※ 2024年3月19日、文教委員会
東京で開催されるデフリンピックの認知度を高めて
〇斉藤委員 デフリンピックについて伺います。
デフリンピックの歴史について、東京での開催が決まってから知った方も多いのではないかと思います。私自身も、今回、認識を新たにする機会になりましたが、パラリンピックよりも長い、百年の歴史があるということです。
今回、初めて日本で行われるということで、聴覚障害のある方のスポーツへの参加や、障害のあるなしにかかわらず、共にスポーツを楽しむ機会や、共生社会の実現に向けて、とても重要な機会になるものだと思います。
しかし、デフリンピックの認知度は、まだ低いことも指摘をされています。
デフリンピックの認知度を高めていくために一層の取組が必要だと思いますが、これまでの取組と新年度の取組内容について伺います。
◯木村事業調整担当部長国際連携担当部長兼務 都はこれまで、大会特設サイト等での情報発信に加え、幅広い世代に訴求力のあるアンバサダーを起用するなど、様々な取組を展開しており、来年度は、大会一年前の節目を捉えた取組なども実施し、デフリンピックの魅力を広く伝えてまいります。
◯斉藤委員 来年度の取組内容は、まだ具体的には決まっていないというふうに伺っていますけれども、認知度を高め、特に、障害のない方にも関心を持ってもらえるような情報発信を求めます。
そして、都としてすぐできる取組として、都営地下鉄や都バスを使った広報などの取組を積極的に行うことを求めますが、いかがですか。
◯木村事業調整担当部長国際連携担当部長兼務 都はこれまでも、都営地下鉄駅へのデフリンピックエンブレムポスターの掲出をはじめ、大会の魅力などを広く発信しており、今後も、様々な機会を捉え、効果的な広報を展開してまいります。
◯斉藤委員 都営地下鉄の駅へのポスターの掲出を行っているということですけれども、そのほかにも、車内液晶モニターのチカッ都ビジョンや車内の広告ポスターも活用できると思いますし、都バスのラッピングなども活用できるのではないかと思います。今後も、様々な機会を捉えて広報を展開ということなので、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。
聞こえない選手などとのバリアフリー促進のとりくみ
〇斉藤委員 デフリンピックの大会運営のためには、聴覚障害のある方と、また、海外の選手やスタッフたちとの情報保障を万全にしていくことが必要です。
今年度は、大会での情報保障のために国際手話人材の育成に取り組んできたということですが、その実績と、来年度にはどのくらい増やしていくのか、今後の見通しについて伺います。
◯清水事業調整担当部長 都は、今年度から、国際手話の習得に係る受講費用を支援しており、二月末時点で延べ三百三十一人の申込みがありました。
来年度も、引き続き人材育成を進めてまいります。
◯斉藤委員 国際手話の習得に係る受講費用の支援は、もともと二年間で百六十人分を計上していたと伺いましたが、想定の二倍以上の、延べ三百三十一人の申込みがあったということで、多くの方に関心を持っていただいているということが分かります。
実際にどれくらいの国際手話の担い手が必要になるのか、人員配置計画はこれからだということですが、多くの方が活躍できるように取組を進めていただきたいというふうに思います。
聴覚障害のある方でもない方でも、コミュニケーションのバリアフリーが進むことも大切だというふうに思います。
手話言語をテキストに変換する技術などデジタル技術を活用して、聞こえる、聞こえないにかかわらず、誰もがつながることができる、みるカフェが、昨年十一月に期間限定でオープンしましたが、利用者からはどのような声があったのか、伺います。
◯木村事業調整担当部長国際連携担当部長兼務 みるカフェを利用された方からは、聞こえる人に対しても、聞こえない人に対しても優しい環境で、とてもよかったなどの声をいただきました。
◯斉藤委員 アクションブックにも掲載されていましたけれども、高評価をいただいたということはよかったというふうに思います。
私も、実はお知らせをいただいて、とても行きたかったのですけれども、忙しくて行けなかったこともあり、こうした機会がもっとあれば、関心を持って訪れる人も増えるのではないかと思います。
また、カフェでは、聴覚障害の方がスタッフとして働くと伺っていますが、そうした方々の雇用を増やす、また、そうしたきっかけづくりの場にもなるのではないかと思います。
一回で終わりにするのではなく、みるカフェを今後も開催することや、協力店などを増やして拡充することを求めますが、いかがですか。
◯木村事業調整担当部長国際連携担当部長兼務 都は、障害当事者との相互理解を深めるため、みるカフェをはじめ、当事者との交流を促す取組を実施しており、引き続き、共生社会づくりに向けた様々な取組を進めてまいります。
