※ 2023年11月15日、決算特別委員会
水道代の節約をしいられる都民の生活を、どう認識しているか
〇斉藤委員 水道事業について質問します。
シングルマザーの当事者団体が、二十歳以下の子供がいるひとり親家庭を対象に、今年の夏に行った調査では、六百八十四人の回答者のうち、水道代の節約から、シャワーやお風呂に毎日入れていない人が三五%に上りました。お風呂のお湯は半分で、なるべくシャワーを使わず、お風呂のお湯を使って洗うという声や、湯船は一年中入らない、また、シャワーは禁止、トイレは三人で一回流す、切実な生活の実態について寄せられています。
知事は、物価高騰の下、都民の暮らし、厳しい暮らしが続いていることについて、どう認識していますか。
○西山水道局長 水道局は、地方公営企業として、都民生活と都市活動を支えるため、効率的な業務運営を行い、安定給水に努めてございます。
また、料金のお支払いが困難なお客様には、支払期限の延長や分割払いに応じるなど、丁寧に対応してございます。
○斉藤委員 今、私が聞いたのは、都民生活に対する認識を聞いたんですね。給水のことを今聞いていないんです。都民の暮らしについての認識を知事が答弁されないというのは、都民の暮らしに対してあまりに冷たい無関心な姿勢ではないでしょうか。
住民福祉の増進という使命にてらして、給水停止をどう認識しているか
〇斉藤委員 続けて、知事に伺います。
人は、水なしには生きていけません。給水の停止は、文字どおり命に関わる問題ですが、住民福祉の増進を使命とする地方自治体の長として、知事はどう認識していますか。
○西山水道局長 水道局では、安全なおいしい水を安定的に供給することが使命であり、その対価として、お客様から水道料金をお支払いいただいてございます。
初回請求でお支払いのないお客様に対しては、催告文書を送付するなど、複数回にわたり催告を行い、その上でもなおお支払いいただけない場合については、やむを得ず給水を停止してございます。
また、料金のお支払いが困難なお客様には、個別の事情により、支払期限の延長や分割払いに応じるなど、丁寧な対応を行ってございます。
○斉藤委員 今、局長からいろいろありましたけれども、私は、住民福祉の増進を使命とする地方自治体の長としての認識を知事に伺いました。知事にしか答弁できないことを放棄されるのでは、自治体の長としての姿勢が厳しく問われます。
水道事業の本来の目的を、見失っているのではないか
〇斉藤委員 水道局が見失ってはならない水道事業の基本について伺います。
水道局の水道事業は、地方公営企業法第三条に基づいて運営されていますが、その目的についてどのように認識していますか。
○西山水道局長 地方公営企業法第三条においては、経営の基本原則として、経済性の発揮と公共の福祉の増進が掲げられてございます。
両者の関係性については、能率的、合理的な業務運営を行い、最少の経費で最良のサービスを提供することこそ、住民の福祉の向上に資するものとされております。
水道局としては、こうした法の目的、趣旨を十分に踏まえ、不断の経営努力により、強固な経営基盤を確立し、安全でおいしい高品質な水の安定供給を実現してございます。
○斉藤委員 今のご答弁は、本当にこの条文を読んでいるのかなと疑わざるを得ない、そういう解釈だと思います。
地方公営企業法第三条に、その目的について何と書いてあるのか。本来の目的である公共の福祉を増進するように運営しなければならないと書いてあるんです。経済性の発揮と公共の福祉を並べていろいろ解釈されましたけれども、本来の目的は、公共の福祉の増進なんです。
困っている都民を追いつめ、給水停止を急増させるのは、許されない
〇斉藤委員 そして、今、現実に、公営企業としての水道局の姿勢が問われる事態になっています。
先日の分科会では、二〇二二年度の給水停止の件数について、十七万九千五百六十六件と答弁がありました。グラフにしたので、ご覧ください。(画像表示)一昨年度の約一・七倍に急増し、昨年、ここの質疑で指摘したとおり、約十八万件に及んでいる、そういう状況です。
水道局は、給水停止の急増の原因について、訪問による催告をやめて、郵送だけにしたことにあると、昨年この委員会で水道局長が答弁しました。訪問による催告をやめて、郵送だけにしたのはなぜですか。
○西山水道局長 水道局では、平成二十六年度の包括外部監査の意見を踏まえ、区部と多摩地区の料金徴収システムを統合する際、業務の効率化と、料金をご負担いただく全てのお客様の公平性を実現するため、多摩地区で行っていた手法に合わせたものでございます。
○斉藤委員 今、お客様の公平性といいましたけれども、困窮して払えない方を救うのが自治体の仕事ではありませんか。それを、ほかの都民との公平性を持ち出して、都民を分断し、困っている方をさらに追い詰めるようなことは、自治体がやることではありません。
業務の効率化が目的だという答弁でした。先ほど料金のお支払いが困難なお客様には、丁寧な対応を行っているというふうに答弁されましたが、丁寧に対応していたのを、業務の効率化だといって、訪問ではなく、郵送による催告にした結果、命の水の給水停止が急増している、急増させているという状況なわけです。やむを得ず給水停止をしているという答弁もありましたが、自らの制度変更によって給水停止を増やしておきながら、やむを得ない対応だというのは、成り立たない話ではありませんか。
