障害者のスポーツ振興。プライドハウス東京との連携を

文教委員会 2020年10月29日

コロナ禍の都民スポーツへの影響

 

斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。
初めに、資料の提出をありがとうございました。
最初に、都民スポーツに対する新型コロナウイルス感染症の影響について伺います。
スポーツ分野においては、新型コロナウイルス感染予防のため、東京マラソンの一般ランナーの部門が中止となり、エリート部門のみの開催となるなど、早い二月の段階から大きな影響を受けてきました。
四月の緊急事態宣言による休業要請前にも、スポーツジムでのクラスター発生や学校休業などもあり、都民の利用するスポーツ施設は、公立でも民間でも、早い段階から感染拡大防止の対応が求められてきました。
そこで伺いますが、都立スポーツ施設における本年二月以降に新型コロナ感染防止のためにどんな対策や取り組みを行ったのか、伺います。

鈴木スポーツ推進部長 都立スポーツ施設におきましては、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、本年二月下旬からトレーニングルームやプールを利用中止とし、その後、順次、全館休館しております。
その後、施設管理者向けに感染拡大防止のためのガイドラインを策定し、これに基づき、各施設管理者においては、館内消毒の徹底、従業員の体調管理、利用人数の制限、運動時における注意喚起など、適切な感染拡大防止対策を講じた上で、令和二年六月から段階的に施設を利用再開しております。

斉藤委員 資料4にも示していただきましたが、トレーニングルームやプールなどは二月下旬から、アリーナや屋外施設も三月下旬から休館し、開館後も、感染拡大防止対策を講じながらの利用となっているということです。
私もスポーツ団体の方にお話を伺いましたが、体温測定や消毒、換気はもちろん、競技中はマスクを外し、待機中や会話をするときは必ずマスクをつける、場内ではソーシャルディスタンスをとる、また、ソーシャルディスタンスをとるために利用人数を減らすなどの対策をとりながら、練習や試合を行っているということでした。
多くの制約がある中、工夫をしながらスポーツを楽しんでいるということを伺いました。
緊急事態宣言による休業要請は四月八日からでしたが、都立スポーツ施設は、一カ月以上早く休業した部分もあり、休業期間が長期にわたることとなりました。
休館期間中や利用が減る中で、都立スポーツ施設における利用料収入が減収になっていると思いますが、本年二月から九月までの間に、新型コロナを理由としてキャンセルされた利用料金の総額は幾らか、伺います。

鈴木スポーツ推進部長 都立スポーツ施設の休館などに伴いまして利用を中止した利用者につきましては、利用料金の還付の対応を行っております。
利用料金の受け取りにつきましては、予納金のみ納付されているケースや、利用料金の全額が既に納付されているケースなど、さまざまなケースがございます。
現在、金額を整理しているところでございますが、新型コロナウイルスを理由としたキャンセルに伴い、施設利用料収入が減少していることは承知しているところでございます。

斉藤委員 現在、金額を整理して、具体的な金額はこれからということですけれども、減少しているということは承知しているということです。
この金額の確認ですけれども、今後、ぜひしっかり行っていただきたいなというふうに思います。
休館期間中はもちろん、ある程度の規模の大会などは準備期間が必要なため、春ごろの先が見通せない状況の中では、夏以降の開催であってもキャンセルせざるを得なかったという話も聞いています。
また、予約のキャンセルだけでなく、通常ならあるはずの当日利用もなかったというわけですから、前年度比でどれだけ減収になったのか、ぜひ具体的な金額を東京都として把握していただきたいと思います。
都立スポーツ施設は、政策連携団体であるスポーツ文化事業団など指定管理者が、指定管理料と利用者からの料金収入で運営しているので、利用料が減収となると経営は大丈夫なのかと、利用者の方々も心配をしています。
減収に対する補填など、都として指定管理者にはどのように対応するのか、見解を伺います。