◯斉藤委員 様々な取組を進めていくということですけれども、せっかく好評価をいただいている取組なので、ぜひ新年度、そして二〇二五年の大会の年も、みるカフェの開催を継続してお願いしたいと思います。
大会を機に、障害者が身近にスポーツを楽しめるように
〇斉藤委員 デフリンピックなど大きな国際大会を通じてレガシーとして発展させていくべきことの一つが、都民スポーツの充実だと思っています。
デフリンピックを契機に、聴覚障害のある方やその他の障害のある方、また障害のない方も含めて、身近に障害者スポーツが楽しめる環境整備が必要だと思いますが、認識を伺います。
◯澤崎パラスポーツ担当部長 障害の種別や有無にかかわらず、誰もが身近な地域でパラスポーツに取り組めるよう環境を整えることが必要であると考え、様々な施策に取り組んでいるところでございます。
◯斉藤委員 障害の種別や有無にかかわらず、身近な地域で取り組めるように環境を整えることが必要という大事な認識だと思いますけれども、まずは、障害のある方がバリアフリーの中で安心してスポーツに取り組めることが重要です。
都立スポーツ施設でのデフリンピックに向けたアクセシビリティー設備の整備などの取組状況と、主なデフリンピック会場における障害者スポーツの団体利用について伺います。
◯高島経営企画担当部長戦略的活用担当部長兼務 デフリンピックの会場となる都立スポーツ施設では、火災警報を光の点滅により示す光警報装置や、避難出口を知らせる誘導灯などを整備します。
このほか、都立スポーツ施設の窓口に、音声を翻訳、文字化して表示するユニバーサルコミュニケーション機器を導入いたします。
デフリンピック会場におきまして、利用者から申出のあった範囲で障害者スポーツの団体利用として確認したものは、令和五年四月から令和六年二月までの実績で、例えば東京体育館で十一件、駒沢オリンピック公園総合運動場で十件、武蔵の森総合スポーツプラザで七件などとなっております。
◯斉藤委員 デフリンピックの会場となる都立スポーツ施設での施設整備と障害者団体の利用実績についてお答えいただきました。
こうした会場で利用が進むことは貴重な前進ですけれども、デフリンピックの会場となる施設だけでアクセシビリティー設備の整備を終わらせることなく、全ての施設でバリアフリーを実現していくことを求めます。
また、今回、可能な限りで利用実績についてお答えいただきましたけれども、パラリンピックやデフリンピックを通じて、障害のある方にもスポーツを楽しむ機会がどれだけ増えているかをつかんでいくためにも、今後は、統計が取れるように、各施設での利用状況を、可能な限り、都として把握していくということを求めます。
都立特別支援学校を利用したスポーツ機会の提供も
〇斉藤委員 障害のある方にも身近にスポーツを楽しむために重要なのが、バリアフリー整備が整っている都立特別支援学校を利用したスポーツの機会の提供です。
都立特別支援学校の体育館等について、一般の団体、障害者団体と、そのうち聴覚障害者団体それぞれの利用状況について伺います。
◯澤崎パラスポーツ担当部長 令和五年度の特別支援学校活用促進事業の利用実績について、施設を貸出可能な日数は、令和六年二月末時点で延べ四千七百二十五日でございます。
一般の団体への貸出日数は延べ千七百九十四日で、貸出可能な日数に占める割合は約三八%でございました。対して、聴覚障害を含む障害者団体への貸出日数は延べ千八百四十日、約三九%でございました。そのうち聴覚障害で登録している団体への貸出日数は延べ三百七十三日で、約八%、障害者団体の貸出しの約二割でございました。
◯斉藤委員 都立特別支援学校の体育館等の施設について、障害者団体の今年度の利用実績は、一般の利用よりも、若干ですけれども、割合が高いというご答弁でした。また、そのうちの約二割が聴覚障害の団体の方々の利用だということです。この数字を出していただいたのも初めてだったということで、ご答弁いただいたことに感謝いたします。
しかし、やはり、先ほども申し上げたとおり、パラリンピックやデフリンピックを通して障害者スポーツの裾野がどれだけ広がっていくのか認識をしていく上でも重要な統計だと思いますので、これからも都として把握していくということを求めます。
大会運営は、ジェンダー平等や多様性を大切にして
〇斉藤委員 次に、大会運営組織の在り方について伺います。
東京二〇二〇大会では、その開会前に、大会組織委員会会長だった森喜朗氏が、女性がたくさん入っている会議は時間がかかるなどと女性蔑視の発言を行ったことが国際的にも大きな問題となりました。
デフリンピックや世界陸上では、ジェンダー平等の視点や多様性を認める視点を大切にすることが求められています。
都が一昨年十二月に示した国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドラインには、大会運営組織における適切な役員等の体制について、取組事例として、外部理事や女性理事の目標割合などを定めた方針の策定ということが示されています。
