※ 2023年12月15日、文教委員会
◯斉藤委員 公衆浴場向けの燃料費高騰への補助について伺います。
物価高騰、燃料費の高騰が続く中、公衆浴場への燃料費の補助は、引き続き切実に求められています。
我が党は、公衆浴場への燃料費の補助を充実させて継続していくことを求めてきましたが、今回の補正予算で支援の継続のための予算が組まれたことは、大変な状況に置かれている経営者の方々にとって、少しでも助かる措置になるものだと思います。その上で、その支援額の考え方や実績について伺っていきたいと思います。
これまでの補助の実績をふまえ、手続きの簡素化などの対策を
〇斉藤委員 都は、昨年九月から、この公衆浴場向けの燃料費の補助を行っていますが、その補助について、この間の経過と実績について伺います。
◯片岡消費生活部長 公衆浴場向け燃料費高騰緊急対策事業は、これまで、令和四年九月補正予算と令和五年六月補正予算により、二回実施しております。
それぞれの実績につきましては、一回目は三百八十軒、二回目は三百六十四軒から申請があり、申請のあった浴場全てに交付を行っております。
◯斉藤委員 今回で三度目の補正予算になりますが、一回目の実施では三百八十軒、二回目は三百六十四軒に対して補助を行ったということです。
先ほども質問がありましたけれども、現在では約四百六十軒の公衆浴場がある中で、約二割の事業者さんが補助を受けていないということになります。
都では、全ての事業者さんに連絡を行って補助事業の説明を行っていると伺っていますが、その中で、補助を申請しない事業者さんの声も伺っているのではないかと思います。
補助を申請しない事業者がいる理由については、どのように分析しているのか、改めて伺います。
◯片岡消費生活部長 申請がなかった浴場全てに、直接申請を促しておりますが、全体の二割弱の浴場は、燃料費の状況など、個別の事情により申請を行わなかったものでございます。
◯斉藤委員 事前に詳しく伺いましたけれども、例えば燃料費の状況というのは、ガスや電気ではなくて、廃材のまきを使っているということなどがあって、燃料費がかからないというケースもあるというふうに伺いました。
一方で、手続が面倒だということ、先ほどの質疑にもありましたけれども、こういう声が最初の補助のときからあったというふうに聞いています。
私も、この補助の要綱と申請用紙を拝見しましたけれども、提出書類が十種類以上、そして添付書類など、例えば小さな家族経営のようなところでは、本当に大変だろうなというふうに感じました。
この申請の手続の簡素化など、具体的にどのように行われているのか、伺います。
◯片岡消費生活部長 都の補助金等交付規則に基づきまして、要綱で根拠書類を定めておりますが、本事業におきましては、これまで添付書類の省略などを行ってきておりまして、今回も、可能な範囲でさらなる簡素化を図る予定でございます。
◯斉藤委員 添付書類の省略などを行っているということですが、今年度は、前期の半年分の補助を六月の補正で経営者の方々に申請していただいているので、引き続きの申請の方には、決算書や、直近の燃料費の支払い額が分かる領収書などは求めないということも伺いました。
また、初回のときには、区市からの補助がある場合には、その情報も求めていたようですけれども、今回は、都の方でその情報をつかんでいるということで、求めないということも伺っています。
今回も、可能な範囲でさらなる簡素化を図るということでした。今後の補助に当たっても、なるべく事業者の手続の負担は軽くできるようにしていただくことを求めます。
銭湯の統制価格の値上げ分(1人あたり20円)を、なぜ補助から減らすのか
〇斉藤委員 次に、支援額について伺います。
先ほども質疑がありましたけれども、今回の補正予算は、一浴場当たり十四万四千円、月額で二万四千円となりますが、前回、六月の補正のときには、半年で十八万円、月額で三万円だったので、月額でいいますと六千円の減額というふうになっています。
一浴場当たりの補助上限額が減っている理由についてですが、もう一度、改めてご答弁をお願いいたします。
◯片岡消費生活部長 補助上限額は、半年分の燃料費の高騰影響額相当でありまして、令和四年の燃料費実績額と令和五年の燃料費推定額の差額に入浴料金統制額引上げによる増収分を加味したものでございます。
七月に統制額を引き上げたことから、前回とは補助上限額が異なっているものでございます。
◯斉藤委員 つまり、燃料費の高騰影響額から、七月に価格統制額の引上げをした分を差し引いているということなんですね。
ご存じのとおり、今年の七月には、東京都公衆浴場対策協議会の議論などを踏まえて、この統制価格は五百円から五百二十円に引き上げられています。その二十円分を差し引いたために、補助上限額が減額になっているということなんですね。
私は、この価格統制額の引上げ分を燃料費の補助から差し引くことが必要なのだろうかということ、大きな疑問です。
赤字経営や廃業が広がる銭湯に、東京都からの支援拡充を