鈴木スポーツ推進部長 先ほどの答弁のとおり、施設利用料収入が減少していることは承知しているところでございます。
管理運営に関する基本協定におきましては、年度途中において指定管理料に余剰ないし不足が生じた場合においても、都がやむを得ないと認める特段の事情がない限り、当該年度内における指定管理料の減額または増額は行わないものとしてございます。
指定管理者の経営状況等を引き続き注視し、今後も適切な施設運営に努めてまいります。

斉藤委員 都がやむを得ないと認める特段の事情がない限り、指定管理料の増額は行わないということですけれども、経営状況によっては、新型コロナは十分特段な事情と認められ得るというふうにも思われますが、都として、指定管理者任せにせずに、目配りをお願いしたいと思います。経営状況等、引き続き注視していくということですので、ぜひお願いしたいと思います。
利用者からは、減収が今後、利用料の値上げにつながらないかとの心配の声があります。また、減収が、都立スポーツ施設で働く方々や委託事業者にしわ寄せされないかという懸念もあります。今からでも、休業期間中の対応がどうだったのかということも含め、東京都として把握して、利用料の値上げや働く方々の労働条件の切り下げにならないように対応していただくことを求めます。
また、現状では、利用料はこれまでと同じ料金なわけですが、感染防止のために、本来の収容人数の半分でスポーツを実施しているため、中小規模のクラブ活動やサークル活動などで人数を減らして利用する場合、一人当たりの負担が重くて利用しづらくなるなどの声が届いています。
都として、施設利用料の減免や減額を検討する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

鈴木スポーツ推進部長 都立スポーツ施設における利用料金の減額または免除につきましては、東京都体育施設条例第八条及び東京都体育施設条例施行規則第七条に定められております。
新型コロナウイルス感染拡大防止のための利用制限等を理由とした利用料金の減額や免除は対象となってございません。

斉藤委員 東京都体育施設条例施行規則には、減免できる場合として、施策上、特に必要があるものとして知事が別に定める事由に該当するときという規定があるはずです。これを活用すれば、都として減免を行うということも可能ではないでしょうか。
また、スポーツ施設の利用料は、指定管理者と東京都が協議すれば、例えばですけれども、スポーツ応援キャンペーンなどとして料金を引き下げることが可能なのではないかと思います。
都の施策として、利用者に補助するということもできると思います。
減免でも、料金引き下げでも、補助でも、結果的には利用者にとっては同じですから、さまざまな工夫をして都民のスポーツを応援していただきたいというふうに思います。
コロナの感染防止や在宅ワーク、オンライン授業などで家にこもりがちになり、そのことで運動不足になったり、ストレスがたまったり、かえって心身によくないという話もよく聞いております。感染防止をしながらスポーツを楽しむことは大変よいことだと思いますので、ぜひ考えていただくことを要望いたします。
都内のスポーツ団体やサークル、クラブなどでは、今申し上げた利用料の負担増だけでなく、消毒を初めとする感染防止対策などに費用がかさむ一方、緊急事態宣言で活動休止せざるを得ない期間が生じたことや、子供や孫の面倒を見なければいけなくなった、また、生活が苦しくなったなどでメンバーが減ってしまうという厳しい状況もあるということです。
また、大会時に参加費と会費を払う場合も多く、大会が中止になったことで、それらの収入がなく、運営が苦しくなったというお話も聞いています。
国は、こうした中でもスポーツ活動を再開し、継続していくための支援として、スポーツ大会や教室の運営、リモート配信、消毒などの感染防止対策にかかわる費用を、三分の二または定額補助として上限百五十万までを補助し、歓迎されています。
しかし、補助事業は十一月三十日で終わるため、今後の新型コロナの感染拡大の終息が見通せない中では、都として、十二月以降、支援をしてほしいという声もあります。
都としての独自の支援をしていく必要があると思いますが、見解を伺います。

