※ 2023年10月27日、公営企業会計決算特別委員会
コロナ禍をうけた水道料金の支払い猶予が終了。減免にこそ踏み出すとき
〇斉藤委員 水道局では、新型コロナウイルス感染症の影響により、水道料金の支払いが困難な事情にある都民や事業者の方々に対して、最大で一年間、支払いを猶予する取組を行ってきました。
今でも物価高騰が続く中で、都民に寄り添う重要な施策であり、私たちは、事業の継続や支払いの減免こそが必要だということを求めてきましたが、本事業は九月末で終わってしまいました。
支払い猶予は2万件をこえ、1785件は支払いが終わっていない
〇斉藤委員 改めて、この事業について伺いますけれども、この支払い猶予の件数について、これまでの累計数と二〇二二年度、令和四年度の件数について伺います。
◯坂井サービス推進部長 支払い猶予の受付件数についてでございますけれども、受付を開始いたしました令和二年三月二十四日から令和五年三月末時点までの累計で二万六千二百二十三件でございまして、そのうち令和四年度中に受け付けた件数につきましては千二百一件となってございます。
◯斉藤委員 令和五年三月末時点までの累計で二万六千二百二十三件、そのうち昨年度中に受け付けたのが一千二百一件ということです。
このうち、水道料金の支払い猶予期間が過ぎても支払いが終わっていない件数について伺います。
◯坂井サービス推進部長 支払い猶予期間が終了しても支払いが終わっていない件数につきましては、令和四年度末時点で千七百八十五件でございます。
◯斉藤委員 支払いが終わっていない件数は千七百八十五件ということです。
猶予期間分をふくめ負担が重くのしかかる方々に、いっそうの配慮を
〇斉藤委員 この事業では、支払いが最大で一年間猶予されるというものですけれども、猶予期間が終われば、その後の支払いは、猶予期間分を含めて負担が重くなります。私たちは、個別の事情に応じて相談に応じること、そして、減免こそが必要だということも繰り返し求めてきました。
水道局では、個別に対応しているということもこの間伺ってきましたけれども、水道局では、職員等が訪問した際に、利用者さんの異変に気づいたときには、自治体の福祉部署などへつなぐ取組を行っています。
この支払い猶予期間が終わっても支払いが終わっていない件数のうち、支払いが困難な状況などから福祉につないでいる件数、また、本事業の利用者に限らず、全体の中で福祉につないでいる件数について、昨年度の実績を伺います。
◯坂井サービス推進部長 支払い猶予期間が終了いたしましても支払いが終わっていない千七百八十五件のうち、徴収業務等で当局職員などがお客様宅を訪問した際に、異変に気づき、区市町の福祉部署などへ情報提供を行ったものは、令和四年度においてはございません。
また、支払い猶予に限らず、区市町の福祉部署に情報提供した件数につきましては、令和四年度で十九件となってございます。
◯斉藤委員 支払い猶予期間が終了しても支払いが終わっていない千七百八十五件のうち、福祉につないだ件はないということです。
昨年の事務事業質疑でも私、伺っているんですけれども、昨年の段階で支払いが終わっていなかった二千四百五十六件に対しても、福祉につないだ件は一件もなかったということでした。
この制度を利用している方々は支払いが困難、あるいは不安を抱えている方々が多いのではないでしょうか。昨年は、二千四百五十六件のうち福祉につないだ件はないんだけれども、給水停止を行った件数は三百二十七件に上るということも分かっています。
福祉につなぐ件が一件もないという一方で、これだけの給水停止を行っているという状況は、あまりに冷たい対応なんじゃないかというふうに思わざるを得ません。
一方で、猶予制度の利用者にかかわらず、全体の中で福祉につないだケースは、昨年度は十九件とのことでした。そして、その役割を果たしているのは、水道の検針員さんたちだということも伺いました。訪問を繰り返しているからこそ、利用者の異変に気づくことができるということではないでしょうか。
支払い猶予の制度の利用者に対しては、訪問や電話による聞き取りを行うなど、一層の配慮をしていただくことを求めます。
給水停止が増えた原因が自らの施策にあると認めるなら、それを改めよ
給水停止が例年と比べて1.7倍以上、18万件へと急増
〇斉藤委員 次に、給水停止の状況について伺います。
二〇二二年度、令和四年度の給水停止の件数と未納カードの発行件数はそれぞれ何件だったでしょうか、教えてください。
◯坂井サービス推進部長 令和四年度の給水停止件数は約十七万九千件、未納カードの発行件数は約百十八万件でございます。
