※2022年3月15日、公営企業委員会
◯斉藤委員 近年、大規模災害が頻発化する中で切実な問題になっているのが、避難所でのトイレについてです。十一年前の東日本大震災のときも、トイレ不足や衛生が保たれないようなトイレの環境の中で、使用を控えることが避難者の健康悪化につながったということが報告されています。首都直下型地震が想定される中、都として、いざというときに使用できるマンホールトイレを整備していくことは、重要な課題だというふうに思います。
前提となる下水道管の耐震化のすすみ具合は
〇斉藤委員 下水道局では、下水道管の耐震化が完了したところから、区と調整し、避難所などの周辺において、仮設トイレを設置できるこのマンホールトイレ、マンホールを指定していますけれども、そもそもこの下水道管の耐震化の目的と耐震化の箇所の選定はどのように行っているのか、改めて伺います。
◯佐々木計画調整部長 下水道管の耐震化につきましては、震災時の下水道機能の確保と緊急輸送道路などの交通機能の確保という二つの目的から実施しております。
このうち、下水道機能の確保につきましては、避難所や災害復旧拠点などを対象とし、下水道管とマンホールの接続部の耐震化及びマンホールの浮上を抑制する対策を実施しております。
また、交通機能の確保につきましては、液状化の危険性の高い地域における緊急輸送道路などを対象に、マンホールの浮上を抑制する対策を実施しております。
◯斉藤委員 震災時の下水道機能の確保と、そして、緊急輸送道路などの交通機能の確保という二つの目的から実施をしているものだということです。
その下水道管の耐震化の中長期目標に対して、現在の進捗状況について伺います。
◯袰岩建設部長 下水道管とマンホールの接続部の耐震化につきましては、中長期目標五千九百か所のうち、令和二年度末までに四千三百十五か所が完了しております。
マンホールの浮上抑制対策につきましては、中長期目標一千六百二十キロメートルのうち、令和二年度末までに一千二百五十キロメートルが完了しております。
◯斉藤委員 目標に対しては、どちらも七割以上の整備をしているということですが、目標の着実な達成と同時に、一層の強化が必要だと思います。その中でも、災害時の避難所に対するマンホールトイレのさらなる充実という視点を持つことが必要ではないかと思います。
現状で、仮設トイレを設置できるマンホール数は
〇斉藤委員 まず、現状について伺いますが、マンホールトイレの指定について、区部全体と、私の地元であります足立区での現在の累計の箇所数、教えてください。
◯猪八重施設管理部長 下水道局では、震災時に避難所などのトイレ機能を確保するため、下水道管の耐震化が完了した場所におきまして、区からの要請に基づき、仮設トイレを設置できるマンホールを指定しております。
仮設トイレを設置できるマンホールの数は、令和二年度末で七千六十五か所でございまして、このうち、足立区内では、区からの要請に基づき、四百六十四か所を指定してございます。
◯斉藤委員 仮設トイレが設置できるマンホールの数は、令和二年度末で七千六十五か所ということです。先ほどのご答弁では、耐震化した箇所について、四千三百十五か所というご答弁でしたけれども、こちらは、避難所や災害拠点病院など、マンホールの耐震化を行った施設の数だというふうに伺いました。一つの施設に対して複数以上のマンホールの耐震化をしているところもあり、その数が、今のご答弁の七千六十五か所だということです。
私は、二〇一八年十一月の質疑のときに、同じ数字を聞いているんですけれども、そのときは、区部全体で、マンホールトイレの指定は約六千八百か所だったということでしたので、三年間で二百六十五か所ぐらい指定が進んでいるということです。
足立区では、二〇二〇年度末の決算値で、先ほど四百六十四か所というふうにご答弁がありましたけれども、最新の数について区に伺ったところ、現時点では五百七十三か所を指定しているということでした。
重要な取組だと思いますが、区部全体の避難所の数に対して、どれくらいのマンホールトイレの指定が進んでいるのか伺います。
◯猪八重施設管理部長 区部における避難所の数につきましては、都の地域防災計画では、令和二年度末で約千八百か所でございまして、区が仮設トイレを設置できるマンホールの指定を不要とした場合を除きまして、一つの避難所につき一か所以上のマンホールの指定をしてございます。
◯斉藤委員 区部の避難所約千八百か所について、一か所以上のマンホールトイレが指定されているということです。
マンホールトイレをふやすため、東京都のイニシアティブの発揮を
〇斉藤委員 私は、この避難所に対してのマンホールトイレの指定をもっと増やしていく必要があるのではないかと思っています。足立区では、現時点で、公共施設である避難所に対しては、一施設に三つのマンホールトイレを指定しているというふうに伺いました。災害時には、複数以上のトイレが必要であること、また、学校などでは、地中に埋めるタイプのこれまでのアースイントイレなどと比べても、いざというときに設置をしやすいのが、このマンホールトイレだというふうにお話を伺いました。
二〇一八年の質疑のときも取り上げましたけれども、政府は、二〇一六年四月に、避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン、ここで、人道憲章と人道対応に関する最低基準、いわゆるスフィア基準というものを示しています。
この中で、災害発生当初は、避難者約五十人当たりに一つのトイレ、そして、避難が長期化する場合には、約二十人当たり一つのトイレを目安として、災害用トイレの確保計画を作成することが望ましいとしています。さらに、スフィア基準では、女性用のトイレは、男性用トイレの三倍必要だというふうにされています。
こうした視点に立って、積極的に自治体と連携をして、マンホールの耐震化を進め、マンホールトイレの指定を増やしていくべきだと考えますが、いかがですか。
◯猪八重施設管理部長 東京都の地域防災計画では、災害用トイレの確保を区の役割としており、この災害用トイレには、仮設マンホールトイレのほか、便槽つきトイレ、簡易トイレなど様々なタイプがございます。これを踏まえまして、各区では、地域の状況などに応じて、必要な災害用トイレの数の確保に努めているところでございます。
当局といたしましては、今後も引き続き、下水道管の耐震化を進めるとともに、区の要請に基づいた仮設トイレを設置できるマンホールの指定を通じ、区の防災の取組に協力をしてまいります。
◯斉藤委員 災害用トイレの確保は区の役割だというご答弁でしたけれども、私は、東京都がイニシアチブを持って、指定を広げていくということが重要ではないかと思います。
災害用のトイレには様々なタイプがあるということですけれども、処理やくみ取りが大変なものも多いです。マンホールトイレは、下流での破損などの問題がなく、一定の水量があれば、し尿を下水道管に流下させることができるため、衛生的に使用ができます。
区部のマンホールを管理する下水道局として、関係各局とも連携して、内閣府のガイドラインやスフィア基準で示されている水準に向けて、積極的にマンホールトイレの指定を広げていくということを強く求めます。