【英語スピーキングテスト】 開始15分前まで試験監督を急募!開き直りは許されない

都立高校の入試に活用される試験であるにもかかわらず、運営側の不手際で255人もの中学生が再受験となった英語スピーキングテスト。その杜撰さをしめす、試験当日の試験監督の応募メールをしめし、追及しました。都教育長は「適切」と言い放ち、被害者の中学生からの声に、色をなして反論する異常な姿があらわになりました。(2025年3月14日、予算特別委員会)

目次

試験監督が集まらず、開始1時間前に募集メールをだす異常事態

〇斉藤委員 英語スピーキングテストについて伺います。

 都立高校の入試に活用するために、中学三年生を対象に実施された今年度の英語スピーキングテストでは、大量のタブレットの不具合や、ずさんな試験運営が発生し、本人には何の非もないのに再受験になった生徒が二百五十五人にも上る事態となりました。

 受験生や保護者、試験監督から、公平、公正な試験になっていない実態について、多くの声が上がっています。しかし、教育長は、これらの声には耳を貸さず、試験は適切に実施されたと、ひたすら繰り返しています。

 今日は、いかにこのテストがずさんなものなのか、改めて明らかにしていきたいと思います。

 まずこちら、このパネルをご覧ください。資料も今配布しておりますので、見にくい部分は資料で見ていただければと思います。

 これは、事業者が試験の当日に試験監督の募集を呼びかけたメールです。十三時に始まる試験当日のお昼の十二時過ぎに配信されたものです。ここに何と書かれているか。

 試験監督緊急募集、勤務時間は本日この後すぐと記されて、何と試験開始の直前十五分前まで試験監督を募集しているんです。これもう開いた口が塞がらない、まさに異常事態です。

 この状況のどこが適切なんでしょうか

○坂本教育長 今お示しをいただいているパネルの文章、手元に今ペーパーも配られて、私もちょっと拝見をしております。

 こういう内容については、今日も委員会がございますので、逐一業者とはいろんなやり取りをしているんですけれども、そういう中でどういう状況であったかということをいろいろとつぶさに今調べているところでございます。

 それで、その中から、今、業者から出ている内容については、通常やはり試験というのは突発的にいろいろな事態が起きるものである、そして、そういう場合は、業者としては会場の運営について−−基本的には適切に運営はできているんだと。ただ、当日のあらゆる事態に対応するために、念のために当日の様々な要員についても若干名を募集はすると。こういうような取扱いの一つとしてこういうペーパーが、ペーパーというか、このメールがちょっと本物かどうかの真偽はちょっと私もはかりかねるんですけれども、そういうような状況の中で出されたメールの一つという可能性はあるものと考えているところです。

 それで、実際にここにいろいろと、役割とか時間給とかいろいろ出ていますけれども、結局、業者からの報告によれば、若干名、当日急に体調が不調になって出席ができない、監督ができないとかいろいろあったようなんですけど、監督は間に合ったようです。実際には会場の誘導に数名の人間が立った、そういうような事例はあったと聞いておりますので、根本においては適切に、会場においては運営をされたと、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

○斉藤委員 今、突発的にとか若干名とかいいましたけれども、一部なんかの話じゃないですよ。このメール、よく見てください。会場名、会場のある所在地。足立区もあります。江東区、板橋区、練馬区、葛飾区、府中市、もう広範にわたって、そして十二の会場で、これ呼びかけられているんです。