鈴木スポーツ推進部長 国が行っておりますスポーツ活動継続サポート事業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により活動自粛を余儀なくされたスポーツ関係団体や個人事業主が、感染対策をとりつつ活動の再開、継続を行う取り組みに対して必要な支援を行うものでございまして、ことし七月から始まり、十一月末をもって終了するものでございます。
一方、都は、新しい日常においても都民がスポーツ活動を継続的に行えるよう、地域のスポーツ団体等が行う各種の事業を支援する中で、感染拡大防止に必要となる消毒液等の消耗品やオンライン教室に係る経費を、ことし五月から補助対象として実施をしているところでございます。

斉藤委員 現状のご説明をいただきましたが、国の制度や都の今の支援では、オンライン教室や、何か新たな資材の購入や取り組みがなければ支援の対象にならなかったり、手続も煩雑で申請を諦めてしまったという団体の声もあります。
そもそも会費収入などが一定期間なくなり、運営が厳しい中では、新たな資材や取り組みのための調達や購入がなくても支援をしてほしいという声が寄せられています。都として広く支援をする独自の対策を検討していただくことを求めます。
また、新型コロナで中止や延期となったスポーツの活動の再開が、これから本格化していくという団体も多いということです。東京都では、東京二〇二〇大会の延期により、会場予定だった都立スポーツ施設を来年までずっと休館するのではなく、可能なところから都民向けの貸し出しを始めています。そうした場所の提供も始まったばかりです。ぜひ都民の皆さんがコロナのもとでもスポーツを楽しめるよう、都が先頭に立って、きめ細かい支援をしていただくよう、強く要望いたします。
都内では、日常的にスポーツを楽しもうと、子供から大人、高齢者まで、多くの方が身近なアマチュアスポーツ団体や地域スポーツクラブで活動しています。そうした団体も、新型コロナによる自粛の影響を大きく受けています。
そこで伺いますが、東京都で活動しているアマチュアスポーツ団体はどのくらいあるのか、また、区市町村と連携して活動している地域スポーツクラブはどのくらいあるのか、伺います。

鈴木スポーツ推進部長 都が区市町村におけるスポーツの実態を調査し、取りまとめました東京都スポーツ総合調査によりますと、平成二十九年度の都内のスポーツクラブの数は二万三千六百八十六団体でございます。
また、地域住民が主体的に運営し、都民の誰もが参加できる地域スポーツクラブにつきましては、令和二年九月三十日現在、都内に百四十四クラブが設立され、区市町村へ届け出がされております。

斉藤委員 二〇一七年度の都内のスポーツクラブの数は二万三千六百八十六団体、また、地域スポーツクラブは百四十四あるということです。本当に裾野の広い、多くの方々が、都民のスポーツの機会の提供に貢献してくれているということです。都民のスポーツの機会が失われないようにするためにも、そうした団体、クラブの運営の継続を支えていただきたいというふうに思います。
また、そうしたスポーツ団体、クラブの方々は、スポーツを行う場所の確保にも、コロナ禍での困難を抱えています。ふだん利用していた放課後の学校の校庭なども、まだ通常どおりに利用できていないということもあるということです。
都は、東京二〇二〇大会等に向け、都立スポーツ施設が改修、休館していく中にあっても、都民のスポーツ環境を維持できるようにするために、TOKYOスポーツ施設サポーターズ制度をつくっていますが、施設の利用の制限がある中で、都民に喜ばれている制度です。
しかし、スポーツ団体等がもう少し利用しやすくなるように、たとえ全ての施設ではなくても、定期的な利用や半年前からの予約が可能になる枠を設けるなど、改善ができないかという声がありますが、いかがでしょうか。

鈴木スポーツ推進部長 本事業は、スポーツ施設を所有している大学や企業等が、その活動に支障のない範囲で施設を都民に貸し出していただいているものでございます。
このため、スポーツ団体等には、スポーツ施設を学生や企業等が利用していない日時にご利用をいただいております。
また、利用者が各施設における利用可能な日時を容易に把握できるよう、月初めに翌月以降の空き状況を集約し、都のホームページ、スポーツTOKYOインフォメーションに順次掲載をしております。

