※ 2022年3月16日、公営企業委員会
はじめに
〇斉藤委員 ジェンダー平等の視点について伺います。
三月八日の国際女性デーに合わせて、イギリスのエコノミスト誌が発表する女性の働きやすさランキングでは、主要二十九か国中、日本は二十八位と発表され、六年連続でワースト二位にとどまっているという状況です。男女の賃金、この格差や管理職の割合など、十項目を指標としているものですが、いまだに女性が家庭と仕事のどちらかを選ばなければならない状況が続いているというふうに指摘をされています。
ジェンダー主流化に取り組み、女性が働きやすい環境をつくることは、男性にとってもライフ・ワーク・バランスの働き方につながり、豊かな生き方につながるものだと思います。
また、女性の視点を都の行政に取り入れていくことも、誰もが生きやすい社会をつくる上で大事なことだと思います。
そこで、男性の育児休暇と女性職員の登用について伺います。
男性職員の育休取得への努力をさらに
〇斉藤委員 新年度から、改正育児・介護休業法の施行によって男性の育児休業が段階的に導入されます。
男性が育児に参加する環境の整備は大きな意義があると思いますが、交通局では、男性職員の育児休暇の取得向上のための取組としてどのようなことを行っているか伺います。
◯牧野職員部長 交通局では、全管理職がイクボス宣言を行いまして、男性職員の育児休業取得を含めました働きやすい職場づくりに率先して取り組むことを職場において表明しております。
また、管理職が、配偶者の妊娠が判明した男性職員を把握した際には、面談等様々な機会を捉えまして、育児休業の取得を奨励するとともに、休業中の職場運営につきまして、周囲の職員と協力しながらスケジュール調整や分担見直しを行うなど、安心して育児休業を取得しやすい環境づくりに努めております。
◯斉藤委員 管理職から男性職員へ育児休業の取得を奨励したり、休業中の職場運営について、職員で協力して調整していくという取組はとても重要だというふうに思います。
育児休業の取得人数と取得率の推移について、資料要求九ページ目に示していただいております五年間の推移を見てみますと、五年前はたった二%でしたけれども、二〇二〇年度には二七%まで上がっているということが分かります。
取得した男性職員からの声は
〇斉藤委員 そこで、育児休業を取得した男性職員からはどのような声や感想が出ているか伺います。
◯牧野職員部長 実際に育児休業を取得した男性職員からは、職場の理解が得られるか心配な面もあった、休業取得中の業務運営をうまくやりくりしてもらった、周囲の職員が応援してくれてうれしかった、妻を助けることができたなどの声がございました。
◯斉藤委員 周囲の職員が応援してくれてうれしかった、また、妻を助けることができたと、職場や家庭でも、前向きの感想があったということはとてもよかったというふうに思います。
ただ、ちょっと水を差すようですけれども、ジェンダー平等の視点からいうと、妻を助けることができたという感想だと、パートナーさんから怒られてしまうかもしれません。家事も育児も、助けるとか手伝うというものではなくて、本来は、男女が共に主体的に行うものです。家事や育児は女性が行うものと決められているものではないんだという意識改革を行うことが必要だというふうに思います。
いずれにしても、こうした経験を積み上げていくということはとても大事なことだというふうに思っています。また、職場で育児休業を取りやすい環境や意識をつくっていくことが、育児休業の取得のハードルを下げていくに当たっても重要だということが、この感想の声からも分かります。
取得期間をみると、まだ遠慮があるのでは
〇斉藤委員 実際にどのくらいの期間育児休業を取ったのかということも大切な視点です。二〇二〇年度の男性職員の育児休業の取得期間について伺います。
◯牧野職員部長 令和二年度の取得人数は二十九名でございまして、このうち、取得期間が一か月以下は十一人、一か月を超え三か月以下は十人、三か月を超え六か月以下は五人、六か月を超えた職員は三人でございました。
◯斉藤委員 三か月を超えて六か月以下が五人、六か月を超えて取ったという方は三人いらっしゃるということで、長めに取っている方もいるということで、これもよかったなというふうに思います。しかし、一番多いのは、やはり一か月以下だということで、まだまだ遠慮の気持ちや不安があるのかもしれません。
取得のさらなる促進へ、とりくみ強化を
〇斉藤委員 育児休業の取得率は二七%まで伸びてきていますが、女性に比べればまだまだ低い状況です。取組の強化が必要だと思いますが、いかがですか。
◯牧野職員部長 育児や介護に関連する休暇等を取得しやすい職場づくりは重要であると認識しております。
このため、交通局では、先ほどご答弁申し上げましたとおり、事業所も含めた局全体で、東京都職員「ライフ・ワーク・バランス」推進プランに基づきまして、様々な取組を進めてまいりました。こうした取組もありまして、男性の育児休業取得率は、平成三十一年度の一六・四%から、昨年度は二七・一%へと増加しております。
