私学への修学支援の拡充、エアコン設置の補助を

文教委員会 2021年3月17日

コロナ禍の修学支援の拡充を

 

斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。

私からは、コロナ禍での修学支援について伺います。

きのう、教育庁の方でも質疑をさせていただきましたけれども、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが、高校生がいる都内在住のひとり親家庭への調査を行い、コロナ禍での高校生等の修学の継続が困難な実態を明らかにしました。

この調査の回答者は、非課税世帯で、さらに、コロナの影響で収入が減るなどして高校修学のための費用が支払えなかったり、支払えなくなる可能性があり、セーブ・ザ・チルドレンからの三万円の給付を受けた世帯です。学業への経済的支援を必要としている高校生にスポットを当てた貴重な調査だと思います。

回答者の四五・五%が私立高校に通っています。生活文化局として、この声に耳を傾け、学ぶ権利をしっかり保障していくことが必要だと思います。

このセーブ・ザ・チルドレンの調査では、高校生活における進学や就職など進路にかかわる費用について、支払えなかったことがある家庭が九%、今後支払えなくなる可能性がある家庭は八三%、さらに、経済的な理由で高校を中退する可能性があるという家庭は三二%に上っています。

高校生がコロナの影響で修学を諦めることがあってはならないと思いますが、私学行政を担う都としてどのように認識しているか、伺います。

濱田私学部長 どのような家庭の経済状況にあっても、高校生の学ぶ環境を整え、一人一人の可能性を広げていくことは重要であると認識しております。

都は、私立高校の授業料について、国の就学支援金や都の特別奨学金により負担軽減を図っており、年収約九百十万円未満の世帯においては、授業料負担が実質無償化されております。

また、低所得世帯を対象にした奨学給付金により、授業料以外の教育費の負担軽減に努めており、令和二年度からは、新型コロナウイルスによる影響を踏まえ、当年の所得減少があった家計急変世帯も新たに対象とし、支給額の増額も行っております。

今後も、こうした取り組みにより保護者負担の軽減に努め、生徒の学び続けたいという気持ちに応えていきます。

斉藤委員 どのような家庭の経済状況であっても、高校生の学ぶ環境を整え、一人一人の可能性を広げていくということ、また、今後も、こうした生徒の学びを続けたいという気持ちに応えていくという、非常に重要な認識を示していただいたと思います。

現在の制度についてもお答えいただきましたけれども、しかし、現行制度があるもとでも、高校を中退する可能性があると回答した家庭は、今、三割に上っているという状況です。このアンケートの中ですね。生徒の学び続けたいという気持ちに応えていくとしたら、今の制度はもちろん、アンケートの回答者と同じような状況に置かれている世帯の状況に合った支援をさらに行っていく必要があります。

同団体は、高校生等の修学継続困難の実態調査をするよう、都に求めています。また、都内の高校に、家計の変化によって修学継続が困難な家庭がいないかどうか定期的に把握することや、高校生活にかかわる費用が払えなかったり、遅滞する家庭がないかどうか、学校がより一層、生徒の家計変化に目を配るよう求める通知を出すようにと求めています。

東京都としても直接要望を受けていると思いますが、見解を伺います。

濱田私学部長 私立学校における授業料等の減免につきましては、家庭の状況等を踏まえ、各学校の判断で実施をしております。

都は、私立学校経常費補助において、授業料等の減免制度を持つ学校が減免を行った場合、減免額に対する補助を行っており、各学校に対して通知を発出するなど、家計の状況に対応した減免制度の整備を働きかけております。

また、奨学給付金など、私立高校生の保護者負担を軽減するさまざまな制度につきまして、学校を通じた周知を行っております。

斉藤委員 都は、コロナ禍のもとで、学校が独自に家計急変の世帯への授業料等の減免制度を設けた場合、私立学校経常費補助で、その費用の十分の十を補助するというふうにしたということです。通知を発出というのは、そのことを知らせ、制度のない学校は設けてくださいとお願いをしたという、この通知のことだというふうに思いますが、それ自体はとても重要なことだというふうに思っております。

