23区と都立学校での給食無償化が決まり、この変化をさらに進めようと訴えました(2023年11月29日、文教委員会)。ところが、自民・公明・都民ファなどは給食無償化を求める陳情を否決。その直後、東京都は補正予算を増額し、多摩地域での給食費無償化を後押し。ついに2025年1月から、都内すべての公立小中学校で、学校給食費の無償化が実現しました。
◯斉藤委員 私からも、この小中学校の給食費無償化に関する請願について伺います。
この請願は、都内の小中学校の給食費の無償化を実現するために、区市町村への食材費等の補助をしてほしいという趣旨ですけれども、給食費の無償化を求める声は、今や全都的に広がり、多くの都民の願いになっています。この請願に賛成の立場で質問をいたします。
多摩地域の無償化が少数にとどまっている現状を、どう認識しているか
〇斉藤委員 まず、無償化の現状について確認しておきたいというふうに思いますが、二十三区では、単年度の措置も含めて、何らかの形で全ての区が給食費の無償化に踏み出していますが、多摩地域の無償化は少数にとどまっています。
都教育委員会では、都内の自治体の無償化の状況について把握していますか。
◯岩野地域教育支援部長 学校給食法では、学校給食は設置者が実施することとされております。
都内で学校給食費の無償化を実施している自治体があることは承知しております。
◯斉藤委員 都内で無償化を実施している自治体があることは承知しているということで、具体的な数等についてはご答弁がないのですけれども、二十三区では、全ての区が無償化を実施、また表明をしているその一方で、多摩地域では、もともと無償化をしていた奥多摩町や利島村などの五町村のほかは、時限的、限定的に無償化を行う府中市や武蔵村山市、狛江市など、少数にとどまっています。
住んでいる自治体で教育条件の格差が生じないようにするためにも、東京都の責任が問われています。
都教育委員会は、学校給食費の無償化が新たな多摩格差になっているということについて、どう認識していますか。
◯岩野地域教育支援部長 区市町村立小中学校の学校給食費につきましては、学校設置者である区市町村が決定しており、保護者負担の軽減策等につきましても、区市町村の判断により行われているものと認識しております。
◯斉藤委員 私ね、格差が生じていることについての認識を伺ったんです。法律のことを聞いているわけじゃないんです。
学校給食費の無償化で新たな多摩格差が生じているということは、お認めになりますか。
◯岩野地域教育支援部長 繰り返しのご答弁になりますが、学校給食費につきましては、学校設置者である区市町村が決定しており、保護者負担軽減策等についても、区市町村の判断により行われているものと認識しております。
◯斉藤委員 格差が生じているということの認識については、あくまでもご答弁されない。できないのか分かりませんが、正面からお答えにならないのは、もう現実から目を背けたいからなのかというふうに思ってしまうんですけれども、都内の多くの自治体で、無償化を求める声に応えて動き出しているというときに、一番力のある東京都が背を向け続けているというのは許されないというふうに思います。
私は、多摩地域にお住まいの方々から、どういう現状があるのか、伺ってきました。
多摩地域では、中学校の給食がない自治体がまだ残っています。注文すればお弁当が届くというスクールランチの仕組みで食事を提供しているある自治体では、就学援助の要保護世帯においても、喫食率が六五%と低い状況になっている状況です。
その理由として、冷たくておいしくないといわれている、このお弁当を毎日食べていると、お弁当代が無償の世帯だということが分かってしまう、そういうことを気にして、毎日注文ができないという生徒さんがいるということなんです。
私は、このことを聞いて、こういうことを以前にもお話を伺ったことがあるんですけれども、今回改めて伺って、給食があるかないか、また、全員が無償化かそうではないかで、子供たちにそんな切ない思いを、無償の対象になっているお子さんに対して、そういう気を遣わせてしまっている、こういう現実を改めて知って、本当に驚きまして、そして胸が痛む思いです。
すぐにでも解消していかなければならないというふうに思いますけれども、都教委は、このような実態があることをご存じですか。
◯岩野地域教育支援部長 学校給食は設置者が実施することとされており、保護者負担の軽減策等についても、区市町村の判断により行われているものと認識しております。
◯斉藤委員 さっきからずっと同じ答弁を繰り返していて、聞いていることに全くかみ合わない、こういう答弁ばかりされているんです。私は、こういう実態があることを知っているかどうかということを聞いたのであって、法律のことなど聞いていません。
今、給食費をめぐってのこの環境は大きく変化しています。自治体による無償化の実施、未実施のほかに、対象や期限の違い、また、多摩地域の一部のように、中学校には全員給食がない自治体、さらに、特別支援学校では、自治体による違いのほか、同じ学校内でも、居住区によって無償化になる児童生徒と有償の児童生徒が混在しているということなど、基礎自治体だけの動きになっているために、様々な差が生まれてしまっている状況です。
給食のあるなし、また、無償化かそうでないか、これでどのような状況が現場で生まれているのか、実態調査を行うことを求めますが、いかがですか。
◯岩野地域教育支援部長 都教育委員会では、毎年度、学校給食の実施率、調理方式等の実施状況や学校給食費などについて調査を行い、学校給食の実態として公表をしているところでございます。
