高校生への経済支援、学校でのエアコン設置を

文教委員会 2019年11月27日

斉藤委員 私からは、エンカレッジスクールと高校生の年齢の子供の貧困対策、そして、学校へのエアコンの設置について質問をさせていただきます。

エンカレッジスクールについて

 

斉藤委員 まず、エンカレッジスクールについてです。

都教育委員会はこれまで、学校の特色化や多様なタイプの都立高校の設置を進めてきました。その中でも、生徒たちを励まし、応援し、勇気づけるという言葉の意味のとおりを学校の理念とするエンカレッジスクールを設置し、都内でこれまで六校が指定されています。

このエンカレッジスクールの意義やこれまでの成果について、改めて伺います。

藤井教育改革推進担当部長 エンカレッジスクールは、小中学校で十分能力を発揮できなかった生徒のやる気を育て、頑張りを励ましながら、勉強や学校行事などを通して、社会生活を送る上で必要な学力を身につけ、豊かな人間性を育むことを目的としております。

各校では、義務教育内容の学び直しや習熟度別、少人数でのわかる授業の展開、二人担任制の導入、生活指導の徹底などを通して、きめ細やかな個に応じた指導に取り組んでおります。

その結果、落ちついた環境での学び直しときめ細かい指導により、中途退学率は、各校でエンカレッジスクール指定前より大幅に減少するなど、一定の成果を上げております。

斉藤委員 小中学校で十分能力を発揮できなかった生徒を励まして、やる気を育てながら、少人数でのわかる授業の展開など、きめ細やかな指導に取り組んできたということです。生徒たちを励まし、勇気づけるということは、本来の教育に求められている重要な視点ではないかと思います。

私はこの間、最初にエンカレッジスクールに指定された秋留台高校と、私の地元の足立区にあります足立東高校を見学させていただきました。現場で授業や生徒たちの様子を拝見させていただいて、校長先生方の話も聞かせていただきましたが、ご答弁のとおり、一、二年生の二人担任制や習熟度別の少人数での授業展開など、特色のある運営を行っているということがよくわかりました。生徒たちが先生と応答的に授業を進めて、生き生きと学ぶ姿を拝見することができました。

教員を手厚く配置しているという点が大きな特徴だと思いますが、エンカレッジスクールの教員の配置は具体的にどのようになっているのか伺います。

浅野人事部長 エンカレッジスクールでは、他の都立高校と同様に、国の基準を踏まえた都の教職員定数配当基準に基づき、学級数を基礎として教員数を算定しております。

これに加えて、エンカレッジスクールの六校の全てに習熟度別、少人数指導のための教員を四人から六人加配し、普通科の四校については、中途退学対応のために三人の加配を行っております。

さらに、副校長については、全てのエンカレッジスクールで複数配置を行い、養護教諭についても五校に複数配置しております。

斉藤委員 習熟度別、少人数指導のための加配や中途退学対応のための加配を利用して教員を配置しているということ、また、副校長と養護教諭を複数配置にしているということです。

見学をさせていただいた中でも、例えば、生徒たちがそれぞれの習熟度に合わせてプリント学習を進める授業では、一クラスに教員三名と学習支援員二名の五人体制でそれぞれの生徒に指導していく、きめ細やかな対応を行っている様子もわかり、教員の加配は非常に意義のあるものだというふうに感じました。

エンカレッジスクールでは、クラス編制についても五学級規模の生徒を六クラスの展開にするなど、本来の学級編制より一クラス多くなるように編制をしています。

そのための教員の配置はどのように行っているのか伺います。

浅野人事部長 普通科のエンカレッジスクールにおける五学級六展開や六学級七展開の少人数指導は、中途退学対応のための加配を活用し、実施しております。

斉藤委員 一クラス多いクラス編制の展開のためには、中途退学対応のための加配を活用しているということです。

都立高校の一クラスの基準は四十名ですが、エンカレッジスクールでは一クラス三十二、三名で編制されており、さらに一、二年生には二人担任制をとっているということが本当に大きな特徴だというふうに思います。

