水道料金の未納者への催告を、訪問から郵送に切り替えて10カ月。給水停止は前年同時期の1.5倍へと急増し、催告による収納率も激減しました。東京都はさらに、給水停止までの期間短縮をねらい、検討をかさねていたことが、開示資料から明らかになりました。(2023年3月13日、公営企業委員会)
訪問による催告をやめて10カ月、給水停止は15万人=1.5倍に
〇斉藤委員 次は、給水停止の増加と料金徴収の見直しについてです。
この問題も、私は十一月の事務事業質疑で取り上げ、我が党では、決算の全局質疑でも、和泉なおみ都議が取り上げました。
例年では、十万件程度の給水停止の数が、今年度は、九月までの半年間で九万件を超えていたということは、この厳しい物価高騰で、都民の暮らしが一番苦しいときに看過できない問題です。
その給水停止件数について、今年度の現在の数について伺います。
◯坂井サービス推進部長 令和四年四月から令和五年一月末までの給水停止の件数でございますけれども、十五万二百九十五件となってございます。
◯斉藤委員 一月末までで十五万件を超えていると。昨年の一・五倍のペースでやはり急増しているという状況です。昨年度までに比べて、今年度は給水停止の件数が急増していることについて、どのような要因があると考えているのか、改めて水道局の見解を伺います。
◯坂井サービス推進部長 当局では、区部において、令和四年四月から、委託による訪問催告を郵送による催告に変更いたしました。
制度変更した直後は、六月に件数が急増いたしましたが、七月には減少し、現在は横ばいで推移してございます。
区部におきましては、この催告方法に関する制度変更の過渡期でございまして、その制度変更の影響によりまして、期限内にお支払いいただけないお客様が増えた結果、給水停止件数が増加したというふうに考えてございます。
◯斉藤委員 委託による訪問催告を郵送の催告に変えた、その制度変更の影響によって給水停止の件数が増えていると考えていると。これは、決算の全局質疑のときも同様のご答弁があったんですけれども、原因が分かっているんだったら、認識があるんだったら、丁寧な対応で、この給水停止を回避してきた訪問による催告に戻すべきだというふうに思いますが、いかがですか。
◯坂井サービス推進部長 先ほど申しましたように、令和四年四月から、訪問による催告を郵送による催告に変更したところでございますので、今のところ変更する予定はございません。
◯斉藤委員 都民が、今一番、厳しく続く物価高騰の中で大変な思いをしている中で、なぜそれが分かっていながらやめないのかというのは、本当に冷たい対応だなといわざるを得ません。過渡期だからということもおっしゃっていましたけれども、過渡期だったら仕方がないんですかね。水道を止められて追い詰められる都民が増えても、制度の過渡期だから仕方ない、そういう立場なんですかね。
私は、皆さんがやっていることが都民の生活にどう影響しているのかということ、あまりに想像力を欠いているんじゃないかというふうに思います。効率化ということもいわれましたけれども、効率化の計算ばかりで、生身の人の暮らしのことを考えていないのではないかというふうに思います。
先ほどもいいましたけれども、繰り返しいっていますけれども、長引くコロナ禍の影響に加えて厳しい物価高が続く中で、都民生活はかつてない状況に置かれています。
そこで伺いますけれども、生活困窮等の背景から、徴収業務から自治体の福祉につないでいる件数について、今年度の最新の数も含めて過去五年分について教えてください。
◯坂井サービス推進部長 当局では、給水区域全ての区市町と、平成二十六年以降、順次、行政による支援を必要とする者に係る情報の提供に関する協定を締結してございます。この協定に基づきまして、当局職員等がお客様宅などを訪問した際に、明らかな異変が感じられた場合、各区市町の福祉部署に情報を提供してございます。
過去五年間の実績といたしましては、平成三十年度は十一件、令和元年度は九件、令和二年度は九件、令和三年度は十四件、令和四年度は一月末時点で十七件となってございます。
