就職氷河期世代の支援、就活セクハラの根絶を

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2020年2月27日  本会議での一般質問

就職氷河期世代に対する支援は喫緊の課題です。私が大学を卒業した一九九八年は、前年の山一證券に続き、日本長期信用銀行が破綻しました。内定取り消しが相次ぎ、同期の友人たちがいきなり職を失ったことは今でも鮮明に覚えています。社会への第一歩ではしごが外され、その後に非正規雇用が広がったもとで、就職も転職も厳しい中を生きてきました。

失われた二十年が、就職やキャリア形成だけでなく、結婚や子育てなどのライフステージと重なったこの世代が失ったものは余りにも大きなものです。非正規雇用から抜け出せない中で、経済的な理由から結婚や子供を持つことを諦めた人、何十社も面接をしても落とされたり、ブラックな働き方の中で心身ともに傷つき、長期間の無業状態やひきこもりになった人、これは決して自己責任の問題ではありません。

労働者の非正規雇用への置きかえを求めた財界いいなりの雇用の規制緩和、消費税の引き上げや社会保障の負担増など、国の政策によって生み出された構造的な問題です。

就職氷河期世代への対策が重要だと思いますが、知事の認識を伺います。

三十代半ばから四十代後半の就職氷河期世代で、正規雇用を希望しながら非正規雇用として働く方や、就業を希望しながらさまざまな事情により無職である方々について、政府は少なくとも全国で百万人、東京都では十万人に上るとしていますが、あくまでも推計値です。

現実に即した対策を行うためにも、都として実態調査を行うべきですが、いかがですか。

政府は、この世代の正規雇用者を三年間で三十万人ふやすことを目指しています。都としても、実態に基づいた目標を定めて、正規雇用につなげる取り組みを強化することが求められますが、いかがですか。

昨年十一月に就職氷河期世代の正規採用を行った宝塚市では、三人の募集枠に全国から千八百人以上が応募し、注目を集めました。

同市では、この世代が就職活動では書類選考で落とされ、試験も受けられない経験を繰り返してきたことに配慮し、書類選考を行わず、全ての応募者が試験を受けられるようにしたということです。面接では、就職氷河期世代としての体験や苦労、自身の思いについて話してもらったといいます。この世代としての経験を生かして、困っている市民に寄り添う窓口業務や政策立案に役立ててほしいという担当者のお話が印象的でした。

東京都もこうした先行事例に学びながら、その事業規模にふさわしく多くの採用枠を設けるべきですが、いかがですか。

就職氷河期世代の困難を解決していくためには、多面的な支援が必要です。一つは住宅の確保です。仕事とともに住まいを失い、ネットカフェ難民や路上生活になる人もいます。住まいがなければ就職できません。また、非正規雇用では毎月の手取りが十数万円という中で、六万から七万の家賃が重く、貯蓄もできず、家族形成も困難です。

昨年の都営住宅における管理制度等のあり方に関する住宅政策審議会は、就職氷河期世代について、生活の基盤づくりや家族形成に資する観点から、都の住宅政策においても対応が求められると答申しました。重要な指摘だと思います。

就職氷河期世代の住まいの困難と都営住宅における住宅支援の必要性について知事の認識を伺います。

都営住宅は、低廉な家賃で一定の水準の住居に保証人なしで住めるという点でも、東京都の意向次第ですぐに施策を実行に移せるという点でも、大きな役割が果たせる存在です。都営住宅の新規増設で住宅数を確保することが重要です。そして、単身の就職氷河期世代にも、都営住宅入居に道を開くことが必要だと思いますが、いかがですか。

四十代後半に差しかかっているこの世代は、今部屋を借りることにも苦労をしています。高齢となった親が年金生活となり、賃貸の連帯保証人として認められず、誰にも頼めない場合は、民間の保証人代行サービスを利用するしかありません。このサービスには、月々の支払いのほかに賃料相当の初回料や更新料がかかることもあり、生活費を圧迫しています。

こうした世代の置かれた状況もあわせて都の認識を伺います。

就職氷河期世代は、新卒のときに厳しい雇用環境に置かれ、その後に求人倍率が改善しても、中途採用は厳しい中で、面接のたびに否定され傷ついてきました。就職できてもブラック企業や非正規雇用で疲れ果て、鬱病などの精神疾患で働けなくなった同世代が私の周りにも多くいます。一旦社会とのつながりが途絶えてしまった方々にとっては、すぐに就労するのは困難な状況があり、一人で悩んでいる方が少なくありません。

そうした方々に求められているのが居場所の支援です。支援活動を行っているNPOの方々のお話では、就労を条件とした支援では過度なストレスを感じ、逆に支援から離れてしまうケースが多い、みんなで集まって信頼できる人間関係をつくりながら、ボランティアやワークショップを行う中で、少しずつ自信を取り戻して、結果的に就労につながる好循環が生まれているということでした。