エンカレッジスクールでは、小中学校での学習のつまずきや、十分に能力を発揮できずに、さまざまな悩みを抱えた生徒たちが通っている中で、少人数学級や二人担任制で、先生たちも日々、生徒たちの相談に乗り、向き合う体制ができているということも現場で伺うことができました。

しかし、一方で、やはり教員の手が足りていないという声も届いています。私は今回、学校見学させていただいてお話を伺わせていただきましたが、それ以外にも関係者の方々から声をいただいています。

その中では、やはり、家庭においても困難や悩みを抱えた生徒たちが多く通っている中で、生徒たちに寄り添う対応が十分にはできないという声があります。毎日生徒たちの聞き取りや面談、指導や申し渡し、保護者への連絡などに追われて、授業の準備をする時間がとれないという声もあります。

対応が難しい生徒たちでも手厚く見てもらえるということが評判を呼んで、発達障害を抱えた生徒たちもふえている中で、中には、先生たちの残業時間が月百時間以上というような声も伺ってきました。生徒に向き合い、生きる力を伸ばしていく学校だからこそ、教員が足りないという切実な声に対して応えていく必要があると思います。

教員の配置をふやすということを検討していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

浅野人事部長 エンカレッジスクールの教員定数は、国の基準を踏まえた都の教職員定数配当基準に基づき適切に配置しております。

なお、引き続き、国に対しては、教職員定数基準の充実を求めてまいります。

斉藤委員 今の配置が適切なものなのか、十分なものなのかというのは、ぜひ現状を見ていただいて考えていただきたいというふうに思います。

エンカレッジスクールは、これまでの取り組みの中で、学校からの中途退学率も減少させてきたというご答弁が最初にありました。また、入試の倍率も上がってきて、二倍を超える年もあるというお話も伺いました。

それだけ求められている学校なんだというふうに思いますし、小中学校で困難を抱えても、この高校なら入りたいという希望を持って来られる生徒たちがふえているというふうに伺っています。だからこそ、先生たちのご苦労も多いのだと思います。

エンカレッジスクールが設置されてから十五年ほどがたちますが、信頼を得てきている今だからこそ、その取り組みが維持発展できるように、今の現場の状況に目を向けて検討していただきたいというふうに思います。

先ほど、国に対して基準の充実を引き続き求めていくというご答弁でしたが、重要なことだと思います。しかし、国に求めるというだけでなく、都としての対応として、教員の配置増について検討していただくよう強く要望いたします。

エンカレッジスクールでは、養護教諭も複数配置にしているというのは重要な点だと思いますが、昨年度にエンカレッジ校に指定された中野工業高校では、養護教諭が複数配置になっていません。これはなぜなのか。複数配置にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

浅野人事部長 都立高校の養護教諭については、都の教職員定数配当基準により、原則として全日制及び定時制課程につき各一人を配置しており、また、生徒の状況等を総合的に勘案した上で、複数配置を行っております。

養護教諭の複数配置については、今後も、各校の実情等を踏まえ、適切に対応してまいります。

なお、今年度、都立中野工業高校には、養護教諭の業務を担う臨時職員を雇用するための経費を措置しております。

斉藤委員 エンカレッジスクールの関係者の方からは、情緒不安や発達障害を抱える生徒たちも多くいる中で、保健室を利用する生徒たちがたくさんいて、一日に三十人ぐらいが保健室を訪れるということもあるというお話を伺いました。

中野工業高校では、今年度は養護教諭の業務の一部を担う臨時職員の経費を措置しているということ、また、今後も実情を踏まえて適切に対応していくということですので、ぜひ養護教諭の複数配置について検討していただきたいというふうに思います。

エンカレッジスクールでは、ユースソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの方々が、生徒の日々の悩み事や進路相談、自立支援などに大きな役割を果たしているということも特徴だと思います。

学校によっては、先生たちと一緒に週一回のケース会議を開いて、対応が必要な生徒の情報共有を行って、生徒たちへの丁寧な対応に当たっているということでした。非常に重要な取り組みだと思いますが、ユースソーシャルワーカーについて、曜日によって派遣される人が違うという現状があります。

