※ 2021年11月25日、公営企業委員会
地下鉄ホームと電車の隙間をなくし、車いすで乗降できるように
〇斉藤委員 都営交通のバリアフリーについてです。
交通局では、オリンピック・パラリンピック大会のレガシーとしても、このバリアフリーについての取組の強化を行ってきましたが、大会の終了まででなく、また、大会会場の周辺だけでなく、今後もその理念を広げて、東京全体に施策を進めていくということが本当のレガシーだというふうに考えます。
私は、前期の最初の二年間に公営企業委員として、都営交通のバリアフリーについて取り上げてきました。
都営地下鉄についても、様々なケースを取り上げてきましたが、その一つがホームと電車の隙間や段差をなくして、車椅子の方でも自走で電車の乗降ができるようにしていくということでした。
特に当事者の方々からの要望に基づいて、都営地下鉄の新宿線のホームと電車の隙間の対策を求めてきましたが、交通局では、このホームの端のスロープ化や、くし状ゴムの設置を進めていくということでした。
現在の状況について伺います。
◯坂口技術管理担当部長 都営地下鉄では、高齢者、障害者をはじめ、全てのお客様に安全・安心にご利用いただけるよう、ホームと車両の段差、隙間対策に取り組んでおります。
新宿線では、車両編成により車椅子スペースの位置が異なることから、ホームドア整備に合わせて、ホーム端の全面的なかさ上げを行うとともに、ホームと車両の隙間が広い箇所の乗降口に、隙間を狭めるくし状ゴムを設置しております。
具体的には、平成二十九年四月から、交通局が管理する新宿線二十駅につきまして順次工事を行い、令和二年一月に完了しております。
◯斉藤委員 新宿線の二十駅においてホーム端の全面的なかさ上げとともに、ホームと車両の隙間が広い箇所の乗降口に、隙間を狭めるくし状ゴムを設置、これが二〇二〇年の一月に完了したということです。今後も、対応が必要な箇所の対策を進めていただきたいというふうに思います。
また、都電のさくらトラムの荒川七丁目の停留場でも、隙間の危険性を指摘する声が地元の方々から寄せられています。停留場が、軌道のカーブに当たるところにあり、車両とホームの間に隙間ができてしまう状況で、高齢者がつまずいてしまわないか危険だという声、また、ベビーカーでの乗り降りが大変だという声が届いています。
隙間を埋めるための先ほどのくし状ゴムを設置することや、あるいは電車の停車位置をずらすなど、早急に対策を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
◯坂口技術管理担当部長 荒川七丁目停留場は急曲線上にありまして、地下鉄よりもカーブが急なため、車両と接触させることなく効果的にくし状ゴムを設置することは構造上困難であります。
また、当該停留場は、全体がカーブしておりまして、電車の停止位置をずらした場合でも、ホームと車両との隙間は狭まらないということでございます。
なお、当該停留場では、ホームの先端部を黄色で表示いたしておりまして、転落防止の注意喚起を行っております。
◯斉藤委員 私は、先日、地元の方と一緒にこの現場を見てきました。電車が往来するのをホーム上で見て、隙間について確認をしてきたんですけれども、停車位置を少しずらせば、乗降口の部分の隙間は低減されるのではないかというふうに感じました。全体的にカーブになっているから、ずらしても隙間が狭まらないというのは、理論上はそうかもしれないんですけれども、ぜひ現地調査も含めて検討していただくことを強く要望いたします。
バス停へのベンチ設置を、とくに病院のある路線から
〇斉藤委員 次に、都営バスのバス停についてです。
高齢者や病院を利用する方々から、バス停にベンチを設置してほしいという切実な声が寄せられています。スペースなどの課題もあるかもしれないのですが、それぞれの場所に合った形状のベンチを設置するなど、工夫して取組を進めることができるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
◯太田バス事業経営改善担当部長 バス停留所へのベンチの設置に当たりましては、歩道の幅員等が道路占用許可基準を満たす必要があるほか、警察の許可や停留所付近の地権者の同意などが必要であります。その上で、利用状況のほか、周辺における福祉施設や病院等の立地状況なども考慮して、整備箇所を選定しております。
都営バスではこれまでも、設置スペースなどの課題に応じて、形状等を工夫しながらベンチを設置してきたところでありまして、今後とも、こうした取組を進め、お客様の利便性や快適性の向上に努めてまいります。
◯斉藤委員 バス停に、ベンチや上屋の設置を進めてほしいということは、私も前期の間にも、これまで求めてきましたが、そのときにも同様のご答弁でした。資料要求でも、ベンチ、上屋の設置など出していただいていますが、十年間の取組の中でも、この間、到達はまだ三〇%になっていないという状況になっています。もうちょっと、この要望がたくさん上がっていますので、可能なところにつけていく、極力追求してほしいと思います。