同時に、やはりこのコロナ禍にあっては、各学校でこれまで以上に生徒に寄り添った制度周知や相談、生徒の状況把握をしてほしい、そのことを都からも発信してほしいというのが、この団体の皆さんが求めていることではないかと思います。ぜひ丁寧な対応をお願いしたいというふうに思います。

同アンケートでは、コロナの影響で支払えなかった費用として、授業料や教材費、通学費など、修学に欠かせない費目も挙げられています。授業料については、支払えなかったことがあるが一三%にも及び、これまでにはないが、今後支払えなくなる可能性があるが四八・二%、合わせると六割以上の方が大変な状況にあるということです。

教材費についても、支払えなかったことがあるが一〇・四%、これまでにはないが、今後支払えなくなる可能性があるが五五・二%と、合わせて六五%を超えています。

特に負担の大きい私立学校に通う生徒たちを救うためにも、授業料支援の拡充や、教材費、通学費を対象とした支援を行う必要があると思いますが、いかがでしょうか。

濱田私学部長 都は、私立高校の授業料につきまして、国の就学支援金や都の特別奨学金により負担軽減を図っておりまして、年収約九百十万円未満の世帯におきましては、授業料負担が実質無償化されております。

また、低所得世帯を対象にした奨学給付金により、授業料以外の教育費の負担軽減に努めておりまして、令和二年度からは、新型コロナウイルスによる影響を踏まえ、当年の所得減少があった家計急変世帯も新たに対象とし、支給額が増額されております。

斉藤委員 年収九百十万円までは無償化しているといいますが、実際には一三%もの方が払えなかったことがあるというふうにいっています。どうしてこのようなことが起こるのか、私は二つの要因があるというふうに思っています。

一つ目の要因は、授業料無償といっても、学校に納めなければならないのは、都の無償化の対象となる純粋な授業料だけでなく、施設費や教育環境費など、名目は授業料ではないけれども、実質的には授業料と変わらない、授業料の一種といえる費用があるということです。それから、入学金も必要です。

アンケートの自由回答欄にも、私立高校は、授業料のほかに教育費が倍以上かかるため、とても給付金では賄えない、入学金や諸費を借金しているため、早く返したいけれども返せない状況、こういう声が寄せられています。

そこで、二〇二一年度の初年度納付金の平均額は、入学金と施設費等でそれぞれ幾らなのか、伺います。

濱田私学部長 令和三年度における都内私立高校の平均授業料は約四十六万八千円、入学金は約二十五万三千円、施設費は約三万九千円、その他の費用も含めました初年度納付金の平均額は約九十三万五千円となっております。

斉藤委員 初年度納付金の平均額は九十三万五千円ということです。このうち、授業料無償化の対象になるのは四十六万八千円だけです。この四十六万八千円の授業料だけでなく、それ以外の学校納付金にも着目した支援が必要だというふうに思います。

我が党は、施設費等への支援、入学金への支援が必要であるということを繰り返し求め、昨年は、私立高校の入学金を無償にする条例案も提案しました。生徒の学びを続けたいという気持ちに応えていくということならば、ここに支援をするべきだということを強く求めます。

もう一つの要因ですけれども、これは先ほど質疑がありましたが、授業料無償といっても、保護者がまず学校に支払って、国や東京都に後から支給されるという仕組みになっているということです。

私立学校に通う保護者からは、授業料には支援があっても、入学時に、親がまず払わなければならないということが大きな負担になっているという声が以前から上がっています。

アンケートの自由回答でも、授業料無償化であるなら、最初から払わずにいられる対策をしてほしい、借りないと支払えない、大変ありがたい制度ですが、毎年末に振り込まれるために、それまでがとても大変という切実な声が寄せられています。

保護者が最初に支払いをしなくていい仕組みを都として構築する必要があると思いますけれども、こちらは、先ほどの質疑の中で、今後、都は、授業料負担軽減に関する補助金支給の早期化に向けて取り組むという質疑がありましたので、私からの質問は省かせていただきたいと思います。

国の高校就学支援金が学校に支払われるのは秋ですから、学校は、それまでの間、保護者から授業料を徴収し、秋に支援金が払い込まれたら保護者に返すというふうにしないと、学校を運営する資金に困るということになります。