子供たちが継続して相談したり、心を許せる関係を築くためにも、同じ人に担当してほしいという声とともに、相談日数をふやしてほしいという声がありますが、どのように対応していくのか伺います。

太田地域教育支援部長 ユースソーシャルワーカーは、社会福祉士や精神保健福祉士等の資格を持つ福祉系の支援を担当する職員と、キャリアコンサルティング技能士等の資格を持つ就労系の支援を担当する職員から構成されております。

学校に、福祉系と就労系、いずれのユースソーシャルワーカーを派遣するか、また、週に何回派遣するかなどについては、あらかじめ学校から聞き取りを行った上で決定しております。

今後とも、学校や生徒のニーズに対応したユースソーシャルワーカーの派遣に努めてまいります。

斉藤委員 学校から聞き取りを行った上で決定しているということですが、私たちも、保護者の方々や先生方からそうした声を直接いただいています。今後とも、学校や生徒のニーズに対応した派遣に努めるということなので、この声をしっかり受けとめて、今後の対応を検討していただきたいというふうに思います。

また、スクールカウンセラーについても、やはり相談日数をふやしてほしいという声があります。生徒たちからの相談が多い中、スクールカウンセラーの方も、定時を過ぎても残って相談に応じているという状況や、生徒たちも、待たされたり、相談したいときにすぐ相談ができない状況があると伺っています。

スクールカウンセラーの相談日数をふやしてほしいという要望について、都教育委員会としてどのように対応していくのか伺います。

増田指導部長 都教育委員会は、平成七年度から、都内公立学校へのスクールカウンセラーの配置を開始し、その後、国の補助制度を活用しながら順次拡大を図り、平成二十五年度から、都内全ての小中高等学校に配置しています。

また、平成二十八年度から、高等学校、全日制、定時制、通信制のそれぞれの課程別に配置するとともに、スクールカウンセラーを配置する全ての学校において年間勤務日数を、それまでの三十五日から三十八日に拡充しました。

平成二十年度に国の補助率が二分の一から三分の一に引き下げられ、都の負担が増加している状況にあり、引き続き、国に対して財政支援を要望してまいります。

斉藤委員 国に対して補助率の見直し等の財源支援を引き続き働きかけていくということ、ぜひお願いしたいと思います。

同時に、エンカレッジスクールを設置した都の責任としても、スクールカウンセラーの増配置について前向きに検討していただきたいというふうに思います。

エンカレッジスクールについては、非常に意義のある取り組みをしているということを私は実感しました。小中学校までの教育でつまずいたり、困難を抱えてきた子供たちでも、この学校に来て自信を持つことができたというお話をたくさん伺うことができました。

子供たちが中学校まででもテストの点数で切り分けられるような今の学校現場の中で、どうせ自分なんてと自信を持つことができなかった生徒が、この学校で先生たちに勇気づけられながら学ぶ中で自信を持つことができて、生徒会長に立候補するまでになったという生徒の成長ぶりをうれしそうに語ってくださった校長先生のお話がとても印象的でした。

自分にもできるんだという肯定的な力を持つこと、また、そういう体験を積み重ねて自信をつけていくことは、まさに人生において一番求められる生きる力につながるものだというふうに思います。

子供たちのそうした力を伸ばしていくエンカレッジスクールの取り組みを発展させていけるように、都教育委員会として支援を強化していくことを重ねて求めまして、次のテーマに移ります。

高校生への経済支援を

 

斉藤委員 高校生の年齢の子供たちに対する支援についてです。

今、日本においては、子供の貧困率は一三・九%、七人に一人が貧困にある深刻な状況が続いています。食事を三食ちゃんととることができない、あるいは病気になっても受診を我慢するという子供たちの実態が明らかになっています。

教育を受ける機会についても、経済的な格差が子供たちに深刻な影響を及ぼしています。都は、首都大学東京と協力して子供の貧困調査を行い、二〇一七年三月に東京都子供の生活実態調査報告をまとめました。その中で、高校生の年齢の子供たちへの支援の必要性が明らかになっています。

