首都直下型地震にそなえ、東京都は、水道管の耐震接ぎ手化をすすめてきました。避難所となる施設での状況を確認しつつ、とくに、軟弱地盤が指摘される足立区など、被害想定でリスクの高い地域での対策を強めるよう求めました。(2021年10月25日、公営企業委員会)
避難所となる学校などでの耐震接ぎ手化のすすみ具合は
◯斉藤委員 今月、十月七日の深夜に千葉県北西部地震が発生し、都内では東日本大震災以来初めてとなる震度五強を観測しました。この中で、都内では二十三か所で水道のマンホールから溢水が発生し、特に、最大震度を観測した私の地元の足立区では五か所のマンホールから溢水が起きました。
改めて、首都直下型地震などに備えて、都民のライフラインである水道設備を最大限に守っていく対策が必要だということが再認識されました。今回の溢水の今後の検証というものが必要だと思いますけれども、これまでの取組について伺っていきたいと思います。
配水管の耐震継ぎ手化についてですけれども、水道局では、震災に備えて、都は重要な対策と位置づけて進めてきました。特に重要施設への供給ルートを優先的に進めてきましたが、その昨年度の進捗について伺います。
◯藤村給水部長 首都中枢機関や避難所、主要な駅などの重要施設への供給ルート全体の整備計画延長は約千五百四十七キロメートルでございます。
この計画に対して、令和二年度に百三十一キロメートルを整備し、千三百八十三キロメートルの耐震継ぎ手化が完了しました。
これにより、重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手率は、令和元年度末の八三%から、令和二年度末で八九%となっております。
◯斉藤委員 昨年、二〇二〇年度末までに全体で八九%まで完了したということです。その中でも災害時に避難所として利用される施設は重要だと思います。
各施設ごとの詳細について、避難所となる中学校では九九%まで進んでいると先ほどもお話がありましたが、もともとは令和元年度、二〇一九年度での完了を目標にしていました。
あと一%残っているということはどのような理由によるものでしょうか。
◯藤村給水部長 避難所となっている中学校への供給ルートについて、耐震継ぎ手化が完了できていない理由は、他企業工事等との施工時期の調整により、当初予定していた時期までに施工できなかったことや、地下埋設物のふくそうにより施工方法の見直しが必要となったことなどによるものでございます。
◯斉藤委員 ほかの工事との調整や、地下埋設物が重なっているという事情があるということで、先ほどもお話がありましたけれども、他企業工事との調整等を積極的に行っていくというお話もありました。いろいろご苦労があるということと思いますが、いざというときに都民の命を守る大切な施設ですので、迅速に、着実に進めていただきたいというふうに思います。
特に、ほかの中学校も、今後、ほかの避難所と同様に、二〇二二年度までの完了を目指して取り組んでいくということでしたので、着実に行っていただきたいというふうに思います。
避難所としては、ほかに小学校や高校、大学など施設がありますが、これらの施設は二〇二二年度の完了目標になっています。耐震継ぎ手化の二〇二〇年度末までの達成状況と、今後どのように取り組んでいくのかを伺います。
◯藤村給水部長 避難所となる小学校や大学、高等学校及び公民館等への供給ルートの耐震継ぎ手化は、令和二年度末で八二%完了しております。
引き続き、令和四年度の完了に向けて、他企業工事との円滑な調整や、適切な施工方法の選択などにより、着実な推進を図ってまいります。
◯斉藤委員 小学校や高校、大学、公民館等の平均で八二%まで完了しているということです。
事前にお話を聞かせていただきましたけれども、小学校で八五%、ほかの高校、大学、公民館等で七四%というふうになっています。二〇二二年度まであと一年半を切っている状況ですので、工事の安全等留意しつつ、着実に取組が進むように力を尽くしていただきたいと思います。
被害想定の高い地域を優先して重点的に
〇斉藤委員 今後の耐震継ぎ手化の計画ですが、東京水道経営プラン二〇二一では、地域全体の断水被害を軽減するため、都の被害想定で震災時の断水率が高い地域を取替え優先地域と位置づけ、当該地域の耐震継ぎ手化を重点的に進め、令和十年度までに解消していくとされています。
昨年度までの取組として、この断水率をどのように算出しているのか、また、具体的にどういう地域が断水率が高いと想定されているのか伺います。
◯松田浄水部長特命担当部長兼務 断水率は、東京都防災会議が平成二十四年四月に取りまとめた首都直下地震等による東京の被害想定において、東京湾北部地震など四つの地震ごとに、地盤や配水管の材質、耐震継ぎ手化の進捗状況などを勘案して、区市町別に算出したものとして公表されています。
当局では、この断水率がいずれかの地震で五〇%を超える区市町を取替え優先地域と位置づけています。
さらに、配水管の取替えや耐震継ぎ手化の進捗状況に基づいて、断水率を毎年度更新しており、令和二年度末時点において、断水率が五〇%を超える区市町は七区八市となっています。
◯斉藤委員 断水率は、東京都防災会議が取りまとめている首都直下地震等による東京の被害想定において、東京湾北部地震など四つの地震ごとに区市町別に算出しているということです。
公表されている資料によると、東京湾北部地震などでは、東部低地帯のエリアや沿岸部の七区で断水率が五〇%を超え、立川断層帯地震では八市の断水率が五〇%を超えているということが分かります。
一方で、先日の千葉県北西部地震で最大震度を観測した私の地元の足立区は、東京都防災会議が公表している東京区部の地盤区分図で、軟弱層の厚さが二十五メートル以上または四十メートル以上の地域に区分されていて、地震が起きたときに揺れが増幅されやすく、比較的危険度が高い地域というふうにされています。
しかし、断水率では五〇%未満という想定で、対策の優先地域に入っていなくて大丈夫なのかなという心配もあります。ぜひ、今回の地震、また今後の地震等の影響など、検証も行って、柔軟な対策を進めていただくように要望をさせていただきます。