そして、都の特別奨学金、授業料軽減補助は、保護者が先に学校に授業料を納めることを条件に、都が年末に保護者の口座に振り込むという仕組みですから、ますます保護者は、先に授業料を支払うということが必要になってきます。滞納したら補助がもらえないということで、先に支払うことに苦労して、私たちのところにも、これまでも相談がたくさんありました。

先ほどの確認なんですけれども、補助金支給の早期化に向けて取り組むということは非常に重要だというふうに思うんですけれども、これは、国の高校就学支援金、そして、都の授業料軽減補助の両方について取り組むということでよろしいでしょうか。確認させてください。

濱田私学部長 国の就学支援金と都の特別奨学金の両方について早期化に取り組んでいきます。

斉藤委員 両方で検討していくということで、本当によかったなというふうに思います。

先ほど、手続やシステムの改善ということで質疑がありましたけれども、例えば学校に払われる学校就学支援金は、毎年の金額がそう大きく変動することはないでしょうから、春に概算払いをして秋に精算するようにすれば、保護者が春に支払わなくても、学校はやっていけるのではないかというふうに思います。

また、都の補助の方も、希望者は学校が代理受領する形にするなど、検討の余地はあるのではないかというふうに思います。

年収五百九十万までの世帯の支援は、二〇二一年ですと、高校就学支援金が三十九万六千円、都の授業料減免助成は七万一千円ですから、これは本当に大きな影響があると思います。ぜひ補助金支給の早期化に取り組んでいただきたいというふうに思います。

またさらに、このアンケートでは、奨学給付金についても、六〇・三%の方が支給金額をふやしてほしい、そして、四七・三%の方が、家庭での立てかえが必要ない支給時期、方法にしてほしいと答えています。また、二割の世帯が利用したことがない、わからないと回答していることも、この対策が必要だというふうに思います。

東京都は、この間、授業料無償化の所得制限の緩和を行ってきました。我が党も求めていたことであり、重要ですが、同時に、これも繰り返し求めてきましたが、低所得世帯の実態に合った支援の拡充が、コロナ禍のもとで一層強く求められています。高校生の学ぶ権利を保障し、安心して学べる支援の拡充を強く求めます。

通信制の授業料負担の軽減を

 

斉藤委員 次に、通信制の授業料負担の軽減について伺います。

通信制で学ぶ生徒は年々ふえており、今年度の学校基本調査によれば、全国的には、今年度初めて二十万人を超えたという状況です。全国的にも定時制課程が減らされる一方で、通信制の在学者がふえているという傾向ですが、東京都でも、これまで九十六校あった定時制課程が、半分以下の四十四校に減らされたということもあるという中で、通信制で学ぶ生徒の数は、一方で増加をしている状況です。

東京都では、今年度、都が認可している私立の通信制課程で学んでいる生徒は八千八百三十五人、そのうち約二千五百人が都民の方、さらに、東京都以外の自治体で認可を受けている通信制で学ぶ都民の方が約一万四千五百人だということを伺いました。

コロナ禍で家計急変が広がる中で、今、増加している通信制課程で学ぶ生徒たちや保護者たちの負担軽減をしていくことも喫緊の課題です。

そうした中、来年度から、都が通信制の授業料の減免、負担軽減について拡充するということは重要だと思います。

まず、新たに始まるこの通信制の授業料負担軽減について、その概要を伺います。

濱田私学部長 都は、現在、東京都が認可する通信制高校に在籍する都民を対象に授業料負担の軽減を行っており、年収約九百十万円未満の世帯を対象に、国の就学支援金と合わせて二十五万四千円までの支援を行っております。

令和三年度からは、東京都以外の自治体が認可する通信制高校に在籍する生徒にも支援を行うことといたしました。

斉藤委員 現在、都が認可する通信制高校に在籍する都民を対象に行っている授業料負担軽減のこの支援の対象を、東京都以外の自治体が認可する通信制高校に在籍する都民に広げるということです。