知事は、未来の東京戦略ビジョンの中で、みんなの居場所創出プロジェクトを掲げています。

悩みを抱えた就職氷河期世代の方々が孤立せず、つながりながら自分らしくいられる居場所があることが重要だと思いますが、知事の認識を伺います。

国は、昨年末に、就職氷河期世代支援に関する行動計画を発表し、取り組みを推進するために都道府県ごとのプラットホームを設置することを求め、当事者やそのご家族の声を聞きながら取り組みを促進していくことが不可欠であるとしています。

都のプラットホームに、居場所の支援や就労支援に長年取り組み経験と知見を積み重ねているNPOなどの団体や、就労の受け入れをしている中小企業、そして就職氷河期世代の当事者を入れるべきという声が上がっています。見解を伺います。

あわせて、国の地域就職氷河期世代支援加速化交付金を活用し、就職氷河期世代への総合的な支援を拡充していくことを求めます。

 

就活セクハラについて

 

次に、就活セクハラについてです。

ビジネスニュースサイトが昨年二月に実施した就活セクハラ緊急アンケートによると、約五割の学生が就職活動中にセクシュアルハラスメント被害に遭っており、そのうち約七割が誰にも相談できずにいることが明らかになっています。

就活セクハラは、人生の選択を狂わせ、時に治療を要するほどの心身の大きなダメージとなることもあります。企業と学生、求職者という対等でない力関係のもとで行われ、立場の弱い学生や求職者が泣き寝入りするということがほとんどです。

こうした就活セクハラは絶対にあってはならないと思いますが、知事の認識を伺います。

私は、結婚後の転職のときに、面接でお子さんのご予定はと聞かれました。周りでも同様の質問をされて、面接で通らなかったという女性の友人がたくさんいます。

国際労働機関、ILOは昨年、労働の世界における暴力とハラスメントを禁止する条約を圧倒的多数で採択しました。保護すべき対象を労働者だけでなく、インターンや見習い、求職者なども含める包括的な内容です。

しかし、日本の法律では禁止条項がなく、特に就活生や求職者など労使関係にない人のハラスメント被害に対しては、対策がおくれているのが現状です。昨年十一月には、都内の大学生有志が実効性ある就活セクハラ対策を求める緊急声明を出しました。

東京都では労働相談情報センターを設置していますが、就活生や求職者からの相談は受け付けておらず、実態をつかめていない状況です。

就活生や求職者も相談の対象とし、実態をつかんでいくべきだと思います。見解を伺います。

学生たちへの就活セクハラへの相談に寄り添い、実態を明らかにして対策につなげるためにも、都立大学に相談窓口を設置することを求めますが、いかがですか。

 

日本一のマンモス校・足立区立新田学園について

 

足立区立の新田学園について伺います。

同校は、小中学校を統廃合する形で、中学校だった敷地に一貫校として開校されましたが、児童生徒の数が一千八百人を超えるまで急増し、日本一のマンモス校、過大規模校になっています。開校からわずか四年で、百五十メートル離れた土地に第二校舎を建設し、来年度からはさらに遠い小学校跡地に第二校庭を設置予定で、校舎と校庭が三つに分かれる事態になっています。

第二校舎には校庭がなく、体育の時間は、小学一年生から四年生の児童が第一校舎まで車が通る道を歩いて移動しなければなりません。移動時間のために標準授業時間が確保できていない実態や、中庭が狭く、災害時に全児童が外に避難できない状況について、足立区も課題があることを認めています。こうした学校をそのままにしておいてよいのですか。

保護者たちは、数年でピークが過ぎるといっても、過大規模校であるのは変わらない、今の子供たちを見過ごさないでほしいと訴え、もう一つ学校をつくることを含めて検討することを求めています。

一刻も早く改善することが必要ですが、都として、こうした実態にある学校をどう考えますか。

学校設置基準は、子供たちの学習環境として必要な最低限の基準であり、設置時にこれを上回っていることはもちろん、その後も基準以上の学習環境を確保していくことが当然だと思いますが、いかがですか。

学校施設に用地取得や改築など重要な変更がある場合などには、法により都への届け出が必要です。

都は、学校設置基準を満たしているか確認し、指導する責任があると思いますが、いかがですか。

新田学園は、学校の分離、新設が必要な状況です。東京の子供たちのよりよい教育環境の確保に、都としても心を砕いていただくことを強く求めて、質問を終わります。(拍手)

 

答弁

 

知事(小池百合子君) 斉藤まりこ議員の一般質問にお答えをいたします。

就職氷河期世代の方への就労支援についてのご質問でございます。

就職氷河期世代の方には、新卒時に不本意ながら非正規で働くことを余儀なくされ、不安定な就労が続いている方、また、就労を希望しながらも、さまざまな要因で職につけていない方がたくさんいらっしゃいます。こうした方々に対して、安定した就労に向けました支援が重要であるということは論をまたないと存じます。

このため、都といたしまして、氷河期世代の方の正規雇用を進める就労支援を行っておりまして、引き続き実施をしてまいります。

都営住宅における就職氷河期世代への支援についてのご質問でございます。

いわゆる就職氷河期世代の方々のように、思うようにキャリアアップできずに収入がふえない単身者が増加をいたしております。

働く意欲のある誰もが安心して活躍できますように、都民の居住の安定を確保することは重要であって、今後とも、東京都住宅政策審議会答申の趣旨を踏まえまして、都営住宅を活用した居住支援を行ってまいります。