都教育委員会では、高校生の年齢の子供たちへの経済的支援の重要性についてどのように認識しているか伺います。

江藤都立学校教育部長 高校における就学に係る支援につきましては、家庭の経済状況などにかかわらず、全ての子供たちが充実した教育を受け、自立できる環境を整えることが重要でございます。

都教育委員会はこれまで、教育費の負担軽減を図ることにより、都立高校等における就学を支援してまいりました。

斉藤委員 ご答弁のとおり、家庭の経済状況などにかかわらず、全ての子供たちが充実した教育を受けることができるように環境を整えることは重要な公的責任だと思います。

高校生の年齢の子供たちへの経済的支援の強化についてどのように取り組んできたのか、改めて伺います。

江藤都立学校教育部長 都立高校等につきましては、経済的理由で授業料等の納入が困難な生徒に対して、従前より授業料等の減免を実施してきたところでございますが、平成二十六年度から、国の高等学校等就学支援金制度による授業料の支援と、奨学のための給付金による教材費、学用品費等の通学に必要な経費を支援しております。

また、平成二十九年度から、東京都立高等学校等における給付型奨学金を創設いたしまして、生徒の希望する教育活動に対して、現物給付による支援を実施しております。

斉藤委員 我が党はこれまでも、高過ぎる学費の値下げや返済の必要のない給付型奨学金の創設など、繰り返し求めてきました。そういう中で二〇一七年度から、都として、給付型奨学金を創設したことは大きな前進だったというふうに思います。

その東京都の給付型奨学金の使途の範囲と予算の執行率について伺います。

また、昨年の決算質疑においては、我が党の、とや理事が使途の範囲の拡大を求め、都立学校教育部長の方から、生徒や教員からの要望を把握し、ニーズの高い新たな事業への活用を積極的に検討しているという答弁がありましたが、その後、どんな検討があったのか伺います。

江藤都立学校教育部長 給付型奨学金は、生徒が在籍する学校の教育課程に基づく教育活動のうち、生徒の選択により生ずる経費や学習成果を明らかにするなど、希望する進路の実現に資するために必要な経費等を現物給付により支給を行っております。

具体的には、模擬試験や英検等の各種検定試験の受験料や勉強合宿や語学研修にかかわる経費に対して支給をしております。

平成三十年度の執行率は、都立学校等におきまして二九・六%でございます。

また、平成三十年九月に開設したTOKYO GLOBAL GATEWAYの利用料、さらに、コミュニケーションアシスト講座等も事業対象といたしました。

斉藤委員 昨年度の執行率は三割にも満たないということで、非常に低い状況です。

使途の範囲については、具体的には模擬試験、英検など各種検定試験の受験料や勉強合宿や語学研修にかかわる経費だということですが、そもそもそうしたオプションだけの適用では利用者は少ないのは当然ではないでしょうか。

私たちのところには、教科書代や修学旅行など、もっと日常的に必要だったり、必ず必要なものに使えるようにしてほしいという切実な声が届いています。

給付型奨学金の使途として、修学旅行、給食費、教科書代を対象外としている理由はなぜなのか伺います。

江藤都立学校教育部長 給付型奨学金は、生徒の選択により生ずる経費を対象としており、奨学のための給付金の支給対象経費となる修学旅行費や給食費、教科書代は、給付型奨学金の対象外としております。

斉藤委員 国の奨学のための給付金の支給対象経費となる修学旅行や給食費、教科書代は対象外というご答弁でしたが、国の奨学のための給付金というのは、世帯収入が二百五十万円未満の家庭までしか対象になっておらず、それ以上の多くの世帯は対象外になっているものです。

せっかく都の給付型奨学金の対象になっている世帯でも、日常的に、また、必ず必要な費用がそれに充てられないというのは、利用者にとってどうなのか、見直す必要があるのではないでしょうか。