〇斉藤委員 そもそも銭湯の経営は、特にコロナ禍での影響もあって、本当に厳しい状況が続いています。
五月に行われた同対策協議会でも、経営の厳しい状況について議論されておりますが、六月の議会では、我が党のとや英津子理事も、この場で取り上げています。
都は、都内の標準的な浴場四十軒の収支等の年間過不足を調査していますが、その過不足の平均額は、二〇二一年は約百六十五万円、二〇二二年は約二百九十四万円、そして、今年、二〇二三年の平均不足額は二百九十一万円と推定しているということです。
事業者によって差があるかとは思いますが、平均でこれだけ赤字の状況が続いているということです。
この五月の同対策協議会は、統制価格の値上げについて話し合われていて、私も、この議事録を拝見しましたけれども、本当に切実な意見が多くありました。
都は、統制価格と実際にかかる費用、原価、適正な利益との乖離、いわゆる乖離額というものを毎年算定していますが、今年度の乖離額は七十九円というふうに算定されました。つまり、実際に採算が取れる金額としては、あと七十九円足りないということです。
議事録には、乖離額や昨今の状況を考えると、引上げは避けられないという声や、乖離額が今年は七十九円ということについて、本来このぐらい上げなければ銭湯経営が難しいというのは理解するが、現実的な値上げ幅となると、二十円あたりが上げやすいのかなという声、また、この同対策協議会に先立って開かれた小委員会でも、客離れのリスクを回避したい浴場にも配慮した小幅な引上げがよい、また、物価統制令の消費者保護の趣旨からも、大幅な引上げは避けるべきという声が並んでいます。
経営を考えたら値上げが必須、しかし、お客さん離れを考えたら採算ラインに見合う値上げもできない、また、誰もが低廉に銭湯に親しむことができる消費者保護の銭湯の原点も大切にしたいという思いの間で、本当に経営者の皆さんは苦労されている、苦悩されているということがよく分かります。
ここでちょっと認識を伺いたいんですが、こうした現状の打開には、東京都こそ、その役割を果たす必要があるのではないでしょうか。認識を伺います。
◯片岡消費生活部長 銭湯は、利用者の減少や後継者不足による転廃業等のため減少しておりまして、都では、都民の入浴機会の確保と公衆浴場経営の安定を図ることを目的として、本事業も含め、各種支援策を実施しております。
◯斉藤委員 私は、コロナ禍以降、都内の幾つかの銭湯の経営者の方々から、とや理事と一緒にお話を伺ってきましたが、今回も改めて経営者の方からお話を伺いました。
最近は、地元の銭湯組合の会合にも毎回参加しているという方でしたが、やはりその会合でも、統制価格の値上げが必要だという声、しかし一方で、お客さん離れが心配で値上げを回避したいという声もあるということでした。だから、そういう意味では、東京都の支援がもっとあれば、それが一番いい解決策なんじゃないかというふうにお話しされていました。
東京都公衆浴場対策協議会でも、同様の声がしっかりと上がっております。都としての支援策を強化していただきたいと改めて思いましたという意見や、本当に銭湯の自助努力だけではやっていけない状況だと思いますので、国や東京都にも手厚い補助をお願いしたいという意見です。
横山局長もここに参加されておられるようでしたので、その現状については、よく認識されていることだというふうに思います。しかし、東京都は、この間、補正による公衆浴場向けの補助に対して、都の財源は一円も出していません。
事業者の悲痛な声を聞けば、東京都こそが、自らの責任で、この補助の拡充と継続を行っていく必要があると思いますが、見解についてお伺いいたします。
◯横山生活文化スポーツ局長 ただいま公衆浴場の現状について様々なご指摘をいただきました。
経営が厳しいという状況については、私どもも十分認識をしておりまして、公衆浴場対策といたしましては、今回、補正予算をこういった形で提出させていただいているほかに、従前から、例えば公衆浴場が様々な変わり湯などの事業をやるときに、組合を通じて補助をするですとか、建て替えあるいは省エネルギー化の設備更新等について、様々な補助のメニューも用意しております。
こうした各種メニューを活用しながら、これからも引き続き公衆浴場の経営を支えていきたいと考えております。
◯斉藤委員 局長からのご答弁がありましたけれども、しかし、その様々な支援をやっている、その上で上がっているのが、先ほど来ご紹介している、この悲痛な声なわけなんです。
東京都の支援が、今、本当に銭湯の皆さん苦しくて廃業が続いているという中にあって、求められているということを改めて考えていただきたいというふうに思います。
今回お話を伺った事業者さんの中には、来年の四月以降には補助はなくなってしまうのではないかと心配される方もいらっしゃいました。そのときが怖いというお話でした。
公衆浴場は、今でも毎年十軒程度の事業者さんが廃業しているという厳しい状況です。東京都の責任を今こそ果たして、そして、この補助の拡充と継続を行うことを強く求めて、質問を終わります。