◯斉藤委員 未納カードの発行枚数と給水停止の件数の推移について、資料としても出していただいています。資料の六ページになりますが、これを見ていただいて分かるように、例年は十万件ほどで推移していますが、昨年度の給水停止は、例年と比べて一・七倍以上の約十八万件まで急増しています。
料金未納で対応しなければならない場合に発行される未納カードの発行枚数についても、例年の二倍の約百十八万件、今ご答弁あったとおりですけれども、急増をしているという状況です。
急増の原因は、東京都による制度変更
〇斉藤委員 なぜこれほど増えているのか、その原因が問題です。
昨年度の給水停止と未納カードの発行数が急増していることの要因について、どのように認識しているのか、改めて伺います。
◯坂井サービス推進部長 当局では、令和四年度に行った区部における催告方法に関する制度変更の影響によりまして、期限内にお支払いいただけないお客様が増えた結果、給水停止と未納カードの発行数が増加したというふうに考えております。
なお、給水停止前にお支払いいただけるよう、催告文書の見直しなどの対応策を実施してまいりました結果、今年度九月末時点で見ますと、昨年度に比べて、給水停止と未納カードの発行数は減少している状況でございます。
◯斉藤委員 昨年度に行った区部における催告方法に関する制度変更の影響によるものというご答弁です。つまり、水道局が行っている制度変更のために、給水停止の数が急増していると認めているということですね。
具体的には何が変わったのか。私たちは繰り返し質問してきましたけれども、二〇二一年度までは、料金未納の方に対して訪問による催告を行う委託事業があったんですけれども、それを、二〇二二年度、昨年度からはなくしてしまって、そして、郵送による催告に変えてしまった、それが原因だということです。
先ほど、今年度九月の時点では、昨年度に比べて減少しているというふうにいわれましたけれども、昨年の九月時点では、それこそ例年の二倍近くに増えていて、そこから減っているとはいっても、今年の四月の時点、これも事前にお伺いしていますが、既に八万件を超えており、例年よりも三万件以上多いという状況です。
訪問による催告では、委託の方々が、利用者さんとの対面の中で、少しでも料金を払ってもらって給水停止を回避する、こういう大切な役割を果たしてきました。
私は、一昨年の質疑から、訪問による催告をなくすべきではないということを求めてきましたが、これをなくしてしまった結果が、この給水停止の急増です。原因がここにあると分かっているなら、この制度変更をやめて、訪問による催告を行うべきではないですか。
物価高騰で苦しいとき、行政のやることとして間違っている
〇斉藤委員 物価高騰で都民が一番苦しいときに、自らの原因で給水停止を急増させるなど、行政がやることとして間違っているんじゃないでしょうか。認識を伺います。
◯坂井サービス推進部長 徴収サイクルの見直しにつきましては、業務の効率性と負担の公平性の観点から、これまで検討を行い、実施してきたというところでございます。
繰り返しになってしまいますけれども、当局は地方公営企業でございまして、水道法だけでなく、地方公営企業法に基づく企業の経済性の発揮といったものを求められてございまして、そういった法の趣旨を踏まえまして、適切に事業運営を行っているところでございます。
◯斉藤委員 効率性を図るもの、さらに負担の公平性ということもおっしゃいました。
公営企業法、今引用されましたけれども、経済性を発揮しなきゃならないところを引用されましたが、その後ろには何て書いてありますか。本来の目的、これを教えてください。
◯坂井サービス推進部長 公共の福祉と、それから、低廉な水の供給というふうに書いてあったというふうに認識しております。
◯斉藤委員 今引用されました公営企業法第三条には、経済性の発揮とともに、その後ろには何と書いてあるか、公共の福祉を増進するように運営することが本来の目的ですと書いてあるんです。経済性の効率化ということに偏って、こうした苦しむ都民を自らの原因で増やしてしまっている。こういう公共の福祉に反するようなやり方は改めるべきだというふうに思います。
昨年度の上半期の時点で、既に給水停止の数は二倍近くに急増していて、私たちは、訪問による催告を行うべきだと求めてきましたけれども、水道局は、ずっとそのまま、推移を見守るということもいってきましたが、この対応を変えていない状況です。
水道を止められて追い詰められる都民を増やしておいて、いつまでもこのままではいけないというふうに思います。