私はこの間、切実な声を伺ってきました。修学旅行のための積み立てが追いつかずに、やむなく行くことができない生徒や、あるいは、行くことはできたけれども、現地での交通費や食事代に当てるお小遣いを持っていくことができなかったという生徒がいるということです。

お小遣いを持っていくことができなかった生徒が先生に相談をすると、友達から食事を分けてもらうようにといわれたということです。多感な時期の高校生が、せっかくの修学旅行で食事を友達から分けてもらわなきゃいけない、こういう状況に置かれるというのは、どれほどつらい状況だっただろうかと、教育に携わる皆さん方に一緒によく考えていただきたいというふうに思います。

給食費、教科書の費用や、また、修学旅行や校外学習の際の行動費や食事代などを使途として認めるべきですが、いかがでしょうか。

江藤都立学校教育部長 給付型奨学金は、生徒が在籍する学校の教育課程に基づく教育活動にかかわる経費に対して、現物給付により支給しております。

修学旅行費や給食費、教科書代は、奨学のための給付金の支給対象経費となることから、給付型奨学金の支給対象とはしておりません。

斉藤委員 高校生の実態を見て検討するという姿勢もないままでは、余りに冷たいのではないかというふうに思います。

修学旅行費や給食費、教科書代は、奨学のための給付対象経費となるという繰り返しの答弁ですけれども、その対象になるのは世帯収入が二百五十万までと非常に限られているということ、先ほども指摘をいたしました。

また、奨学のための給付金は、第一子の場合は満額が支給されるわけではありません。

さらに、今ご答弁で、給食費ということを繰り返しおっしゃっているんですけれども、私ちょっと疑問になって、文科省に改めて確認をしたんですが、給食費は奨学のための給付金の金額の算定根拠には含まれていないということでした。

それですと、少なくとも定時制の子供たちの給食費には充てられるのではないかというふうに思いますが、認識について伺います。

江藤都立学校教育部長 定時制高校における給食費についてでございますが、定時制課程における給食費については、勤労学生等において給食費補助制度を設けております。

斉藤委員 補助制度を設けているということですが、先ほどからのご答弁の中で、給食費は都の給付型奨学金の対象外だということを繰り返しいわれていますが、この根拠については改めてちゃんと確認をしていただきたいというふうに思います。できる支援をきちんとやっていただきたいというふうに思います。

そもそも都の給付型奨学金の対象となるのも、世帯収入が三百五十万までの世帯で、都立高校生の二割強にしかすぎません。所得制限の引き上げも求められています。同時にこの使途の範囲についても、ニーズの高い教科書代や修学旅行の費用にも充てられるように、都として見直すことを強く求めます。

高校生たちへの就学の支援と同時に、子供たちの生活実態をつかみ、子供たちが置かれている困難な状況に対して支援をつなげていくためにも重要な役割を担っているのが学校だというふうに思います。

ある都立高校では、夕食、朝食、そして、昼食もとらなかったという生徒が、駅で倒れて病院に運ばれたというお話を私は伺いました。その学校では、食育の観点からも生徒たちに食生活アンケートを行ったということですが、その中で、朝食を食べていない生徒が多くいるということが明らかになっています。

こうした生徒に対して支援が求められると思いますが、都教育委員会ではどのような検討をしているのか伺います。

江藤都立学校教育部長 委員ご指摘の食生活アンケート調査によりますと、生徒が朝食を食べない理由は、約五割が時間がない、朝起きられない、約三割が食欲がないであり、経済的理由によるものは約一%でございました。

この結果は、先ほど委員がご指摘になった東京都子供の生活実態調査報告書とほぼ同様でございます。

こうした結果から、生徒の生活習慣の改善が食生活の改善につながるものと考えられることから、都教育委員会といたしましては、生徒が望ましい生活習慣を身につけることができるよう働きかけていくことが重要であると認識しております。

斉藤委員 生徒が朝食を食べない理由は、約五割が時間がない、朝起きられない、そして、経済的理由によるものは約一%だということですけれども、私は、時間がないという中に、この家庭が置かれている困難な状況がその背景にあるのではないかというふうに思います。

