集中豪雨や大型台風がふえ、都内でも、下水道があふれて道路が冠水するなどの被害が相次いでいます。東京都は下水道浸水対策計画をもっていますが、住民の声をふまえ、その充実を求めました。質疑のあと、東京都は、多摩地域の市町村に下水道整備50%補助の新たな制度がつくりました。(2022年11月28日、公営企業委員会)
気候変動による雨量増加をふまえた対策を、住民の声を反映して着実に
◯斉藤委員 近年の集中豪雨の頻発や台風の大型化、また、気候変動の影響による降雨量の増加などの対策の強化が求められている中、下水道局は、二〇三六年度までの十五年間を計画期間とする下水道浸水対策計画二〇二二を策定しています。
この中では、流出解析シミュレーションを活用して一時間七十五ミリ降雨の分析を行い、新たに十地区を選定して、七十五ミリ対応の施設整備を行う方針が出されています。
先日の決算の全局質疑でも我が党は取り上げましたけれども、その計画の中で、我が党が七十五ミリ対応の対策の充実を求めてきた東部低地帯のエリアからも、初めて、葛飾区の金町や江戸川区中央の地域に対策が位置づけられたことは重要です。
私も、三月の予算質疑でも取り上げましたけれども、地元の足立区も含めた、この東部低地帯のエリアでも、水害対策については、住民の関心が非常に高く、都民への情報提供や対策に当たって、都民の声を反映していくことも重要だと考えています。
下水道局では、計画案が策定された昨年度末、今年の三月中旬ぐらいまでパブリックコメントを実施していましたが、このときの質疑の時点ではまだパブコメの実施中で、内容は明らかになっていませんでした。
改めて伺いますが、下水道浸水対策計画二〇二二についてのパブリックコメントに寄せられた主な意見はどのようなものがあったのか伺います。
◯猪八重計画調整部長 パブリックコメントの結果につきましては、下水道局のホームページで公表してございますが、主なご意見といたしましては、新たな重点地区は十地区で十分なのか、あるいは、重点地区に選定された地区ではどのような降雨で浸水被害が発生したのかなどのご意見がございました。
◯斉藤委員 私もこのパブコメの内容について確認をさせていただきましたが、ご答弁のとおり、新たな重点地区は十地区で十分なのかなど、私が質疑で質問した同趣旨の意見もありました。
そのときにもご答弁いただいていますが、パブコメに対しても、下水道局は、浸水の発生状況等、浸水対策を取り巻く状況に変化があった場合には見直しを検討することとしていますと回答されています。ぜひ、今後も柔軟に対策の充実を検討していただくことを改めて要望いたします。
内水氾濫のひん発をふまえ、都民への下水道管の水位情報の公表を
〇斉藤委員 パブコメに寄せられている意見から幾つか伺いたいと思いますが、下水道管の水位情報の公表などを行うことを求める要望がありました。
下水道局では、希望する区に下水道管の水位情報を提供していますが、現在、幾つの区に情報提供をしているのか伺います。
◯袰岩施設管理部長 下水道局では、水防管理団体である区からの正式な要望を踏まえまして、品川区など六区へ情報提供をしているところでございます。
◯斉藤委員 六つの区に情報提供をしているということで、事前にどこの区か伺いましたけれども、品川区のほかに、大田区、中野区、渋谷区、目黒区、世田谷区だということでした。やはり、内水氾濫の被害が多く発生していた、関心の高い区から希望があるということが分かりますが、ほかにも、近年に内水氾濫が起きている自治体もあります。下水道管や暗渠河川に水位計がなく、情報提供もなければ、住民は、豪雨時などに、実際に道路が冠水し始めるまで状況をつかむことができません。
情報提供を行う自治体を広げていくこと、また、下水道局から都民への情報提供として、下水道幹線の水位情報の公表を行うことも検討していくことが必要だと考えますが、見解を伺います。
◯猪八重計画調整部長 引き続きまして、水防活動を行う区からの正式な要望を踏まえまして、水位情報を提供してまいります。
◯斉藤委員 私は、このことを二〇一八年度の公営企業決算の全局質疑でも求めましたけれども、今回のパブコメにも意見があったということで、やはり危機感を持つ都民からニーズがあるということを実感いたしました。
下水道管や貯留施設、暗渠河川に取り付けた水位情報を近隣の住民に提供することは、都民の命と財産を守るためにも重要なものです。ぜひ、積極的に自治体に情報提供を行っていくこと、また、自治体と連携しながら下水道局として公開していくことを改めて検討していただくよう求めるものです。
多摩地域を計画から除外せず、東京都として積極的な支援を
〇斉藤委員 次に、パブコメには、本計画に多摩地域も対象にするべきではないかという意見がありました。多摩地域の公共下水道事業は、この間質疑もありましたけれども、市町村が行うという原則もありますが、一方で、下水道局は、多摩地域の幹線の整備を行っています。
市町村と連携を強化して効果的な浸水対策を行っていくためにも、流出解析シミュレーションによる分析と計画への反映を多摩地域にも行っていく必要があると考えますが、いかがですか。
◯佐々木技術部長 下水道浸水対策計画二〇二二は、区部の公共下水道管理者である下水道局が策定したものでございます。
多摩地域の雨水対策は、原則、公共下水道管理者である市町村が実施するものでございますが、雨水の放流先となる河川がないなど、市単独では雨水排除が困難な場合におきましては、都が、数市にまたがる流域下水道雨水幹線を整備しております。
また、流域下水道本部では、流出解析シミュレーションの勉強会を開催するなど、市町村への技術支援を実施しております。
◯斉藤委員 多摩地域の雨水対策は、公共下水道管理者である市町村が実施するものという原則だということなんですけれども、一方で、ご答弁のとおり、複数市にまたがる流域下水道雨水幹線の整備は都が行っているわけです。
少なくとも、区部と同様に、一時間七十五ミリの降雨があった場合に、新たに流域下水道雨水幹線を整備する必要がないか、これは都が検証する必要があるんじゃないかと思うんですが、認識はいかがでしょうか。
◯佐々木技術部長 繰り返しとなりますが、雨水対策は、原則、公共下水道管理者が実施するものでございます。
先ほども一部答弁させていただきましたけれども、市町村からの下水道に関する計画、設計、施工に関する問合せにつきましては、適宜対応してございます。
引き続き、市町村が抱える課題に対しまして、技術支援を実施してまいります。
◯斉藤委員 技術的援助ですとか、シミュレーションの勉強会を開催するということもご答弁にはありましたけれども、しかし、この流域下水道雨水幹線、これは東京都が行っているものなわけです。なので、やはりここの必要性がないかということ自体は、東京都が市町村と連携をして主体的にやっていくということ、ぜひ求めていきたいというふうに思います。
ご存じのとおりですけれども、長年の多摩格差の一つとして、下水道の整備については市町村の大きな財政負担になっています。ご承知のとおり、三多摩上下水及び道路建設促進協議会や市長会からも、都が行う流域下水道事業における市町村の負担軽減についても、毎年のように求められています。震災対策やその計画について、都がやれること、やるべきことについては、市町村の要望を聞きながら、積極的に行うことを重ねて求めるものです。