病院等の立地状況なども考慮するということでしたが、まさに病院の近くのバス停にベンチを設置してほしいという要望があります。江戸川区の第二葛西小学校入口というバス停ですが、すぐ近くに病院があり、歩道の幅も五・四メートルあるということです。交通局も直接要望を受けているというふうに思います。病院を利用する方々が具合が悪いときに、バスを立って待たなきゃいけないことが本当に大変だということです。ぜひ設置していただきたいということをこの場で要望させていただきます。
地下鉄駅のエレベーターは2ルート目の設置を
〇斉藤委員 次に、都営地下鉄のバリアフリーについて伺います。
車椅子の方の移動を保障するためにも、地下鉄へのエレベーターの設置は重要な政策ですが、交通局では、全駅でワンルートの確保は完了しているということですけれども、二ルート目の設置状況と今後の設置の方針について伺います。
◯坂口技術管理担当部長 都営地下鉄において、ホームから地上までのエレベーターによるバリアフリールートが複数ある駅は、令和二年度末時点で三十九駅でございます。
バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準の改正等を受けまして、移動距離の短縮を図る観点から、バリアフリールートの複数化につきましては検討を進めており、現在、各駅の利用実態や用地の確保、駅構造上の課題などを勘案しながら、エレベーター設置の可能性につきまして検討を深めているところでございます。
◯斉藤委員 バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準の改正等を受けて、バリアフリールートの複数化について検討を進めているということ、また、各駅のエレベーター設置の可能性についての検討を深めているということです。
先日、都庁前駅を利用されている車椅子の方からご要望が寄せられました。都庁の周辺の民間企業で働く車椅子の利用者の方ですけれども、都庁前駅には、エレベーターが職場と離れた出口にしかなく、毎日の通勤に苦労をしているという声が寄せられました。
障害のある方々への合理的配慮を義務として掲げた障害者差別解消条例を制定した東京都として、その足元の都庁前駅で、二ルート目のエレベーターを設置し、誰もがアクセスしやすい環境をつくることに大きな意義があると思いますが、見解を伺います。
◯坂口技術管理担当部長 都庁前駅のバリアフリールートの複数化につきましても、これまで検討してまいりましたが、用地の確保や駅構造上の制約など様々な課題があるものと認識いたしております。
◯斉藤委員 検討をしてきたけれども、用地の確保や構造上の制約など課題があるということです。なかなか簡単なことではないというふうに思いますが、私は、障害のある方々への合理的配慮を義務として掲げた東京都として、都庁前駅で整備をしていくということには、本当に大きな意義があると思います。
当事者の方は、都庁前駅から会社へ移動するには、特に雨の日は大変だということでした。傘を差すことができないので、車椅子利用者の専用の雨がっぱを着ると。これも一苦労で、また、渡る道路にも段差があるため、毎日の負担が大きいということです。この周辺には民間企業のオフィスビルが多いですけれども、そうした民間事業者とも連携をしながら、エレベーターの設置が可能な箇所を追求する、そういう取組をぜひ進めていただきたいというふうに思います。
車いす利用者が電車内SOSボタンを押しやすくする工夫を
〇斉藤委員 また、車椅子を利用している方から、電車内のSOSボタンについてのご要望も寄せられました。ふだんの乗り降りを駅員さんに介助してもらうために、乗る駅の駅員さんから降りる駅の駅員さんに電車の降りる時間が伝えられ、到着する時間ですね、これが伝えられ、降りる駅の駅員さんが、その時間にホームで迎えてくれるという流れになっているということですが、乗る駅での駅員さんが連絡をし忘れたり、また、時間が間違って伝わっていたりするということで、降りるはずの駅で降りられないということが複数回あったということでした。このときに、SOSボタンを押していいのかどうかが分からずに押せなくて、周りの人にお願いをして降ろしてもらったということです。こうした降りられずに困ったときに、このSOSボタンを押していいのかどうか周知をしてほしいということでした。
車椅子利用者など、困ったときに車内のSOSボタンを押すこと、また、押しやすくするための取組について伺います。
◯市川電車部長 都営地下鉄の全車両に設置している非常通報器は、車内で非常事態が発生した場合に、お客様から乗務員または指令員に通報できるものでございます。
現在は、他社線での事件も踏まえ、お客様に非常通報器による通報にご協力いただけるよう、ポスターやSNS等による周知に取り組んでおります。
非常事態発生時、お客様に非常通報器を適切にご使用いただけるよう、引き続き周知を徹底してまいります。
◯斉藤委員 こうしたケースで押すということについて規定はありませんでしたので、利用していいということだというふうに受け止めましたけれども、他社線で事件などが相次いで、非常通報器、このボタンを適正に利用してもらえるように周知するというご答弁でした。ぜひ、車椅子の利用者の方で乗り降りができないなどのお困り事のときには、利用できることなども併せて当事者にお知らせができるようにしていただきたいというふうに思います。