我が党は、この間、通信制で学ぶ生徒も含めた支援の必要性を訴えてきました。昨年三月の文教委員会では、先ほどもお話ししましたけれども、私たちは私立高校の入学金を助成する条例案を提案しましたが、その対象に都外通信制で学ぶ都民も含めて、私自身がこの場で説明をさせていただきました。今回、支援が拡充したということは本当によかったというふうに思います。

一方で、通信制で学ぶ生徒を支えるサポート校を利用する学生や保護者にも、学費に対する補助をしてほしいという声が届いています。

サポート校は法的な位置づけはありませんが、通信制高校にレポートを提出したり、スクーリングに行って授業を受けたりすることが自力では難しいために、生徒たちに寄り添ってサポートすることから始まっています。

また、通信制を利用する生徒の中には、不登校やひきこもりなどで学校になかなか通い続けられなかった子供たちが多く、そうした子供たちとのつながりを持って、子供の実情に合わせて手厚い支援をしているところもあります。

二〇一八年の第四回定例議会には、こうしたサポート校から補助を求める陳情が出され、我が党は支援の必要性を訴えました。

コロナ禍で、誰も取り残さない支援が求められている中、こうしたサポート校への支援についても目を向けていく必要があると思いますが、見解を伺います。

濱田私学部長 サポート校でございますが、通信制高校に通う生徒を、授業とは別に学習面や生活面等で支援する民間施設でございまして、法令に規定する学校ではないため、授業料の負担軽減事業の対象外でございます。

斉藤委員 サポート校を利用する生徒たちの中には、本当に高校に通いたかったけれども、経済的な困難で中途退学をして学んでいるという生徒たちもいます。高校の修学継続が困難だった子供たちが、通信制だけでなく、人とのかかわりを持って学ぶことを支えているのがサポート校です。

コロナ禍で、今まで以上に親の経済状況は悪化している中、支援が必要な子供たちに目を向けていくためにも、ぜひサポート校の実態の把握をして、支援を検討していただきたいというふうに思います。

私立学校の体育館エアコン設置に補助を

 

斉藤委員 次に、私立学校の体育館エアコン設置の補助について伺います。

都では、公立の小中学校のエアコン設置の補助が決まり、各自治体で、今、急ピッチで体育館のエアコンが進んでいます。

そうした中、私立の学校からは、私たちにも支援の手を差し伸べてほしいという切実な声が届いていました。我が党は繰り返し、質疑や申し入れなどで支援を求め、私自身も、十一月の事務事業質疑で、支援を求める私立学校の校長先生からのお手紙を紹介しながら、支援の必要性を訴えました。

そうした中で、新年度から、私立学校の体育館へのエアコンの設置についても補助が出ることになり、これは、今、とても喜ばれています。

毎年のように、夏には猛暑が襲う中、私立学校に通う子供たちの命の安全を守り、教育の環境改善を進めるためにも、なるべく早く設置が進むことが求められていますが、まず、私立学校の体育館のエアコンの設置の状況について伺います。

濱田私学部長 昨年六月に、都内私立小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校に対して行ったアンケート調査によりますと、回答した学校の中で体育館に空調設備を設置しておりました学校の割合は約七割でございました。

斉藤委員 現在、約七割の学校で設置されているということです。昨年六月に、都が初めて私立学校のエアコン設置の状況について調査をしたということでわかったということだと思います。現状把握に動き、支援の実現につながったということは、率直に本当によかったなというふうに思っています。

都内の私立の小中高等学校は全部で四百七十九校ですので、大体、七割ですと三百三十校くらいで既に設置がされているということだと思います。

補助の内容は、上限三千万円のうち、二分の一の一千五百万円を補助するということですけれども、二〇二一年度の予算の中では何校分の支援を想定しているのか、確認させてください。

濱田私学部長 令和三年度の予算案におきましては、二億八千万円の事業費を積算しておりまして、二十五校程度の私立学校への補助を見込んでおります。

斉藤委員 来年度は二十五校程度を見込んでいるということです。未設置の学校は約三割だということなので、約百六十校ぐらいだということになります。

早期に全ての子供たちに安全な教育環境が整備できるよう、設置を求める学校や子供たち、保護者の要望に応えていただきますようお願いをしまして、質疑を終わります。ありがとうございました。