※ 2023年6月16日、公営企業委員会
動物園の魅力として、世代をこえて愛されてきた
◯斉藤委員 私からも、この東京都懸垂電車条例を廃止する等の条例について幾つか確認をさせていただきたいと思います。
昨年十一月に、施設を所有する建設局において、恩賜上野動物園新たな乗り物整備に関する基本方針が示されたことを受けて懸垂電車事業を廃止するものですけれども、ここに至るまでの経過については、これまでこの委員会で私も質問させていただきました。これまでこの片腕式モノレールの老朽化によって更新が必要だったものの、同型のモノレールを生産するメーカーやその生産ラインもないということで、二〇一九年十一月から運行休止となっていました。
しかし、上野動物園の東園と西園を結ぶこのモノレールは、長年都民に親しまれて、運行休止の当時も、運行を続けてほしい、また、運行を再開してほしいという声が届けられてきました。私自身も、子供がまだ小さかった頃に一緒にモノレールに乗って、森の中をゆっくりと進むモノレールの中から、子供が喜んで窓に張りついて森の様子をじっくりと眺めていて、親としても一緒に楽しめる、本当に上野動物園の大きな魅力の一つだったというふうに感じています。
ご年配の方々からも、自分が小さかったときにも楽しみだったし、孫とも一緒に楽しんだという声もありました。まさに世代を超えて愛されてきた乗り物だったというふうに思います。
モノレールを惜しむ都民からの声
〇斉藤委員 そこで伺いますけれども、上野動物園のモノレールの存続に関して、運行休止以降、交通局に届いている声についてどのようなものがあったか伺います。
◯築田鉄軌道事業戦略担当部長 モノレールの運行を休止しました令和元年十一月から昨年度末までの間に、交通局には、モノレールの再開を求めるものや代替の交通手段の愛称に関するものなど、十件のご意見が寄せられております。
◯斉藤委員 運行停止以降もモノレールの再開を求める声が交通局にも届いてきていたということですけれども、公園を所管する建設局では、二〇二一年六月から七月にかけてアンケート調査を行っていて、モノレールを再開してほしいという声が寄せられています。
民間のウェブアンケートと東京動物園協会の上野動物園のホームページで行ったアンケート調査に合わせて二千二百の回答があったということです。
新規乗り物の利用の意向については、ぜひ利用したいが四一%、機会があれば利用したいと合わせると八七%にも上っています。自由記述の欄には、モノレールを再開してほしいという内容が二〇%、軌道系の移動手段を含む乗り物が必要という回答が二九%あったという結果になっていて、多くの方が、新しいモノレールまたは乗り物に期待をしているということが分かります。
貴重な技術遺産として、来場者に知らせていく努力を
〇斉藤委員 建設局では、基本方針の中で、新しい乗り物は小型モノレールなどコンパクトな乗り物を想定しているというふうにしていますけれども、同時に、これまで交通局として運行してきた歴史や、世界でも近年では、ドイツで現存しているものと、この上野動物園での二例しかなかった片腕懸垂式のモノレールの貴重な技術についてなど、レガシーとして来園者の目に触れられるような形で残しておくことも重要ではないかと思っています。
そこで伺いますけれども、今回の条例改廃を受けて、鉄道事業法上の事業廃止手続を進めていくのに当たって、交通局では、事業廃止に向けて、建設局と調整や情報共有の場などはあるのかどうか伺います。
◯渡貫企画担当部長DX推進担当部長兼務 事業廃止には国への届出が必要でございまして、これまで、進め方などについて、施設を所有、管理している建設局とも調整しながら、国に実務的な相談を行ってございます。
◯斉藤委員 建設局とも関わりながら事業廃止の手続を行っていくということです。
日本共産党都議団としても、同型のモノレールを続けることが難しいという背景もあり、懸垂電車事業の廃止には賛成という結論ですけれども、これまで交通局が運行してきた歴史については大事にしていただきたいと考えています。
上野動物園のモノレールは、皆さんはよくご存じだと思うんですけれども、戦後まだ間もない一九五七年から東京都の実証実験としてスタートし、鉄道事業法に基づいて交通局が運行してきたということですね。これは、仕事として携わってこられた皆さんはよくご存じのことだと思うんですけれども、しかし、都民にとっては意外と知られていなかった史実でもあるかというふうに思います。私も初めて知ったときは、東京の歴史の一つを知った思いになって、驚きがありました。
また、片腕懸垂式モノレールも世界で二例目だったという貴重な技術遺産として、価値のあるものではないかと思います。
こうした交通局が関わってきた史実を、展示品もしくはパネルのような形で残して、来園者にも知っていただける、そういう工夫を行うなど、交通局から建設局へと、ぜひ、要望や情報共有を行っていただくということを求めて、意見とさせていただきます。