大切なことだというふうに思いますが、デフリンピックと世界陸上の両大会の運営組織において、外部理事と女性理事の割合はどのようになっているか、伺います。
◯清水事業調整担当部長 世界陸上財団における外部理事の割合は五〇%であり、女性理事の割合は四〇%となっております。
デフリンピックについて、運営実務を担っている東京都スポーツ文化事業団の外部理事の割合は七一%、女性理事の割合は四三%となっております。
また、全日本ろうあ連盟デフリンピック運営委員会における外部委員の割合は七五%、女性委員の割合は五〇%となっております。
◯斉藤委員 スポーツ庁が示しているガイドラインでは、女性理事の割合は四割以上、外部理事は二五%以上と示されていて、その目標は達成しているということになりますが、女性理事が四割とすると、今の名簿で見ると、男性が六割という状況です。
女性が四割いればよいということではなくて、もっと多くてもよいと思いますし、また、多様な性の反映ということでは、男性がもっと少なくてもよいとも思います。
理事のほかにも、リーダー的な役職の女性比率を高めることも含め、今後も努力を続けることを求めます。
また、デフリンピックについては、聴覚障害のある当事者の理事や委員への参加や、意見を反映する仕組みが重要ですが、どのようになっているのか、伺います。
◯清水事業調整担当部長 全日本ろうあ連盟デフリンピック運営委員会には、聴覚障害のある当事者が複数入っており、当事者の意見を踏まえ、準備を進めております。
また、大会開催基本計画策定時には、アスリート会議で当事者の意見を聞くなど、当事者と連携して進めております。
◯斉藤委員 全日本ろうあ連盟から複数の当事者を理事としていること、また、連盟に意見を聞きながら進めていくという仕組みだということです。私たちのことを私たちなしで決めないでという合い言葉を守れるように取り組んでいただきたいというふうに思います。
オリンピックでの談合事件をふまえ、東京からの予算は透明・公正に
〇斉藤委員 次に、計画額について伺います。
今回、デフリンピックと世界陸上の計画額が報告されました。
デフリンピックの計画額は百三十億円ということですが、そのうち、都が新年度に負担する額は十一億円と伺っています。
デフリンピックの来年度の予算額、この十一億円の内訳について、大会を通じて東京の価値を高める経費に五・三億円、東京の価値向上に資する大会開催に向け、必要な環境整備を行う経費に五・九億円ということで、今日の資料要求でも提出をいただいているところです。最後のページになりますけれども。
具体的にはどのような内容なのか、伺います。
◯清水事業調整担当部長 大会を通じて東京の価値を高める経費といたしまして、広報、管理等に五・三億円を計上しております。
東京の価値向上に資する大会開催に向け、必要な環境整備を行う経費といたしましては、オペレーションに四・六億円、その他輸送等に一・三億円を計上しております。
◯斉藤委員 続けて伺います。
世界陸上については、来年度の予算額十八億円の内訳について、大会を通じて東京の価値を高める経費に一・一億円、東京の価値向上に資する大会開催に向け、必要な環境整備を行う経費に十七・一億円ということですが、こちらも具体的にはどのような内容なのか、伺います。
◯三浦事業調整担当部長 大会を通じて東京の価値を高める経費として、広報等に一・一億円を計上しております。
東京の価値向上に資する大会開催に向け、必要な環境整備を行う経費として、仮設等に十三・八億円、オペレーションに二・〇億円、その他輸送等に一・三億円を計上しております。
◯斉藤委員 この世界陸上についてですけれども、仮設については、この財政計画では予算が三十億円ですから、五割近くを都が負担するということですね。なぜ、これらの項目に都の支援を行うのかと事前に伺いましたら、大会がうまく運営され、成功すること自体が東京の価値を高めることにつながるからだというご説明でした。
その理屈でいえば、大会成功のためには、都がどれだけでもお金を出すことができるということになってしまい、そのままでいいのかというふうに思います。
財政計画の文書には、仮設、輸送、オペレーション、広報など各項目の事業について、それなりに詳細に記載されています。その中のどの部分に、どういう理由で都が財政していくのか、明確にしていただくことを強く求めます。
さらに伺いますが、世界陸上とデフリンピックで、それぞれ都が負担する額は全体で幾らになるのでしょうか。
◯三浦事業調整担当部長 今後、都は、大会準備の進捗状況等を踏まえ、大会への支援の内容を精査、検討し、その上で支援の考え方や全体像を明らかにして、都民の理解を得られる大会となるように取り組んでまいります。
◯斉藤委員 これから支援の考え方や全体像を明らかにしていくということなんですけれども、大会まであと一年半という段階で、まだ支援の考え方が決まっていないというのは、どういうことなのかなと思います。