昨年、我が党がこの問題を取り上げたとき、水道局長は、給水停止の急増について、一時的なものと答弁しましたが、もう一年半以上もこの状況が続いています。
都民の暮らしが苦しいときに、自治体が本来やるべきことは、水道料金の減免によって暮らしを支えることだと私たちは繰り返し求めてきました。ところが、都はやるべきことをやらずに、事業の効率化といって、この給水停止を増加させて都民を追い詰めるという、やってはならないことをやっています。公営企業の在り方として許されません。給水停止の件数を急増させている状況は放置できません。
生活困窮の水道利用者を福祉制度につなぐ役割を、なぜ投げ捨てるのか
〇斉藤委員 水道局では、二〇一四年に、都内の自治体と協定を結んで、生活困窮などで支援を必要とする水道利用者を自治体の福祉につなぐ取組を行っています。
昨年、二〇二二年度に、福祉につないだ実績と、どの部門の担当者がつないでいるのか、内訳について伺います。
○西山水道局長 令和四年度に、区市町の福祉部署に情報提供した件数は十九件でございます。
内訳につきましては、検針委託会社によるものが十五件、営業所等によるものが四件でございます。
○斉藤委員 福祉につないだ件数と、どこからつないだのかの内訳について、事前に過去五年間についても伺いましたが、どの年度でも、その多くが、検針委託会社の検針員さんたちがつないでいるという状況です。
福祉につなぐ役割を果たしているのは、ほとんどが検針員だというその理由について、どう認識していますか。
○西山水道局長 検針員は、全てのお客様を対象に、基本的に二か月に一回、水道メーターの検針のため、訪問していることが要因の一つと考えられます。
○斉藤委員 検針員さんは、訪問する機会が多いからだということです。重要な認識です。
私は、料金の徴収を行う現場の仕事を経験した方からお話を伺いました。困窮した利用者の方の給水をなるべく止めないように、幾らかでも料金をいただいて給水をつないできた、また、小さなお子さんに、おじさん、水を止めないでといわれたこともあったということでした。だから、本当はなるべく水を止めないようにしなければならないと切々と語ってくれたことが、とても印象的でした。
水道局では、福祉につなぐ際に、その判断の目安として、福祉局が出しているチェックポイントを活用していると伺っています。異変への気づき、チェックポイント例というものですが、例えば、このモニターにも今出ています。例えば、昼間でも電気はついたままになっているとか、顔色が悪く、具合が悪そうに見える、急に痩せてきたような気がする、また、髪や服装が乱れている、季節に合わない服を着ているなど、どれも実際に訪問しなければ分からないことばかりです。
訪問が重要だという認識はあるのか伺います。
○西山水道局長 水道局では、区市町との協定に基づき、当局職員等がお客様宅等を訪問した際に、明らかな異変が感じられた場合、各区市町の福祉部署に情報提供をしております。
引き続き、水道事業者としての業務を行っていく中で、可能な限り、区市町への情報提供に取り組んでまいります。
○斉藤委員 私は、この訪問の重要性について聞いたんですね。今、物価高騰が続いていて、生活が大変な中で、料金未納になる方々に対して訪問を行って、困窮した状況があれば福祉につないでいくという取組は、ますます重要なのではないでしょうか。その大切な取組を、都民が今一番苦しいときに、投げ捨てるべきではないということを改めて強く指摘いたします。
給水停止にいたる期間の短縮は、行うべきではない
〇斉藤委員 水道局は、訪問による催告をやめただけでなく、今までより速いサイクルで給水停止をするということを検討していたことが、我が党の情報開示請求で分かりました。どのような検討をし、どのような対応になっているのか伺います。
○西山水道局長 平成二十六年度の包括外部監査において、区部と多摩地区の料金徴収システムを統合するよう意見を受けて以降、徴収サイクルの見直しについては、継続的に検討を行ってございます。
現在、給水停止までの期間の見直しは行っておりませんが、引き続き、適切な徴収方法について検討してまいります。
○斉藤委員 給水までの期間の短縮は、現在は行っていないということです。開示請求、開示資料の中でも、水道局の四役から徴収サイクルを短縮するということは影響が大きい、そういう発言がありました。
命をつなぐ水は、電気やガスが止まっても、最後の命綱として供給を続けることは大事なことです。都民生活が厳しい現在はもちろん、今後も、給水停止のサイクルの短縮を行うべきではないということを強く求めるものです。
水道局の事業において、地方公営企業法に示されている本来の目的である公共の福祉の増進を損なうような運営は決して許されません。法の趣旨に基づいて、この公共福祉の増進を中心に位置づけて、水道事業の運営を行うことを強く求めて、質問を終わります。