23区すべてが学校給食の無償化にふみだし、7つの区では地域にある都立特別支援学校で無償化するなか、また、物価高騰で食材費が高騰するなか、東京都はついに、都立学校の給食1食あたり30円の補助を決定。その問題点をただし、実効性のあるものにしながら、さらに都立学校の給食無償化への責任をはたすよう求めました。(2023年11月21日、文教委員会)
◯斉藤委員 まず、都立学校の給食費の補助についてです。
学校給食費の無償化は、子育て世帯の負担軽減の柱として、二十三区では全ての区が実施に踏み出しました。都立の特別支援学校に対する無償化も、確認できているだけでも七つの区で実施することが発表され、都立学校の設置者としての都教育委員会の姿勢がますます問われていると思います。
今日は、この給食費の補助、物価高騰の対策のこの補助を中心に伺いたいというふうに思います。
なぜ給食費補助の学校への告知が、期間終了の間際になったのか
〇斉藤委員 都教育委員会は、六月の第二回定例議会で物価高騰に対応した補正予算を組み、都立学校の給食費の補助、給食のある全ての学校の児童生徒に対し、一人一食三十円を行うことが議会で可決されました。
改めて、この補助金のこの意義と、一食三十円の算出根拠と予算総額について伺います。
◯村西都立学校教育部長 学校給食費支援金は、食材の物価高騰への対策として、給食に要する食材費に対する支援を実施することにより、保護者等の負担軽減を図るものでございます。
支援金の算出根拠は、令和四年度の一食当たりの平均給食費三百六十七円に、消費者物価指数上昇率八・三%を掛け合わせた額となっており、予算総額は五千三百四十六万九千円となっております。
◯斉藤委員 意義については保護者等の負担軽減を図るもの、予算総額は約五千三百五十万円ほどだったということです。無償化には程遠いものの、大事な取組だというふうに思います。
しかし、当初の教育庁の考えでは、全ての児童生徒が対象ではなく、給食の値上げを行う予定にしていた学校のみを対象としていたことが分かり、我が党は、給食のある全ての学校の児童生徒を対象にするべきだと求めてきました。
値上げをしない学校でも、何とかしのぎながら、お肉やお魚の量を減らしたり、高い野菜は避けたり、つまり給食の質に何らかのしわ寄せになるような状況で耐え忍んでいる現実があり、そうした学校に補助を出さないというのはあまりに酷なことで、全ての学校を対象にするというのは当然のことだというふうに思います。
そして、この補正は、六月の議会で決めて、四月分から遡及して補助をするものでしたが、六月中旬に補助が都議会で可決されたものの、学校現場では具体的なことが分からず、本当に三十円の補助を前提に食材を購入したり、献立を立てたりしていいのか分からないという、そういう声が届いております。
補正予算が可決された後、学校には、いつ、どのようなお知らせをしたのか、時系列でお示しください。
◯村西都立学校教育部長 都教育委員会では、補正予算の議決後、八月十七日に、学校給食費支援金の交付要綱と給食費支援金交付申請に係る通知を都立学校に発出しております。
◯斉藤委員 一人一食三十円の補助がされるということを学校に明確に通知をしたのは、いつですか。
◯村西都立学校教育部長 ただいま答弁しました八月十七日の通知でございます。
◯斉藤委員 六月の議会で決まったことについて、学校現場へのお知らせが八月の下旬ということですが、なぜ二か月もかかったのか。六月に四月から九月までの半年間の補助が決まったのに、結局、八月中旬までは補助金を使うことができなかった、半年のうち補助金を使えたのは、九月のたった一か月だったということになります。
これでは、議会で議決された予算の執行を正しく行っているとはいえないのではないでしょうか。
◯村西都立学校教育部長 学校給食費支援金の交付対象期間は、令和五年四月一日から九月末日までとなっており、六月下旬の補正予算の議決前に遡及して適用されることがあらかじめ予定されているものとなっておりました。
都教育委員会は、給食費支援金の補正予算の議決後、詳細を定める支援金交付要綱を作成するための事務作業を行い、八月に要綱を学校に通知したものでございます。
したがいまして、補正予算の議決に従い、一食当たり三十円の支援金について、四月から九月分を一括して学校に交付いたしました。
◯斉藤委員 議会では、四月から九月までの半年間の補助として一人一食三十円を可決したのですから、六月二十一日の閉会直後に学校に知らせて、補助金を見込んで食材を購入したり、献立が組めるようにするべきだったのではありませんか。
◯村西都立学校教育部長 支援金を見込んだ献立を現場で組むためには、一食三十円の支援金について、制度の詳細を要綱として決定した上で、学校に通知することが必要でございます。
◯斉藤委員 最終的に制度の詳細が必要なのは当然だと思うんですけれども、しかし、一食三十円の補助金を出すこと自体を、先に学校に通知することもできたのではないでしょうか。献立を変えなくても、補助が入ると分かれば、お肉や魚を多めにするとか、給食の質を高めることに使えます。
今は、年度途中でも、物価高騰が続く中、一刻でも早く補助金によって単価を引き上げて、そして給食の質を守っていきたいというのが、現場の栄養士さんたちの気持ちです。今後は、こうした学校現場の状況を考慮して、現場に寄り添う対応を行うことを求めます。
食材の高騰がつづく中、食育の観点からも補助のいっそうの充実を
〇斉藤委員 食材費高騰が今でも続く中、給食費の補助は今後も切実に求められています。
都立学校の給食補助について、十月以降はどのような対応になっているのか、伺います。
◯村西都立学校教育部長 食材の物価高騰などの状況を踏まえまして、引き続き、都教育委員会として保護者負担等の軽減を図っているところでございます。
十月以降の給食費支援金については、給食を実施する全ての学校を対象とし、一食当たり三十円を上限として、四月から九月までの支援金の執行状況を踏まえ、交付することとしております。