 公正、公平なテストが求められる、このテストにおいてこんなことが許されるのか。基本的に適切とこれはいえるのか。本当にとんでもない状況だというふうに思います。

 試験開始の十五分前まで試験監督が準備できていない、誰がどう見ても異常な事態ですよ。

 知事、この異常事態、適切だったといえますか。知事に伺います。(坂本教育長発言を求む)知事です。知事に聞いています。

○坂本教育長 明快かつ正確にお答えをいたします。

 内容としては、こういうメールがあったかどうかの真偽は、私はまだ確認はできておりません。仮にこれが現実のもので正確であったとしても、仮を前提とするお答えというものはしないというようなこともあるんですが、あえてこれを前提として、正しいものであるというようなことがあったとしても、この中に会場が幾つもあります、当日のオペレーションにおいては、いろいろな学校で直前の午前中、早い段階から、今日はこの会場に何名行きそうだ、この会場は二名ちょっと来ない、そういう場合はお互いに人数のやりくりをします。それによって、ほぼ、当日その会場において適切な人数は、ほぼ完璧に確保できるような体制としているんです。

 ただ、そういう中にあって、若干間に合わなかったような事例がある、そういう場合には、その若干の方、それをどういうような形で対応するかというのはケース・バイ・ケースです。

 それで、今回の場合におきましては、会場の誘導係ですので、誘導する程度の話であれば、そんなに難しいスキルやノウハウは必要ないと。そういう意味合いにおいては、適切に行われたといっても過言ではないものと考えております。

○斉藤委員 これ、驚きの答弁ですよ。試験の十五分前に呼びかけていて、それで適切っていうんですね。どうなんですか。もう教育者としてあるまじき状況だと思います。

 先ほど、真偽、承知していないっていいましたけど、これね、この場で初めていったことじゃないんですよ。文教委員会で取り上げています。知らないなんていえない話ですよ。調べていないんですか。今まで何やっていたんですか。あまりにひどい、ひどい状況です。

 本当に、この英語スピーキングテストは都民の税金、今年度だけでも四十三億円をかけています。巨額の税金をかけても十五分前まで試験監督が集まっていない、とんでもない状態です。

試験会場でなにが起きていたのか

〇斉藤委員 ある会場では、五十五人中十二人も欠勤し、試験の各部屋に人が配置できなかった事例が報道され、私たちも直接お話伺っています。

 さらに、この英語スピーキングテストが入試に関係するテストだとは知らなかったという試験監督の証言も報道されています。

 実際、募集案内にも都立高校の入試に使うテストだとは書いてありません。これ、ネットで検索すればすぐ出てきます。こういうの確認されていないんですかね。本当にひどいです。

 私たち、別の監督からも同様に入試に関わるテストだということを知らずに来たということを聞いています。試験監督が入試に関係するテストだと知らない、それでも適切なんて到底いえないと思います。

区市町村の教育委員会の証言から

〇斉藤委員 そして、私たちの下には、この下でどんなことが起きているのか、区市町村の教育委員会からお話伺いました。

 中学校からの情報で試験監督の指示の誤りについて、例えば、試験監督が用意、始めの合図を忘れ、指示を待っていて回答ができなかった、ハンドシグナルが必要なんですけど、これがやらなかった、また、試験監督の声が小さく、始めるタイミングが分からなかった、こういう事例が届いているんです。

 試験監督が試験開始の合図も満足にできない状況を適切なんて到底いえないというふうに思います。

 大体この試験の十五分前まで試験監督の急募が、緊急募集が呼びかけられていたという状況でまともな試験にできないのは当然だというふうに思います。

 今回の事業者の対応について教育長会でも問題にしているということを私は伺いました。教育長会は、テストの実施状況に関する報告が都教委から行われたときに、再発防止について都教委の担当者に口頭で申し入れたということです。テストに問題があった、適切ではなかったというのは、教育長会でも共通の認識になっているということです。この事実に向き合えていないのは都教委だけです。

 これが適切だといえるのは、教育長だけじゃないですか。この事態を見て、誰が適切だったというふうに子供たちに対していえるんでしょうか。あまりにひどい東京都の在り方です。

報告書の改ざんを暴いたテレビ報道も

〇斉藤委員 そして、MXテレビでは、報告書の改ざんも報道されました。この改ざんについて、(トラブルのあった)タブレットの数を報告する、このまとめ役の方が、ここは是が非でもゼロといって書換えをしている、こういうことがもう報道されています。