斉藤委員 確かに、本来のユーザーの方々がいらっしゃる中で、なかなか難しいところだということはわかるんですけれども、しかし、それだけ場所の確保に苦労しているというところが多いということです。都として、少しでもあきのあるところは有効活用につながるように目配りをしていただきたいと思います。
このTOKYOスポーツ施設サポーターズ制度ですが、東京二〇二〇大会後も含めた今後の取り組みについてどのように検討されているのか、伺います。

鈴木スポーツ推進部長 TOKYOスポーツ施設サポーターズ事業は、大学や企業等の協力を得まして、東京二〇二〇大会に向け、都立体育施設が改修、休館していく中にあっても、都民のスポーツ環境を維持できるよう、実施している事業でございます。
引き続き、関係者のご協力をいただきながら、都民の身近なスポーツの場の確保に努めてまいりたいと思います。

斉藤委員 引き続き、関係者の協力をいただき、都民の身近なスポーツの場の確保に努めていくということです。都民のスポーツの機会の確保、拡充に資する取り組みだと思っていますので、ぜひ継続を検討していただきたいというふうに思います。

 

都立スポーツ施設の整備について

 

斉藤委員 次に、都立スポーツ施設の設備について伺います。
東京体育館は、大会時には卓球の会場として使用されるため、そのための改修が行われてきたところです。
会場を内覧された卓球の競技団体の方々から、東京体育館の照明について、スポットライトの傾きなどの仕様が、オリンピックの卓球の試合には適していても、ふだんの卓球の大会には適さないものになっているという、利用団体の方々からの指摘がありました。
具体的にいうと、オリンピック仕様では、真ん中の卓球台に照明を集めるような傾きになっているということですが、オリンピック後のふだんの大会では、広くたくさんの卓球台を置くため、フロア一面を照らす照明でなければ競技ができないということです。
今後、照明の改修などは行っていくのかどうか、伺います。

原田スポーツ施設担当部長 東京体育館は、東京二〇二〇大会では、オリンピック、パラリンピックともに卓球の会場となっております。
大会時に、試合はメーンアリーナの中央付近で行われるため、中央付近で基準の照度が確保されるよう、組織委員会により照明の位置、角度が調整されております。
大会終了後は、当初より、照明の位置や角度をもとに戻す予定としております。

斉藤委員 大会終了後は、照明の位置や角度をもとに戻していただけるということで安心しましたが、この間、都立スポーツ施設の設備について、スポーツ利用者の声が反映されているのだろうかと疑問に思うことが起きています。
改めての確認なんですけれども、施設や設備の設計や導入に当たって、利用者の意見を取り入れて行うことが重要だと思いますが、これまでの施設や設備の設計等において、どのように当事者や利用者の声が反映されてきたのか、また、大会後の利用を見込んだ検討はされているのか、伺います。

湯川施設担当部長 新規恒久施設におきましては、東京二〇二〇大会の開催のみならず、後利用も見据えまして、競技に精通し、利用が見込まれる主な国際、国内競技団体と、施設の仕様等につきまして協議をするとともに、障害のある方の意見も伺うなど、設計に反映させてきたところでございます。

原田スポーツ施設担当部長 東京体育館を初めとしました既存施設の改修に当たりましても、利用者や団体の意見を把握し、設計に反映させているところでございます。

斉藤委員 ちょっと今、二回、答弁があって、どうしたのかと思ったのですが、今ご答弁がありましたけれども、東京二〇二〇大会のみならず、後利用を見据えてというご答弁でしたけれども、本当にアスリートやスポーツ利用者の方々の視点で考えられているのか、疑問なこともあります。
武蔵野の森総合スポーツプラザでは、東京二〇二〇大会のバドミントンの会場になっていますが、日本バドミントン協会が大会を行ったときに、やはり照明に角度がついていて、バドミントンを行うにはまぶしくて、競技が思うようにできなかったということがあったと聞いています。
本来、スポーツをする上では、どんな競技でも、照明は真っすぐに、フロアに光が平行におりて全面を照らすというものが競技に適しているというふうに聞いています。
武蔵野の森のアリーナは、コンサートやイベントなども想定しているということを伺っていますが、やはりスポーツ施設としてのあり方を中心に利用者の方の声を事前に聞いて設備の導入を工夫するなど、よりきめ細かい対応をお願いしたいというふうに思います。