保護者の方に伺いましたが、親の中には、低賃金でダブルワークをせざるを得なくて、夜の八時に帰ってきて、すぐまた夜の十時に出かけて、深夜二時まで仕事をしてくるという家庭もあるということで、親が忙しくて朝ご飯をつくってあげられない状況や、また、本人が経済的理由から、いたし方なく遅くまでアルバイトをして忙しいという状況があるのではないかということでした。

さらに、親自身が発達障害を抱えていて、子供に適切な養育が行えないというケースもあるということです。

こうした子供たちへの支援、親への支援について、福祉保健局など局横断的な対応が必要になってくると思いますが、少なくとも、こうした子供たちの生活実態をつかむ上で大きな役割を果たすことができるのがこの教育委員会ではないでしょうか。

高校生の生活実態を明らかにして支援につなげていくために、食生活アンケートのような調査は非常に有効なものだと思います。このようなアンケート調査等で、都として、高校生の実態、生活実態の把握を行うことが求められると思いますが、いかがでしょうか。

江藤都立学校教育部長 委員ご指摘の食生活アンケートの調査結果や東京都子供の生活実態調査報告書によりますと、生徒が朝食を食べない主な理由は、時間がない、朝起きられないなどであることが明らかとなっております。

こうした既に得られた知見をもとに、都教育委員会といたしましては、今後も、生徒に望ましい生活習慣を身につけさせる取り組みを進めてまいります。

斉藤委員 これも私も繰り返しになりますけれども、時間がないという理由の中に、先ほど述べたような経済的に困難な背景があるということに目を向けていかなければならないというふうに思います。

生徒に望ましい生活習慣を身につけさせる取り組みを進めていくということですが、自己責任だけで解決できない背景があることに向き合っていく必要があるというふうに思います。

文科省では、学校を子供の貧困対策のプラットホームにと位置づけて、教育費負担の軽減だけでなく、学校から子供を福祉的支援につなげて、総合的に対策を推進することを掲げています。その役割にふさわしく、都教育委員会が取り組みを進めていくことを強く要望いたします。

学校へのエアコン設置を

 

斉藤委員 次に、学校施設へのエアコン設置について伺います。

我が党はこれまでも、学校施設へのエアコンの設置について繰り返し求め、都立学校には都として設置、区市町村立学校には都独自補助が実現し、普通教室や特別教室への設置が進められてきました。

昨年の夏に災害級の暑さとなり、愛知県の小学一年生の児童が亡くなるというような事態もあって、その取り組みが加速され、東京都では、これまで対象外だった体育館へのエアコン設置にも都独自補助が行われるようになりました。

さらに、大災害が毎年のように続く中で、避難所としても学校のエアコン設置の重要性が増しています。

来年度の予算見積もりについての依命通達では、年々激しさを増す豪雨や猛暑への対策が掲げられました。

教育庁としては、子供たちの学校環境の整備に向けてどのように対応していくのか、基本的な認識を伺います。

江藤都立学校教育部長 学校施設が、児童生徒の安全・安心な学習の場となるだけでなく、発災時には避難所として必要な機能が発揮できるよう、環境整備が必要と認識しております。

斉藤委員 ご答弁のとおり、児童生徒の安全の確保、そして、教育環境の整備として重要なだけでなく、災害のときには避難所としてもその役割の重要性が高まっています。

その認識に立って取り組みを強化していくことが必要ですが、まず、都立高校の体育館のエアコンの設置について伺います。

十月の台風十九号では、都内でも多くの自治体で避難勧告が出されました。この中で避難所として開設された都立高校は幾つあったのか、先ほど質疑がありました。この中で都立高校では十六校が避難所として開設をされたということでした。その中で三校が整備済みという答弁もありましたので、残り十三校は未整備だということだと思います。

私もこのときに、地元の小学校を中心にですけれども、避難所となった体育館を幾つか回りました。台風の当日に回ったんですけれども、やはりエアコンがないという中で、暑さを訴える声が多くあり、大型扇風機で対応しているところもありましたが、それだと風が直接当たったり、逆に当たらなかったりということで、苦労される避難者の方々の声を聞いてきました。