◯斉藤委員 二〇二一年度は十四件、今年度、二〇二二年度は、一月末の時点で十七件と増えてきているということです。給水停止の増加の要因について、催告の方法が訪問から郵送に変わったということのご答弁でしたけれども、これももちろんなんですけれども、実際には、都民の暮らし自体が、厳しい物価高の中、苦しい状況に置かれているということもあるんじゃないでしょうか。だからこそ、なおのこと、こんなときに給水停止の増加を招くような制度の変更はあり得ないというふうに厳しく指摘をしなければなりません。
制度変更によって収納率は激減、「効率化」の破たんは明らか化
〇斉藤委員 十一月の質疑の際には、料金未納になった方からのその後の料金の収納率についても伺いました。これまでの訪問による催告では八六%収納してきた一方で、郵送に変えてからは三三%まで低下したということが明らかになっています。
未納になった方からの収納率について、現在はどうなっているのか、最新までの状況について伺います。
◯坂井サービス推進部長 令和三年度では、区部における初回請求約二千二百六十億円の債権は、委託による訪問催告を開始する前までに約九九%を収納してございます。この割合は、例年ほぼ同じでございまして、委託による訪問催告は残り一%に当たる約二十三億円を対象としてございます。
委託による訪問催告は、令和四年三月末で廃止いたしまして、今年度からは郵送による催告を実施してございますけれども、残り一%相当、令和三年度でいいますと、約二十三億円でございましたけれども、これに対する収納率は、令和四年四月から令和五年一月までの十か月間の平均で約三三%でございまして、最終的に給水停止をする前までには八六%を収納しているところでございます。
◯斉藤委員 今のご答弁でも、今年の一月までの十か月間の平均で、郵送による催告、ここで収納できているのは三三%だということなんです。
以前の質疑でもやりましたけれども、効率化のために訪問をやめたということなんですけれども、実際は、料金の収納率が落ちて、効率化ともいえないような実態になっているわけです。
給水停止までの期間短縮への検討が、開示資料から明らかに
〇斉藤委員 訪問による催告の業務をなくしたこととともに、大問題なのが、給水停止までの期間の短縮についてです。この問題もおととしの質疑から取り上げていますが、今現在、給水停止までの期間はどうなっているのか、短縮は行われたのか伺います。
◯坂井サービス推進部長 初回の請求から給水停止までの期間は変更してございません。
なお、徴収サイクルの日数につきましては、徴収事務に関する具体的な情報が公開されることで、当局の催告過程が推測されまして、徴収に係る事務の適正な遂行に支障が生じるおそれがあるため、お答えできません。
◯斉藤委員 現時点では、まだ給水停止までの期間の短縮は行っていないということですけれども、今後も行うべきではないということを改めて指摘するものです。
我が党は、訪問による催告の廃止を決定するに至る検討の内容について開示請求を行いました。(資料を示す)こちらなんですけれども、小さくてちょっと見づらいかもしれませんが、これ、いわゆる白塗りというやつで、ほとんど白くなっていて分からないという状況なんです。
先ほどいわれた徴収サイクルの過程が分かると、徴収に係る事務が適切に遂行できないおそれがあるということで開示していないということなんですけれども、多くの部分が白塗り。黒塗りは皆さんよく見たことがあったと思うんですけれども、今、これが小池都知事の改革の成果なのか分かりませんが、白塗りになっているんです。こういう状況で、分からないことがたくさんあります。
この中でも、しかしよく分かるのは、この給水停止までの期間を短縮しようという議論が行われているということなんです。この期間を、電気やガスなどほかのライフライン各社と合わせようと検討しているということが、この中から分かります。しかし、電気やガスが止まっても、命に直結する水は最後まで給水があることが一般的に浸透していて、それが、水道は命綱、最後のライフラインという認識につながっているというふうに思います。一般的にもそういう認識になっていると思います。
水道は、ほかのライフラインよりも、命を守るためにより一層重要性が高いものだと思いますけれども、そうした検討はされていないのか伺います。
◯坂井サービス推進部長 徴収サイクルの見直しにつきましては、業務の効率性と負担の公平性の観点から検討を行ってございます。
当局は地方公営企業でございまして、水道法だけでなく、地方公営企業法第三条に基づく企業の経済性の発揮も求められてございまして、それぞれの法の趣旨を踏まえながら、適切に事業運営を行っているところでございます。
