部長 令和四年十月に閣議決定されました自殺総合対策大綱によりますと、人との関わり合いや雇用形態をはじめとした様々な変化が生じ、その中で女性の自殺が増加し、また、自殺につながりかねない問題が深刻化するなど、今後の影響も懸念される、しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響について、確定的なことは分かっていないとされております。
◯斉藤委員 今、政府の大綱からのご答弁でしたけれども、本来は都としての認識として、都としての言葉でちょっとお答えいただきたかったんですけれども、今こうした変化について、この新型コロナウイルス感染症の影響については、確定的なことは分かっていないということもいわれましたけれども、しかし実際には、変化が起きているということは明らかなことです。
人との関わり合いや雇用形態をはじめとした様々な変化が生じ、その中で女性の自殺が増加し、また自殺につながりかねない問題が深刻化するなど、今後の影響も懸念されるという、まさにその認識に立って、支援や調査を強化していく必要があると思います。
女性を取り巻く今日的な社会課題を積極的につかんで発信し、政策につなげていくための取組が様々な自治体で行われています。
例えば、横浜市の男女共同参画推進協議会では、非正規雇用の女性や一人暮らしの単身女性に焦点を当て、仕事や住まいの問題など、聞き取り調査で課題を明らかにして発信したり、支援や施策につなげていること、また、豊島区では、若年女性が生活や健康、性や家族、職場の人間関係など、女性が抱える生きづらさについて、何でも相談できる居場所を兼ねた支援を行っていることなど、我が党はこの間の質疑でも取り上げてきました。
かつて、都でも東京女性財団がウィメンズプラザを運営していたときは、財団としての独自の研究や普及啓発活動とともに、都民や団体の研究に対して経費の一部を助成するなど、調査活動に力を入れて、積極的に社会課題をつかんでいく取組をやっていました。
ところが、石原都政でその取組がなくされ、男女平等に向けての積極的な調査活動は、それ以来、後退あるいは停滞を余儀なくされてきたというふうに思います。
女性が様々な困難を抱え、生きにくさを抱えている今こそ、都として女性を取り巻く社会的背景の調査研究の充実を図り、関係局とも連携をして施策につなげる必要があると思いますが、見解を伺います。
◯樋口男女平等参画担当部長 都では、男女平等参画の状況に関する調査などの年次報告に加えまして、配偶者暴力被害に関する実態調査や男性の家事、育児参画状況に関する実態調査などを行っており、関係局と連携し、様々な支援や施策に生かしております。
◯斉藤委員 今答弁にありました配偶者暴力被害に関する実態調査など、これは大事な取組だというふうに思います。しかし、この調査も五年に一度の調査になっています。拡充していく必要がありますし、必要な調査はそれだけではありません。
男女共同参画を所管する生活文化スポーツ局こそが東京都の男女平等の取組の先頭に立って、積極的に課題をつかむ調査活動やそれを発信し、ジェンダー平等を進める活動を充実させていくことを求めて、質問を終わります。