今回の台風のように、災害は待ったなしで繰り返されています。災害対策という点でも、早く設置することがますます必要になっているというふうに思います。

今年度、都立高校の学校体育館のエアコン設置が何校できたのか質問をする予定でありましたが、これも先ほど質疑で出ておりました。今年度は都立高校二十校で体育館への空調整備を完了したということです。

このうち、念のためなんですが、ガス式と電気式の内訳を教えてください。

江藤都立学校教育部長 空調を整備した都立学校二十校のうち十二校が都市ガス、八校で電気を動力とするものを整備しております。

斉藤委員 体育館へのエアコンの設置については、二〇二二年までの三カ年で全て完了するという計画なので、あと残りの二年強の間に、残りの学校について完成させるということになります。

子供たちの命や、いざというときの住民の命を守る重要な取り組みとして、体制の強化も行いながら、着実に進めていただきたいというふうに思います。

また、災害時に停電が起こった場合に、エアコンが稼働するかどうかも住民の命にかかわる重要な視点です。

台風十五号で被災した千葉県では、エアコンが稼働できずに熱中症の疑いで二名の方が亡くなっています。今年度に設置した二十校のうち、先ほど十二校で都市ガス、八校が電気を動力とするというご答弁もありましたが、エアコンのための蓄電池や非常用電源はないということも伺いました。

都立高校は百九十施設中百六十四施設、特別支援学校は五十七施設中四十六施設が区市町村と避難所の協定を結んでいます。

私の地元の足立区では、学校の体育館へのエアコンの設置はおくれていましたが、昨年度の全体的な動きの中で、ようやくこの設置が始まりました。その中で設置された三校は、全て室外機に七十二時間稼働するバッテリーを内蔵しているものを導入し、残りの約百校についても同様に設置をしていくという方針を打ち出しています。こうした事例を参考にしながら、都立学校にも、蓄電池や非常用電源の同時設置についても検討していくことを要望させていただきます。

台風十五号で大きな被害のあった島しょへの支援も重要です。

東京都町村会からは、島しょ地域の多くが活火山を有しており、都内の各自治体よりも各種災害の発生リスクが高く、特に大島は、近年、土砂災害も発生していることから、都立高校体育館空調設備について、最優先で整備するよう要望するという要望が出されています。

島しょ地域における整備はどのように進めていくのか伺います。

江藤都立学校教育部長 都立高校におきましては、今年度から三年以内に体育館へ空調を整備することを目標としております。

島しょ地域の都立高校につきましても、立地条件や施設設備の状況などを踏まえ、令和三年度末までに整備する予定でございます。

斉藤委員 ほかの学校と同じようにやっていくというご答弁ですが、災害の発生リスクの高い島しょ地域では、避難できる場所も限られ、都立高校の体育館は、住民の方々にとってその重要性が一層高い施設でもあります。優先的に整備してほしいという声を町村会として要望しているということに対して、応えていく取り組みが重要だと思います。島しょ地域での現状を踏まえて対策をとることを重ねて求めるものです。

次に、都立高校の特別教室のエアコンについて伺います。

都立高校の特別教室のエアコンの設置率、現在はどのくらいか、また、今年度の設置校数と来年度の設置予定校数について伺います。

江藤都立学校教育部長 都立高校におきましては、令和元年九月一日現在、保有する特別教室のうち七三・六%に冷房設備を設置済みでございます。

今年度は、都立高校十三校におきまして、特別教室への空調整備を図る工事を実施するとともに、さらに十三校におきまして、来年度の工事に向けた設計に着手しております。

斉藤委員 今年度に十三校での工事実施と、来年度にも十三校ということです。来年度予定の十三校の中には、我が党が昨年申し入れを行った瑞穂農芸高校が入っているということも確認をさせていただきました。

