東京・多摩地域で深刻なPFAS汚染の排出源は、米軍・横田基地ではないのか。東京都は、この疑惑をかたくなに認めようとしませんでした。ところが、東京都はすでに2008年、都自身の調査で横田基地が排出源とつかんでいたことが、浮き彫りになりました。アメリカいいなりの都政のヤミに厳しく迫り、約1年後、米軍基地に国と東京都が調査に入ることへ道を開く論戦となりました。(2023年11月15日、決算特別委員会)
〇斉藤委員 PFAS汚染に関する調査について、下水道局に伺います。
決算年度、今年の一月に米軍横田基地で、有機フッ素化合物、PFAS入りの消火剤に汚染された水が二日連続で漏れていたことが、沖縄タイムスの報道で明らかになりました。濃度は、日本の暫定基準値の五万四千四百倍にも達していたということです。横田基地での泡消火剤の流出事故は、二〇一〇年から二〇一二年までに三回あったということも、我が党の国会レクから明らかになりました。
すでに2008年には横田基地からの排出をつかんでいたのでは?
〇斉藤委員 一連のPFAS漏出事故について、米軍は、一貫して、横田基地から基地の外へPFASが流出した事実はないという立場です。しかし、既に、二〇〇八年に東京都環境科学研究所が発表した論文、都内水環境におけるPFOSの汚染源解明調査によれば、米軍横田基地の排水からPFOS、PFOAが検出され、基地の外に流出しているということは明らかだというふうに思います。
このモニターをご覧ください。こちらが、その論文に出てくる飛行場の図です。資料にも、お手元に配布されております。ここの排水A、排水Bから高い値のPFOSが検出され、この飛行場がPFOSの排出源の一つであることが分かったということが結論づけられています。この図をよく見ていただきたいのですが、飛行場の排水は、最後、下水処理場を通じて多摩川に放流されています。下水道局は、当時、この調査に協力をしています。
そこで、お聞きします。
環境科学研究所の論文、都内水環境におけるPFOSの汚染源解明調査に出てくるこの飛行場は、横田基地ではありませんか。
○佐々木下水道局長 お尋ねの環境科学研究所の調査についてでございますが、下水道局としては了知しておりません。
○斉藤委員 了知していないということでしたけれども、では、事実を確認していきたいというふうに思います。
公開されている事実から汚染源は明らか
〇斉藤委員 こちらをご覧ください。(画像表示)こちらは、下水道局の経営計画にある地図ですが、皆さんよくご存じのものだと思います。横田基地があるのは、この辺り、赤い印をつけております。多摩川上流処理区にあります。
横田基地からの排水は、多摩川上流水再生センターで処理されていますか。
○佐々木下水道局長 横田基地から排出された下水は、市が管理する公共下水道を経由しまして、多摩川上流水再生センターの処理区内、八つの市町の下水と合わせて同センターで処理しております。
○斉藤委員 横田基地からの排水は、最終的に多摩川上流水再生センターで処理されるということが分かりました。確認できました。
実は、この先ほどの環科研の研究が行われるきっかけとなった国の有機フッ素化合物の汚染実態についての研究調査があります。
こちらをご覧ください。(画像表示)国立環境研究所の論文、有機フッ素化合物等POPs様汚染物質の発生源評価・対策並びに汚染実態解明のための基盤技術開発に関する研究、この一三ページから一四ページに出てくるこの表8、お手元にあると思います、こちら、多摩川の各調査地点のPFOS、PFOAの濃度、この値ですね。濃度を並べたものですが、幾つかある下水処理場のうち、下水処理場C、このPFOSの値が、ほかの地点に比べて特別に高くなっています。先ほどの環科研の調査結果と共通します。
一方、こちらの隣の図11、これは、多摩川の各調査地点の図になります。この赤の丸、この赤の丸が、下水処理場を示していますけれども、下水処理場Cが、どこにあるかは明記されていません。しかし、よく見ると、この表8とこの図を比べてみると、下水処理場Cがどの丸に当たるか、これが分かるようになっています。
そこで伺いますが、国立環境研究所の論文の表8に出てくる下水処理場Cは、多摩川上流水再生センターではありませんか。
○佐々木下水道局長 国立環境研究所の論文の記載内容についてのお尋ねですが、下水道局としては了知しておりません。
○斉藤委員 この表8で、調査地点の橋の名前が、多摩川上流から順番に並んでいます。この十一の調査地点とこれが一致します。これに倣えば、下水処理場Cは、この丸、ここですね、(画像表示)こことなり、これが多摩川上流水再生センターなのは、この位置関係から見て明らかです。
以上、ある飛行場のこの排水からPFOSが高い値で出ていること、横田基地の排水は、多摩川上流水再生センターで処理されること、また、多摩川上流水再生センターで採取したサンプルから、同じくPFOSが高い値で検出されていること、これを併せて考えれば、仮にほかに有力な排出源があったとしても、この飛行場が横田基地である可能性は極めて高いというふうに思います。
さらにお聞きします。
多摩地域にある飛行場は、横田基地と調布飛行場しかありません。調布飛行場の排水は、森ヶ崎水再生センターで処理されているのではありませんか。ご答弁お願いします。
○佐々木下水道局長 調布飛行場の排水につきましては、森ヶ崎水再生センターで処理しております。
○斉藤委員 ご答弁のとおり、森ヶ崎水再生センター、調布飛行場はそちらだということです。
再び、ご覧ください。(画像表示)今のご答弁を示したものです。調布飛行場があるのはこの辺り、処理区でいいますと、野川処理区に属します。下水道局の流域下水道計画の概要には、調布市を含む野川処理区は、森ヶ崎水再生センターへ流入すると明記されています。つまり、多摩地域で排水が最終的に多摩川に流入する飛行場は、横田基地しかないんです。
再び、この図を見ていただきたいと思います。(画像表示)先ほど確認したように、この飛行場の排水は、最終的に、この図のとおり、多摩川に流れています。つまり、この飛行場は横田基地ということになります。
横田基地への立ち入り調査をただちに
〇斉藤委員 知事、横田基地から基地の外へPFASが流出していたことは明らかです。そして、それは、今日まで是正された保証は何もありません。隠蔽されていた昨年度、今年一月の漏出事故を受けて、横田基地からの排水について、関係自治体と連携して、改めて調査するべきではありませんか。
○佐々木下水道局長 下水道局では、下水道関係法令に基づき、法令で定められた調査を適切に実施しております。
事業場排水中のPFOS等につきましては、下水道関係法令で規制基準が定められておらず、測定方法についても示されていないため、測定しておりません。
○斉藤委員 下水道関係法令で基準等が定められていないとはいいますが、検査することはできるんですね、この調査のように。
横田基地は、東京のPFAS汚染の重大な汚染源であるということが、このことからも、一層強く浮かび上がってきました。
昨年度から多摩地域の市民団体が行っているPFASの血中濃度の検査について、七百九十一人分の結果が公表され、水道局が井戸の取水を停止した七市の住民の六七%が、アメリカで健康被害のおそれがあるとする指標値を超えていたということが分かりました。都民に不安が広がる中、PFAS汚染についての対策や調査は、全庁を挙げて取り組まなければならない重要な課題です。下水道局をはじめ、各局の真摯な取組、水道局もおられます、この真摯な取組と、知事には、横田基地への立入調査を実現するよう、改めて強く要望いたします。