今後とも、ライフ・ワーク・バランスのさらなる推進に向けまして、男性職員も育児休業を取得しやすい職場環境づくりに努めてまいります。
◯斉藤委員 育児、介護関連の休暇等を取得しやすい環境づくりは重要だというとても大事な認識だと思います。
私自身も、夫婦共働きで、夫が育児休暇を取ったのは十一年前ですけれども、休んだのは十日間と、まだまだ短い育児休暇でした。しかし、五年前に私が議員になってからは、夫は、ほぼ毎日、夕方六時半には帰宅をして、夕食を作り、子供とお風呂に入って寝るというところまで主体的にやってくれています。それぞれがバランスを取れるこの時間の使い方に工夫が要りますが、濃淡をつけながらでも、子供との時間や家事の時間を取るということは、人生を豊かにしてくれるものだと感じています。ジェンダー平等の視点を職場にも家庭にも目指していくということについては、私自身も悪戦苦闘しながらチャレンジ中ですけれども、交通局の皆さんと同様に頑張っていきたいと思っています。
女性職員が3%にとどまる現状を改め、積極的な登用を
〇斉藤委員 次に、女性職員の登用について伺います。
こちらも、提出していただいた資料によると、四ページ目ですけれども、交通局の女性職員の割合がずっと三%台になっているということで、驚きの数字です。
女性職員の割合、今年度は三・六%となっていますが、管理職での割合は幾つでしょうか。
◯牧野職員部長 令和三年四月一日現在におけます交通局の管理職に占める女性の割合は、三・七%となっております。
◯斉藤委員 管理職も三・七%だということで、この委員会でも前から気にはなっていたんですけれども、理事者の皆さんの中でも、女性が少ないというか、今いらっしゃらないような状況ですかね。東京都の職員全体の中での女性の係長以上の管理職は三〇%、課長以上だと二〇%というふうになっているということを総務局からも確認をしていますが、世界的水準からすると、それでも低いですけれども、交通局では、東京都の平均からさらにその十分の一近くまで低いという状況です。
交通系の仕事には、もともと女性が少ないということがあるんだと思いますが、今では、東京メトロやほかの事業者でも女性の駅員さんの姿はよく見るようになっています。
女性職員の数の引上げや管理職への登用は、ジェンダー平等の視点から、また、交通政策の策定においても重要なことだと思いますが、見解を伺います。
◯牧野職員部長 女性職員の活躍は重要と考えておりまして、交通局におきましては、女性職員のシャワー室や仮泊室の設置など働きやすい職場環境の整備を進めているところでございます。
また、交通局で実施しております運輸系職員の採用に当たりましては、女性職員の体験談や仕事と育児の両立を支援する休暇制度を採用ホームページに掲載しております。
管理職の登用に当たりましては、公平、公正な選考を実施し、性別にとらわれない実力本位の任用管理を行っているところでございます。
◯斉藤委員 都営交通で最近問題になっております痴漢や盗撮の対策をはじめ、バリアフリーなど公共交通サービスの向上において、女性の視点を生かすため、管理職への登用を増やしていくべきだと思います。
交通局の職員の採用については総務局で所管しているものですが、女性職員を増やすことの重要性について認識を共有して、採用を広げていただきたいと思います。
また、駅の係員や乗務員、バスの運転手など運輸系の職員は、交通局独自で採用を行っているというふうに伺いました。女性職員のための職場環境の整備や採用に当たってのPRにも取り組んでいるということなので、ぜひ力を入れていただきたいと思います。
痴漢被害者への対応のためにも、女性の駅係員の増員を
〇斉藤委員 特に、女性の駅員さんの増員は、今、強く求められています。駅や電車での痴漢や盗撮の被害について、日本共産党都議団は実態調査を行い、多くの女性が最も身近に受けている性被害が痴漢や盗撮であり、その多くが駅や電車内で起きているということが明らかになっています。アンケートには、駅での対応についても声が寄せられました。都営交通だけにいわれていることではないんですけれども、通報時や被害届提出時の駅員や警察官による二次被害、セカンドレイプですね、この防止を求める声や女性の駅係員の増員を求める声が寄せられています。
鉄道や駅構内での痴漢や盗撮の被害に遭う女性が多くいる中で、駅係員の対応は重要なものです。被害にあった女性が、その内容を男性の係員に話すことには抵抗もあります。
駅係員として女性の職員を増やすことが重要ですが、いかがですか。
◯牧野職員部長 先ほどご答弁したとおりでございますけれども、交通局では、駅係員を含めまして、運輸系の女性職員の確保に向け、様々な取組を実施しているところでございます。
なお、駅構内や車内で痴漢や盗撮などの被害の訴えがあった場合には、男性、女性を問わず、駅係員や警備員が初期対応に当たるとともに、速やかに警察に通報し、対応しております。
◯斉藤委員 男性、女性問わず対応に当たるということは当然なんですけれども、今、圧倒的に男性がほとんどという都営交通の駅係員について、女性の職員を抜本的に増やすことを強く求めます。