次に、地域の居場所づくりについてのご質問でございます。

私は、知事就任以来、一貫して人に焦点を当て、誰もが安心して暮らせる社会の実現に邁進をしてまいりました。定職につけず生活に困窮する人など、さまざまな理由で不安や孤独感を抱える人に対しましても、相談対応や就労、生活面での支援を講じてきているところでございます。

未来の東京戦略ビジョンにおきましても、誰もが集い支え合う居場所、コミュニティが至るところに存在するまちを、目指します東京の姿として示しておりまして、各局が連携して、その姿の実現に向けましたプロジェクトを推進してまいります。

最後に、就職活動中のセクハラについてのご質問でございます。

セクハラは、働く方の個人としての尊厳を傷つける社会的に許されない行為であります。労働者はもとより、就職活動中の学生等に対しましても、あってはならないものと強く認識をいたしております。

残余のご質問は教育長、関係局長からのご答弁とさせていただきます。

 

教育長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えをいたします。

初めに、児童生徒の急増に伴う対応についてでございますが、学校教育法第三条に基づく公立学校の施設整備は、学校設置者でございます区市町村の権限と責任において行うものとなってございます。

一般的に、児童生徒が急激に増加したことに起因して生じる課題の解消には、新たな学校の建設があるほか、必要に応じて学習の支援に当たる職員の配置や、保護者、地域の理解を得ながら通学区域の見直しをするなど、区市町村がさまざまな対策を講じて対応すべきものであるというふうに考えてございます。

次に、学校設置基準についてでございますが、公立学校の施設整備は、文部科学省令である小学校設置基準などに定められておりまして、学校設置者は、学校の編制、施設、設備等が学校種別ごとの設置基準より低下した状態にならないようにすることはもとより、これらの水準の向上を図ることに努めなければならないこととされております。

最後に、学校施設に関する指導についてでございますが、一般的に、学校教育法によって学校の設置義務を負う区市町村から、学校教育法施行令及び施行規則等に基づく各種の届け出があった場合には、都教育委員会において届け出の事由や関係書類の確認を行っており、その内容に不備などがあった場合には、指導助言等を行うことができることとされております。

 

産業労働局長(村松明典君) 四点のご質問にお答えいたします。

まず、就職氷河期世代の方の実態調査についてですが、国は、就業構造基本統計調査等に基づき、都における支援対象者の人数を示しております。都は、こうした調査の数値や、これまで実施してきた支援の状況なども踏まえまして、氷河期世代の方々の実態に即した就労支援を展開してまいります。

次に、就職氷河期世代の方の支援の目標についてですが、今後、東京労働局が中心となり、東京都、経済団体、労働団体などが参画し、組織するプラットホームにおいて設定することとしております。

次に、就労支援のプラットホームについてですが、就職氷河期世代の方への就労支援を連携して行うために設置するプラットホームの構成員につきましては、東京労働局において現在検討しているところでございます。

最後に、就職活動中のセクハラへの対応についてですが、都は、就職活動中のセクハラに関して、学生などが相談しやすい仕組みをつくり、事業主に対し助言指導を行う国とも連携して対応してまいります。

 

総務局長(遠藤雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。

まず、就職氷河期世代の都職員への採用についてでございますが、都ではこれまでも、幅広い年齢層を対象に経験者採用を実施しておりますが、国や他の自治体の状況も踏まえ、氷河期世代を主な対象とした採用試験の実施を来年度に予定しております。

採用予定者数につきましては、職員の退職動向や職員定数の状況等を勘案し、適切に設定してまいります。

次に、首都大学東京における就活セクハラの相談窓口の設置についてでございますが、首都大学では、学生向けのガイドブックにより、就職活動における各種のハラスメントについて周知するとともに、学生の進路、就職の相談を受ける学生サポートセンターにおいて、就活セクハラなどの問題が発生した場合の対応を行うこととなっております。

 

住宅政策本部長(榎本雅人君) 二点のご質問にお答えいたします。

まず、就職氷河期世代の都営住宅への入居についてでございますが、昨年五月の東京都住宅政策審議会答申では、いわゆる就職氷河期世代の方々などについて、既存の応募有資格者の入居機会を減らすことのないよう配慮しつつ入居の拡大を図る必要があるとの提言がなされました。

都は、TOKYOチャレンジネット事業において、平成二十一年度から都営住宅の住戸を提供してきており、今後とも審議会答申を踏まえ、就労支援事業等と連携して、低収入で住宅に困窮する若年単身者に住戸を提供するなど都営住宅の有効活用を図ってまいります。

次に、家賃債務保証等の状況についてでございますが、国が家賃債務保証の利用状況や保証料等の調査を実施しており、その調査結果によれば、家賃債務保証について、近年、高齢単身世帯の増加や人間関係の希薄化等を背景とし、利用が増加しているものと承知しております。

また、いわゆる就職氷河期世代の方々のように、思うようにキャリアアップできず、収入がふえない単身者が増加していると認識しております。