徴収業務をおこなう営業所も、事務量がふえて大変に
〇斉藤委員 委託の訪問催告をやめたために、徴収業務を行う営業所でも大変だという声が今届いています。仕事がこなせないほど業務過多になっているという声です。
営業所では電話対応が急増し、さらに、職員が直接、給水停止や開栓の作業に出るために、業務量が大幅に増えて、局直営の営業所からは人員の配置を増やしてほしいという要望が上がっていることを、昨年の質疑でも取り上げました。
その後、営業所への人員の増員は行ったのか伺います。
◯坂井サービス推進部長 令和四年度徴収サイクルの見直しに伴う業務量の変動は、一時的なものでございまして、増員は行ってございません。
なお、催告文書の見直しなどによりまして、収納率の向上やシステム改修による業務の効率化、こういったことで、現在は営業所における業務も落ち着いてきているというふうに考えております。
◯斉藤委員 増員は行っていないということ、さらに、現在は営業所における業務も落ち着いてきているというご答弁でしたけれども、私たちのところには、今でも営業所では業務量が大幅に増えている上に、病欠や育児休業で欠員になる分の補充さえされないという、逼迫した状況だという声が届いています。落ち着いているなどという状況ではありません。
催告文書の見直しなどを行っているということですが、それだけでは抜本的な解決になりません。
水道局がその対応のために行っている対策はそれだけでしょうか。業務の逼迫状況を改善するために、何か人員体制などは取っていないのでしょうか。
◯坂井サービス推進部長 繰り返しで恐縮でございますけれども、令和四年度徴収サイクルの見直しに伴う業務量の変動につきましては、一時的なものでございまして、増員は行ってございません。
◯斉藤委員 一時的なものといいますけれども、昨年からずっとこういう声が上がっていて、現場では今でもその中身は改善されていないという声が届いています。
今、何か対策をやっていないのかというふうに伺いましたけれども、ほかに何かやっているということはないと。そういう答弁がありませんでした。
人員体制を取っていないという状況だというご答弁だと思うんですけれども、水道局は、徴収整理事務補助員を会計年度任用職員として募集をしています。これは局のホームページに載せていますね。職務内容は、水道料金等のお支払いがないお客様への電話催告及びそれらに附帯する事務というふうになっています。なぜこのことを今答弁されなかったんでしょうか。
私は、昨年の質疑で、営業所では電話対応に追われて本当に大変、訪問による催告をやめたわけですから、問合せもたくさん来るというふうに伺っています。給水停止やその後の開栓のために現場に行かなくてはいけない状況で、首が回らない状況だということを訴えてきました。何らかの手を取らなくてはいけないというのは当然のことだというふうに思います。
しかし、今こうした体制をつくって、手だてを取っているという状況でも、それを明らかにしないというのは、今の制度変更が破綻しているということを隠したいからなのだろうかと疑念を持たざるを得ません。
給水停止の急増で、暮らしが厳しく苦しい都民を追い詰めるようなこと、さらに、職員の業務過多を起こして、現場を逼迫させるような今の制度変更は直ちにやめて、訪問による催告を行うように改めて強く求めるものです。
給水停止までのサイクルの短縮はやめよ
〇斉藤委員 そして、水道局では、訪問による催告をやめることと一体に、給水停止までのサイクルを短縮することを検討していたことが、私たちの開示請求から明らかになっています。
水は最後の命綱として、電気やガスなどのライフラインの中でも止まるのは一番最後という認識が一般的に浸透しています。そうした中で、都民の暮らしが厳しいときに、給水停止までのサイクルを短くするということは許されないということを、私は繰り返し訴えてきました。
その後、その検討の結果、サイクルの短縮を行っているのかどうか伺います。
◯坂井サービス推進部長 初回の請求から給水停止までの期間につきましては、変更してございません。
◯斉藤委員 命に直結する水の供給停止までの期間を短くするということは、公共の福祉を増進するように運営されなければならない、先ほど公営企業法を述べましたけれども、その公営企業としてやってはならないというふうに思います。
ましてや、今は物価高騰の中、都民の暮らしが一番苦しいときです。今は当然ですけれども、今後も、命の水を止める、このサイクルの短縮は行わないことを強く求めます。