駅エスカレーターで、音声での行先案内を
〇斉藤委員 次に、視覚障害者の方々からの要望です。
私は、エスカレーターに行き先を含む音声案内を整備してほしいということ、この要望も繰り返し行ってきました。
交通局では、大規模改修に合わせて設置をしていくということでしたが、それでは何年待てばいいのか分からないという声が届いています。せめて視覚障害者の方々がよく利用し、要望の上がっている場所については整備をしていくべきだと思いますが、見解を伺います。
◯坂口技術管理担当部長 交通局では、国が監修するバリアフリー整備ガイドライン旅客施設編に基づきまして、老朽化したエスカレーターの更新等の機会を捉えて、音声案内装置を設置いたしております。
今年度は、視覚障害者団体よりご要望もございます上野御徒町駅など五駅二十七基のエスカレーターに音声案内装置を設置いたしまして、累計で五十駅、二百四十九基で音声案内を行う予定でございます。
引き続き、エスカレーターの改修や更新の機会を捉え、音声案内装置の設置を進めてまいります。
◯斉藤委員 視覚障害者の方々が要望してきた上野御徒町駅や、また新御徒町駅などでも整備される予定だということも伺いました。こうした前進があることは本当によかったなというふうに思います。しかし、私も以前から要望してきた三田線の三田駅はまだとのことですが、三田駅の近くには、障害者福祉会館があり、視覚障害者の方々がよく利用する駅です。このほか要望が上がっている駅を含めて優先順位を高めて、音声案内の設置をぜひ進めていただきたいというふうに思います。
駅ホームで、夜9時以降もアナウンスを
〇斉藤委員 次に、駅ホームでのアナウンスについてです。
都営三田線の地上駅において、午後九時以降はホームの放送が行われず、入ってくる電車がどこ行きなのか、ホームのどっち側に電車が入ってくるのかということが、視覚障害者の方々が分からなくて困っているという相談が寄せられました。
午後九時以降でも、ホームのアナウンスを流してほしいという要望に対して検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
◯築田鉄軌道事業戦略担当部長 都営三田線では、地上駅六駅のうち西台駅、高島平駅、新高島平駅の三駅につきまして、ホーム上の自動放送の実施を二十一時までとしてまいりました。
今般、視覚障害者のお客様からの要望を踏まえまして、今月一日から西台駅の自動放送を二十一時以降も行う取組を試行しております。
他の二駅につきましても、西台駅での結果を踏まえまして、自動放送の延長を検討することとしております。
◯斉藤委員 今月一日から、西台駅で二十一時以降の自動放送を試行中ということでよかったというふうに思います。私も新高島平駅に行ってみましたが、やはり二十一時以降はアナウンスがありませんでした。視覚障害者の方は、アナウンスがなく、すっと電車が入ってくると、どっちのホームに入ってきているのかということが分からずに困るということでした。今は、試行中ということですが、近隣住民の方々にも配慮は必要かとは思いますが、誰もが使いやすい駅へと改善していただくということを改めて求めます。
バス停に、シグナルエンドに対応する音声案内の設置を
〇斉藤委員 バリアフリーのテーマの最後に、シグナルエイドの設置について伺います。
視覚障害者の方々から、毎年、バス停にシグナルエイドに対応する音声案内を設置してほしいという要望が寄せられています。今年も交通局と懇談を行った団体から、交通局からは、スペースがないということや、上屋や電源がないと設置できないという回答だったというふうに聞いています。
実際には、自治体の負担で設置しているバス停もありますが、交通局として、設置できる場所を、調査を行っているのか伺います。
◯太田バス事業経営改善担当部長 シグナルエイドに対応した音声誘導装置の設置に当たりましては、都営バスの停留所は数が多いため、費用が高額となることに加え、上屋が装置の設置に適した形状であること、電源確保が必要であることなど様々な課題がございます。
こうした中、都営バスでは、江戸川区の音声誘導システムの設置事業に協力しておりまして、区が設置を希望する停留所において、区の負担で音声誘導装置を設置しております。
今後とも、地元自治体から要望があった場合には、設置可能性を調査するなど必要な協力を行ってまいります。
◯斉藤委員 バスの停留所は数が多いということですけれども、全部のバス停につけられないということでも、せめて視覚障害者の方々からの要望のある停留所については、設置の可能性について検討するべきではないでしょうか。
シグナルエイドは、視覚障害者の方々に日常生活用具として給付されるものです。バス停名などが視覚障害者の方々にも分かるように、シグナルエイドに対応し、音声で名称を案内できるようにしていただきたいというふうに思います。都として、主体的に設置可能性を調査することを改めて求めます。