 こういう、これすら本会議の答弁では、ちゃんと調べたのかどうかもまともに答弁をしなかった。隠蔽を許すということではないでしょうか。

 そもそも、一度に七万人の受験生にスピーキングテストを行う、しかも、民間事業者にやらせるということ自体に無理があります。これだけの事態を起こしていて、中学生に多大な被害を与えている英語スピーキングテストは、知事の責任で一刻も早くやめさせるべきです。

被害にあった中学生の訴えに、真摯に向き合え

〇斉藤委員 被害に遭った中学生本人や、それを学校から聞いている自治体の教育委員会、そして見るに見かねた試験監督から、これほど声が上がっているのに都教委の職員が口をつぐんでいる、これは本当に中学生に対しても、都民に対しても、許されない行為です

 被害に遭った中学生の声を紹介します。

 機材のトラブルのせいでテストを受けさせてもらえず、聞きたくもない他人の解答を聞かされ、何もできずに時間を無駄にしました。同じフロアの中で三十人近く受けられずに別室にいました。四時四十分ぐらいまで何もいわれず、ただ待たされました。五時くらいになって、係員に、長い時間待ってもらって申し訳ないのですが、本日のテストは中止させていただきますといわれました。そして、十二月十五日に再受験してくださいといわれました。受験生の大事な時間を無駄にされて非常に腹が立ちます。都が行うにはさすがに段取り悪過ぎます。受験生の私たちには全く非がないのにもかかわらず、どうして再試験をして時間をまた奪われなくてはいけないのか。都の行うことには本当に失望です。私たちの税金でこんなくそみたいなテストを行うなんて、税金の無駄遣いとしか思えません。

 こういう、本当に子供たちの怒りの籠もった、理不尽なことをさせられた、この思いの籠もった言葉が届けられています。テストを強行させている知事の責任は重大です。

 同時に、この問題にまともに向き合わず、後押しを続けている与党をはじめとする議員の姿勢も問われます。傷ついているのは子供たちです。このことに破綻が明らかな英語スピーキングテストは、すぐにでも中止し、その予算を教員の増員に使って、生きた英語を学ぶ環境づくりこそ進めることを強く求めて、質問を終わります。(拍手)

質問の終了後、都教育長が無理やり発言

   〔坂本教育長発言を求む〕

   〔発言する者多し〕

○川松委員長 坂本教育長、訂正があるんだったら、しっかりそこの意見で−−私の議事整理権で坂本教育長に、公平に、だって一方的にいっているから。

○坂本教育長 ただい……

   〔発言する者多し〕

   〔斉藤委員私は質問していません」と呼ぶ〕

○坂本教育長 ただいま質問者から、何点かにわたってご意見を頂戴しておりますけれども、まず教育長会の中で、これが不適切であったというような共通の認識があったというような事実は、私は一切承知をしておりません。

 さらに、改ざんなどが行われて、これをゼロにするというような、そういうようなやり取りがあったというような報道をベースにしてご質問があったんですが、その報告の内容に関しましては、恐らく、この報告書ではなくて、報告書に基づいて何らかの記入が行われていると思っておりますが、実際にこのペーパーの中に記入をしたとしても、最終的には台数の確認を行うこととなるために、この記入用紙に書換えを行うこと自体は全く無意味な行為であるというふうに考えております。

 さらには、段取りが悪いからといって、このスピーキングテストというものを全く認めない、そういうような考え方というものはあり得ないものと思っております。

 いずれにせよ、適切に行われているために、これは引き続きスピーキングテストを東京都教育委員会としてはしっかりと進めていきたいと思います。

○川松委員長 交渉係、集まってください。−−本件については、理事会において協議いたします。ご了承願います。

 斉藤まりこ委員の発言は終わりました。

★ 〔 質疑の動画 〕

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