また、支援の考え方が決まっていないとすれば、来年度予算案の額はどうやって決めたのかというふうになりますが、いかがですか。
◯三浦事業調整担当部長 来年度予算につきましては、運営組織から計画額を踏まえた要望があり、都は、その内容を精査、確認し、所要額を計上しております。
◯斉藤委員 要望がありとおっしゃるのですが、その中身は分からない、そして支援の考え方が決まっていないということなんですよね。納得できる答弁ではないと思います。
では、いつどのような形で支援の考え方や全体の金額を明らかにするのか、伺います。
◯三浦事業調整担当部長 今後、都は、大会準備の進捗状況等を踏まえ、大会への支援の内容を精査、検討し、その上で支援の考え方や全体像を明らかにして、都民の理解を得られる大会となるよう取り組んでまいります。
◯斉藤委員 いつどのような形でということにはお答えがないんですね。
財政計画を見ると、収入の計画額のその他の項目の金額が八十億円となっていまして、これは全体の予算の百五十億円の五割以上を占めています。
そして、その欄外には、その他については、今後大会経費のさらなる精査を行いながら、東京都に支援を要望していくとともに、国による大会への全面的支援を、東京都を通じて要望していくと記載されています。つまり、その他の収入の収入源として、東京都と、場合によっては国を想定しているということだと思います。
つまり、東京都の負担、支援は八十億円。国が支援してくれれば少し減るかもしれないですが、そうなる可能性もあるという理解でよろしいですか。
◯三浦事業調整担当部長 繰り返しになりますが、今後、都は、大会準備の進捗状況等を踏まえ、大会への支援の内容を精査、検討し、その上で支援の考え方や全体像を明らかにして、都民の理解を得られる大会となるように取り組んでまいります。
◯斉藤委員 支援の考え方がいまだ、一年半という段階でも決まっていないと。
この財政計画を普通に読めば、その他の収入源として、東京都と、場合によっては国しか想定されていないわけですから、国の支援がなければ、都の支援額は最大で八十億円で計画されているというふうに読めます。
それをきちんと都民の前に明らかにせず、まだ決まっていないというふうに、この直前でも、いい続けているという状況は、本当に五輪の教訓を踏まえ、透明で都民の理解を得ながら国際大会を支援しようとしているのか、疑問です。
この八十億円というのは、全体の五割以上の額になります。都民の前に分かりやすく明らかにしていくことを改めて強く求めます。
都が一昨年に策定したガイドラインでは、都が財政支出を行う場合には、その支出に限定せず、都と大会運営組織が共同でチェックするということになっています。大会の財政支出にチェック機能がしっかり働くかどうかというのは、とても重要なことだというふうに思います。
共同チェックの内容について、議会への報告、都民への公表が行われるのかという我が党のとや理事の質問に対して、共同チェックにおける対応については、今後、必要な検討をしていくというご答弁でした。
その検討状況について伺います。
◯三浦事業調整担当部長 都と運営組織等が共同で契約、調達のチェックを行っており、入札経過など、その内容をホームページに公表しております。
ガイドラインにおいて、情報公開の仕組みの構築は重要であると規定しており、今後も、この趣旨を踏まえて適切に対応してまいります。
◯斉藤委員 情報公開について、今お答えいただきましたけれども、都議会への報告はどうなっていますか。再度伺います。
◯三浦事業調整担当部長 ガイドラインにおいて、情報公開の仕組みの構築は重要であると規定しており、この趣旨を踏まえて適切に対応してまいります。
◯斉藤委員 繰り返しのご答弁をされているんですけれども、都議会への報告はされないのかという単純なことなんです。なぜこれに、検討にそれだけ時間がかかるのか。以前の質問は九月の質問です。本当に真剣に透明性を図っていこうという姿勢があるのか、疑問です。
以前の質疑では、海外の世界陸上では、議会で積極的にこの支出の、行っている事例を紹介させていただきました。世界大会にふさわしく、東京二〇二〇大会のことも反省も踏まえて、大会に係る支出については議会に報告するよう、改めて強く求めておきます。
そして、都民のスポーツ振興に関わって、今回提出されている東京都体育施設条例の一部を改正する条例について意見を述べさせていただきます。
先ほども申し上げたとおり、世界大会を通じて発展させるべきレガシーとして、都民のスポーツの振興を図っていくということは、とても大切だというふうに思っています。
しかし、この改正案では、駒沢オリンピック公園の体育館の利用料が一部値上げになっている内容です。スポーツの裾野を広げていくことが求められているときに、値上げすることは許されないということを申し上げておきます。