◯斉藤委員 統計としての調査を行っているというのは、私も知っています。数字だけでなく、今、これだけ給食費の無償化や支援が複雑に入り組んでいる中で、子供たちや学校現場にどのような影響が生じているのか、把握していく必要があるのではないかというふうに思います。教育の条件の格差を解消していくためにも実態調査を、まず、この実情をつかんでいくということを求めます。
食育がおびやかされる状況の打開のためにも、無償化が必要
〇斉藤委員 今、物価高騰が長く続く中で、給食費の無償化は、保護者の負担軽減、子育て支援の柱として切実な願いになっています。
先日の事務事業質疑でもいいましたけれども、二〇二三年に値上げされる商品は三万品目を超え、バブル崩壊以降、最大級の値上げだといわれている中で、給食費の無償化は、家計を支える上でも喫緊の課題です。
一方で、今回、都民の方々から改めてお話を伺う中で、この給食費の無償化や支援の目的は、福祉的な視点だけではないのではないか、食育の側面からも重要なのではないかという声を改めていただきました。
我が党は、食育としての給食の重要性について、これまでも繰り返し訴えてきましたが、私は、先日の事務事業質疑でも、その重要性について伺いました。
そのとき、都立学校教育部長からは、給食への補助の意義について、保護者の負担軽減を図ること、そして、法律で、食育の推進は重要なことと位置づけられていますというご答弁がありました。
教育長も、食育の推進は重要なことという、同じ認識をお持ちですか。
◯浜教育長 学校給食が児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすものであるという学校給食法を尊重しております。
◯斉藤委員 今、教育長から、児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断を養う上で重要な役割を学校給食が果たしているという、この法律を尊重しているという重要なご答弁がありました。
まさに食育基本法において、学校給食は教育の一環として位置づけられ、学校において魅力ある食育の推進に関する活動を効果的に促進することにより、子供の健全な食生活の実現及び健全な心身の成長が図られるよう食育を推進するということを求めています。
しかし、この豊かな食育に深刻な影響が及ぶ状況が続いています。私たちは、この間、栄養士の方々からもお話を伺ってきました。学校現場の栄養士さんからは、物価高騰の中で、値上げをしないで何とかやりくりするために、お肉やお魚の量を減らしたり、旬の野菜は高いから購入するのを控えたり、果物も小さく切り分けたりせざるを得ない、こういう声が寄せられています。イベントや季節に合わせた特別メニューなどは、なかなか出せなくなっているということです。
伺いたいのですけれども、こうした給食の質に影響が及んでいる状況があることを、どう認識していますか。
◯岩野地域教育支援部長 学校給食につきましては、学校給食法で各設置者が実施することとされております。
その実施につきましては、各区市町村の判断で行われているものと認識しております。
◯斉藤委員 各学校とか自治体の判断ということで、繰り返しのご答弁なんですけれども、こうした給食の質に影響が及ぶ状態になっているということ、この認識を聞いたんです。
先ほどのご答弁のとおり、この食育についてですけれども、学校給食が児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすというものだと、まさしく教育長からのご答弁がありました。
給食は、食育の一環として、食育の推進が位置づけられていることからも、給食の質に影響が出る状況や、自治体によって全員給食が実施されていない状況があることは、直ちに解消しなければならない最低限の教育条件の課題だというふうに思いますけれども、認識を伺います。
◯岩野地域教育支援部長 繰り返しのご答弁になりますが、学校給食につきましては、各設置者が実施することとされております。
各設置者の判断で適切に実施されているものと認識しております。
◯斉藤委員 何を聞いても、設置者の判断でやっているということしかお答えされないというところに、今の教育庁の姿勢が表れているんじゃないかというふうに思います。
今、特に物価高騰で食材のやりくりが厳しくなっている中で、旬の野菜や地元の野菜、果物などを味わったり、季節のメニューを学んだりする機会が失われてきているということは、教育の一環として位置づけられている食育の保障ができなくなっているという事態ではないでしょうか。こうした現実にきちんと目を向けて、支援を行っていくということが必要だと思います。
保護者の負担軽減、子育て支援の視点のほかにも、子供たちの豊かな食育を支える意味でも、この東京都の支援は大きなもので、切実に求められています。
多くの自治体から、東京都の支援が求められている
〇斉藤委員 この間、無償化の広がりの中で、中学校の全員対象の給食がない東村山市では、大きな変化が起きているというふうに伺いました。東村山市では、各地での給食費の無償化の広がりの中で、中学校に温かい全員給食を求める陳情が全会派一致で可決されたということです。
東京都が無償化の支援を行えば、給食の実施や無償化に向けて、各自治体で、多摩地域においても大きなはずみになっていくと思いますが、いかがですか。