◯斉藤委員 今、地方公営企業法第三条を持ち出されましたけれども、企業の経済性の発揮が求められると、こういうふうにおっしゃいました。
しかし、その後には何て書いてあるのか、皆さんご存じないはずはないと思います。その後に何て書いてあるか、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運用されなければならないと書いてあるんです。本来の目的は、公共の福祉の増進、それなんですね。今の現状では、効率化ばかりを掲げて、都民が一番苦しいときに給水停止を増やして追い詰めて、期間の短縮まで検討している。経済性の発揮ということに偏って、本来の目的を損ねている本末転倒な実態ではないでしょうか。
地方公営企業法に照らせば、この言葉のとおり、公共の福祉を増進するように運営することが本来の目的なのではないですか。これに間違いありませんよね。伺います。
◯坂井サービス推進部長 公共性の増進につきましては、まずもって公衆衛生の増進と、それから、二十四時間三百六十五日、常に安定的に給水していくということが、非常に大切なものであるというふうに認識してございます。
◯斉藤委員 今ご答弁されましたけど、そんなふうに限定されている中身ではありません。都民が苦しいときに、それを追い詰めるようなやり方でやるのは、公営企業としてあるまじきやり方だというふうに繰り返しいわなければなりません。あたかも民間企業と同じように効率化ばかりを求めていけばいいということではない、それが公営企業の仕事だというふうに思います。原点を見失わないようにしていただきたいというふうに思います。
この開示資料ですけれども、重大な検討結果も示されています。
給水停止までの期間を短縮することの課題として、未納カードの発行枚数が、区部では三倍以上の見込みと記されています。これだけの大きな影響があることを認識しているのなら、徴収サイクルの短縮はきっぱりやめるべきですけれども、いかがですか。
◯坂井サービス推進部長 当時の検討過程におきましては、三倍の見込みというふうにされてございますけれども、その後、未納カードの発行枚数の低下に向けた対策は行ってございます。
これまで、催告書の文言整理ですとか、封筒の色の変更による視認性の向上、こういった改善を行った結果、郵送催告の収納率も、先ほど来答弁がございますけれども、約三割から、直近一月送付分の実績では約四割に上昇してございます。
現在、給水停止までの期間の見直しは実施してございませんけれども、新型コロナウイルス感染症の影響なども含め、社会経済状況を踏まえ、慎重に検討してまいります。
◯斉藤委員 社会経済状況を踏まえて慎重に検討していくということは重要なことだというふうに思います。そのことにつながる重要な発言も開示資料にありました。
二〇二一年八月十八日に行われた局長レクでは、四役から、徴収サイクルを短縮することは影響が大きく重い話だが、経過を聞いた限り、深く議論した上で決まったことではないと感じた、こういう発言です。
これは、古谷局長が就任される前の局長レクだというふうに思いますが、ただ、この四役の誰の発言かということまでは分かりませんけれども、とても重要な指摘だというふうに思います。局長の見解を伺います。
◯大山委員長 質問者は局長と指名していますが、局長、いかがですか。
◯古谷水道局長 平成二十六年度の包括外部監査において、区部と多摩のシステムを統合するよう意見を受けた以降、徴収サイクルの見直しについては継続的に検討を行ってまいりましたが、結果的に給水停止までの期間の見直しは行っておりません。
今後、新型コロナウイルス感染症の影響などを含め、社会経済状況を踏まえ、慎重に検討してまいります。
◯斉藤委員 ご答弁ありがとうございます。
今、結果的に給水停止までの期間の見直しを行っていないということでしたけれども、開示資料には、令和五年度九月三十日まで現行サイクルを継続というふうに明記もされています。今年の九月までということです。
その後においても、本来の目的である都民の公共の福祉を増進するよう運用するという原点に立ち返り、徴収サイクルの短縮を行わないこと、また、丁寧に対応してきた訪問による催告、こうした対応も行っていくよう重ねて強く求めて、質問を終わります。