◯斉藤委員 十月からの後期分については、ご答弁の内容で、十月三十日付で学校に通知を出しているというふうに伺っています。十月以降も、引き続き保護者負担軽減を図ることは重要だというふうに思います。
ただ、十月以降は、九月までの執行状況を踏まえて交付するということですが、補助金を後出しして、そもそも使えない状況だった中で、余っているだろうから十月以降もそれを使えばいいというやり方では、四月からの補助といえるのだろうかと疑問です。
もう一つ伺いますけれども、十月から年度末の三月までは、一食当たり三十円の一律の補助ではなく、上限三十円の補助としたのはなぜですか。
◯村西都立学校教育部長 二定の補正予算では、食材費の高騰に対応するために、保護者負担の軽減に向けて、国の臨時交付金を活用し、本年四月から九月までの給食費に対する支援を実施しております。
給食費は年度で管理しており、年度途中の給食費の保護者等の負担を増加させることは影響も大きいものでございます。年度末までの保護者負担額を据え置くには、各学校の執行状況を把握し、追加で対応が必要となる金額を精査した上で、臨時交付金の残額を活用する必要があるため、十月以降は、四月から九月までの執行状況を踏まえ、対応することとしたものでございます。
◯斉藤委員 九月までの補助の執行状況を学校に報告させた上で、一食当たり幾ら必要なのかを各学校に申請させるというふうに伺っています。
給食の単価は、学校ごとで様々ばらつきがあるということも伺っていますが、どの学校でも、少しでも多く補助が欲しいのは同じではないでしょうか。
九月と十月を比べても、食材費は値上がりをしている状況です。十月からは、ハムやソーセージなどの食肉製品や調味料など四千五百品目が値上げとなり、二〇二三年に値上げされる商品は三万品目を既に超え、バブル崩壊以降、最大級の値上げだというふうにいわれています。
単価を抑えて頑張っている学校も多くあると思いますが、どういう努力がなされているのか。冒頭でもいいましたけれども、お肉やお魚、果物の回数や量が減ったり、高い旬の野菜は避けたり、いろいろな創意工夫もあるかもしれないですが、結局、給食の質にしわ寄せされる現状があるわけです。
ちょっと伺いたいのですけれども、先ほど最初のご答弁で、補助の意義について、保護者負担の軽減を図るものということでしたけれども、意義はそれだけでしょうか。
給食の質の向上や食育の推進なども重要なことだと思いますが、いかがですか。
◯村西都立学校教育部長 もちろん、法律で、食育の推進等は重要なこととして位置づけられております。
◯斉藤委員 給食の質の向上、食育の推進、これはもちろん位置づけられているという認識ですけれども、しかし、この対応を見ていると、そこに意識がちゃんとあるんだろうかと疑問を持たざるを得ません。
いうまでもなく、この給食費の補助は、保護者の負担軽減だけでなく、子供たちが食べる給食の質を守り、向上させる大切な意義があります。
私たちが栄養士さんから伺ったお話では、エビフライはもう十年も出していないとか、例えばクリスマスやイベント、季節に合わせた特別なメニューもなかなか出せなくなっているということなんです。食育に資する豊かな給食が出せなくなっている現状なんです。その現状にきちんと目を向けていただきたいというふうに思います。
給食の無償化へ、都立学校の設置者として責任をはたせ
〇斉藤委員 もう一つ、このテーマの最後に伺います。
私たちは、給食費の無償化こそ必要だと求めてきました。しかし、都は、給食費の無償化は、国の責任あるいは学校設置者の判断と繰り返し、都の責任については語ってきませんでした。
今、都内では、冒頭申し上げたとおり、都立特別支援学校の給食費を無償化にする自治体が、確認できただけでも七区まで広がってきています。同じ都立学校の中で、給食が無償の学校と負担のある学校の差が生まれてしまっています。
また、特別支援学校は学区が広いため、同じ学校の中で、無償とそうではない児童生徒がいるのは望ましい状況とはいえないと思いますが、いかがですか。この問題を解決するのは、学校設置者である東京都の責任ではないですか。見解を伺います。
◯村西都立学校教育部長 まず、学校給食費については、法において保護者等の負担であることが明記されております。
各自治体、また東京都、それぞれ国の交付金等を使って物価高騰に対する支援を実施するところでございますが、それはあくまでも国の交付金が、国の責任においてやっているという認識でございます。
様々な自治体が──としていろいろ判断はしているところでございますけれども、法において全国一律に学校給食が実施されているという現状を踏まえれば、この取扱いについては、国がしっかりと、その責任と負担でやるべきものと考えております。
◯斉藤委員 またこれまでと同じような答弁が繰り返されているんですけれども、同じ特別支援学校の中で、この負担の在り方、無償のところとそうじゃないところの差がある、こうした状況の解決、その責任は、一義的に、この学校設置者である東京都の責任ではありませんか。認識を伺います。
◯村西都立学校教育部長 繰り返しの答弁で恐縮でございますけれども、あくまで学校給食は法の定めに基づいて実施しているものでございますので、その取扱いについては、国の責任と負担でやるべきものと考えております。
◯斉藤委員 法に基づいてということを繰り返されるんですけれども、しかし、今の現状は、東京都の中で、明らかに都立の学校の中で差ができている。これはもう、東京都の学校設置者としての責任が大きく今、問われている状況だというふうに思います。
私たちは、都立学校の給食費の無償化を学校設置者の責任として進めていくこと、これを求めておりますけれども、少なくとも今回の物価高騰対応の補助金についても充実をさせて、そして継続していくことを強く求めて、次の質問に移ります。