◯岩野地域教育支援部長 学校給食法では、学校給食は設置者が実施し、食材費等の学校給食費は児童または生徒の保護者が負担することとされております。
学校給食費の取扱いにつきましては、国の責任と負担によるべきものと考えております。
◯斉藤委員 設置者が実施するもの、国の責任によるものということで、ずっと繰り返されているんですが、伺いますけれども、東京都市長会は、学校給食費無償化への補助を都の来年度予算に対する最重点要望として、給食費の全額補助を国が実施するまでの間は都が財政支援すること、これを求めています。
市長会からの要望をどう受け止めていますか。また、この市長会からの要望には何と書いてあるか、伺います。
◯岩野地域教育支援部長 食材費等の学校給食費につきましては、児童または生徒の保護者が負担することとされており、学校給食費の取扱いについては、国の責任と負担によるべきものと考えております。
なお、市長会からは、給食費の全額補助を国に働きかけること、また、実現までの間、都において財政支援を行うことについて要望があったことを承知しております。
◯斉藤委員 今、この最重点要望、市長会のこの要望の一部についてお答えいただきましたけれども、ご答弁のとおり、国からの全額補助の実現までの間は都において財政支援を行うということを求めているんです。
さらに、この市長会からの要望には、このように書かれています。児童生徒及び保護者が居住する自治体によって大きな教育格差を感じることがないように財政支援してほしいということが書かれているんですね。
まさにこの無償化の格差は教育条件の格差であり、自治体の努力だけでなく、都の責任として解消しなければならない、そういう問題ではないでしょうか。
そして、二十三区においても、何らかの形で区が無償化に踏み出したとはいえ、対象が限定されている区があったり、時限的な措置となっている区もあって、無償化が続けられるのかという懸念があります。
市長会だけでなく、特別区長会も、来年度の予算要望で、学校給食への支援について財政措置を講じることを都に求めています。
この区長会からの要望について、この受け止めと、その内容について、何と書いてあるか、伺います。
◯岩野地域教育支援部長 区長会からの要望につきましては、特別区が実施する学校給食への支援について財政措置を講じること、国に対しては、国の負担において学校給食の無償化を進めること、また、恒久的な財源支援までの間、交付金の創設等により支援を拡充するよう働きかけることなどの要望があったことを承知しております。
◯斉藤委員 この要望の文書の一部について、今、お答えをいただきました。
この区長会からの要望には、さらにこういうことが書いてあります。学校給食食材の価格高騰が継続している中、学校給食を安定的に提供するために、特別区が実施する学校給食への支援について財政措置を講じること、これを求めているんですね。安定的にこの学校給食を提供するためにも、都の支援が求められているということです。
市長会、区長会を含めた都民の大きな声に応えていくべきです。
責任逃れの態度をとりつづける東京都は、姿勢を改めるとき
〇斉藤委員 最後に伺いたいのですけれども、都教委は、この間の質疑、そして、今日の質疑の中でも、給食費の無償化について、学校給食法では、食材費等の学校給食費は児童または生徒の保護者が負担することとされている、このことと、また、学校給食費の取扱いについては国の責任と負担によるべきもの、こういう答弁を毎回のように繰り返しているんですね。
しかし、そういう中でも、各自治体は独自に支援に踏み出しているわけです。
都教委は、この間、この法の立てつけばかりを答弁されていますが、しかし、一九五四年、昭和二十九年に発出された文部事務次官通達、ここでは、学校給食法等の規定について、経費の負担区分を明らかにしたもので、例えば保護者の経済的負担の現状から見て、地方公共団体、学校法人その他の者が、児童の給食費の一部を補助するような場合を禁止する意図ではないとされている、こういう通達を出している。これは、三月の予算特別委員会で教育長が答弁をされています。
この認識、これは間違いありませんよね。伺います。
◯岩野地域教育支援部長 すみません、認識というのは、答弁されているということについてでしょうか。──今の認識というのは、教育長が答弁されているということの認識ということでしょうか。
◯斉藤委員 教育長が答弁されているということに加えて、この文部事務次官通達、教育長が答弁された内容ですけれども、この通達で、児童の給食費の一部を補助するような場合を禁止する意図ではない、このように学校給食法等の規定についていっているわけです。その中身は間違いないですよねということ。
◯岩野地域教育支援部長 失礼いたしました。
そのとおりでございます。
◯斉藤委員 そのとおりということで、間違いないということであるならば、法によって給食費等は保護者が負担するものと、こういう言い訳をずっと繰り返しているというのは、もうやめたらどうかというふうに思うんです。各自治体は、この文科省の通知に基づいて、今や学校給食法を言い訳にするようなことはしていません。
国会においても、二〇一八年の、我が党の吉良よし子参議院議員がこの通達について確認をした質問に対して、文科大臣が、地方公共団体が給食費を補助することを禁止するものではないということを改めて認めています。
東京都だけ、いつまでも取り残されたかのように同じ答弁を繰り返すというのは、もうやめるべきです。都民の声、市長会、区長会の声に応えて、無償化の実現に向けての支援に踏み出すことを強く求めて、質問を終わります。