この高校では実習授業が多く、特別教室を利用する機会が多いほか、横田基地の騒音の問題から窓もあけられないという特殊で切実な状況があるということを、私たちは、高校生の声をもとに、早期のエアコンの設置を求めてきました。そこに設置が進むということになり、この点は本当によかったというふうに思いますが、切実な状況はほかの学校にもあります。

昨年度に猛暑の中で、練馬区の大泉桜高校では、体育館での講演中に二十五人の生徒が熱中症の症状を訴えて、十人が緊急で病院に運ばれたという事態が発生しました。この高校では、美術や福祉の科目にも力を入れていて、それを学ぶことを目的に入学してくる学生も多くいるということです。特別教室を利用する機会が多い中で、美術などを学びたい学生が汗だくになって猛暑の中で授業を受けているということです。

エアコンの設置は急務だと思いますが、都立高校の体育館へのエアコン設置については三年間で完了するというふうにしていますが、一方で、特別教室のエアコンの設置はいつ完了するという計画がありません。

子供たちの教育環境を向上させる意味からも、期間を区切って設置を進めていくべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

江藤都立学校教育部長 都立高校におきましては、平成二十八年度から調理室等を新たに対象に加え、年間六校から八校の規模で特別教室への空調整備を進めておりまして、今年度は十三校で工事を実施するなど、特別教室における空調整備の取り組みを推進しております。

今後、残りの都立高校につきましても、各校の現状を把握した上で、計画的に空調整備を進めてまいります。

斉藤委員 計画的に空調設置を進めていくというご答弁ですけれども、計画的に進めるというためにも、目標、期限を定めて実施していくということが重要ではないかというふうに思います。

残りの学校は九十校ということですから、このペースでいくとあと七年かかるということになります。

エアコンの設置は、今や生徒の命を守り、教育環境を整える最低限の条件です。目標期限を定めて早急に対策することを重ねて強く求めます。

区市町村の小中学校の体育館のエアコンについて伺います。

小中学校の体育館のエアコンの設置補助において、今年度までに交付決定した自治体数と校数について、設置補助とリース別に伺います。また、現時点における今後の交付申請予定数についても伺います。

太田地域教育支援部長 屋内体育施設空調設置支援事業において、今年度までに交付決定している件数は、施設整備が二十六自治体、二百八十三校、リース契約による整備が十五自治体、二百四十九校でございます。

また、今後、今年度内に区市町村が交付申請を予定している件数は、リース契約による整備が四自治体、五十三校でございます。

斉藤委員 昨年九月の時点で、小中学校の体育館等が二千百二十三棟、そのうちエアコンがついていたのが百九十五棟でした。

その後、昨年度の十二月の補正予算で都独自補助を決めてから五百八十五校ということですので、相当に頑張っていただいているというふうに思います。

同時に、今、新聞報道などで明らかになっているのが、やはり多摩地域の設置がおくれがちだという、多摩格差ともいえる状況になっていることです。例えば、多摩地域の交付団体であれば、都のエアコン補助と合わせて、国の緊急防災・減災事業債も活用できます。活用できれば、実質的な市の財政負担は一一・四%で済みますので、ぜひこうした活用を都教委からもアピールしていただきたいというふうに思います。

東京都市長会からは、小中学校の学校空調について、主に普通教室にということになりますが、更新も補助対象にしてほしいという要望がありますが、都はどのように対応するのか伺います。

太田地域教育支援部長 都は、都内公立小中学校の児童生徒の健康及び教育環境への支障を防ぐという観点から、空調設備が未整備である特別教室等の冷房化を推進するため、区市町村に対して支援を行っております。

空調設備の更新については、引き続き国の補助制度を活用して取り組みが図られるよう、指導助言を行ってまいります。

斉藤委員 老朽化しても更新できず、つけてもききが悪い、あるいは使えなくなっているものもあるというふうに聞いています。ぜひ支援を強化していただきたいと思います。

区市町村それぞれの事情を酌み取って、多摩地域にも、おくれることなく設置していけるように支援をお願いすることを重ねて要望いたしまして、私からの質疑を終わります。