 

障害者がスポーツに親しめるように

 

斉藤委員 次に、都立学校活用促進モデル事業の取り組みについて伺います。
都は、障害者が身近な地域でスポーツに親しめるように、都立特別支援学校を活用したスポーツの機会を創出する取り組みを行っています。
都立学校活用促進モデル事業の取り組みについて、初年度に五校から始まっていますが、その後はどのように推移しているのか。ことしは新型コロナの影響もありますが、実施校の数はどうなっているのか、伺います。

加藤障害者スポーツ担当部長 都は、平成二十八年九月から、都立特別支援学校の体育施設を、学校教育活動に支障のない範囲で平日夜間や土曜日、日曜日、祝日に貸し出し、身近な地域での障害者スポーツの場としての活用の促進を図っております。
実施校数でございますが、二十八年度に五校で開始をし、その後、毎年度五校ずつ拡大をいたしまして、令和二年度は二十五校を実施の対象としております。
今年度でございますが、教育庁が実施しております都立学校施設開放事業が、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、本年三月から中止となったことと合わせまして、都立学校活用促進モデル事業につきましても中止といたしておりました。
現在でございますが、教育庁の事業が九月から屋外施設のみ実施となったことと合わせまして、本事業につきましても、同月から、屋外施設を有する九校を対象に、感染防止対策を講じながら開始をしております。

斉藤委員 昨年度も、私、質疑をさせていただきましたが、昨年度までは二十校だったところが、今年度は二十五校までふえたということです。
私の地元の足立区では、肢体不自由の特別支援学校と知的障害の特別支援学校を統合する形で、花畑学園がことしの四月から開校しています。こちらも今年度からの貸し出しの実施校となったと伺いました。
先日、花畑学園に視察に行かせていただきましたが、体育館が二つあり、プールも、二十五メートルの大きなプールのほか、水深の浅い小さなプール、また、温水で体を温めるスペースもあり、障害のある方たちにとっても利用がしやすいということがわかりました。
しかし、残念ながら、新型コロナの影響でまだ使っていないということでしたが、先生方も、早くプールが使えるようになることを望んでいらっしゃいました。
利用が進むといいなというふうに思っておりますが、昨年度の利用実績について、施設の貸し出しと体験教室をあわせて伺います。

加藤障害者スポーツ担当部長 令和元年度の施設の貸出可能な日数は、二十校で三千四百二十二日でございまして、実際に貸し出しを行った日は二千二百四十四日でございました。
また、体験教室につきましては、二十校において二十六種目、計百五回開催をいたしまして、参加者やボランティア等の合計数は、延べ二千八百六十二人でございました。

斉藤委員 実施校をふやしていただいているという中で、貸し出しも体験教室も、利用実績は着実に伸びているということですけれども、今年度は新型コロナの影響で厳しい状況だと思います。
感染防止の取り組みも重要ですが、障害のある方やお子さんにとっては、体を動かすことができる環境も、心身の健康の維持にとって欠かせません。都教育委員会とも連携をして状況把握に努めて、利用再開できる時期を検討していただきたいというふうに思います。
この体験教室についてですけれども、利用者に毎回アンケートをとっているというふうに伺っています。どのような声があるのか、伺います。

加藤障害者スポーツ担当部長 体験教室の参加者からは、学校を卒業するとスポーツの機会が減るので、このような機会はとてもうれしい、さまざまな年齢、障害の有無にかかわらず楽しむことができ、一体感がよかったなどの声をいただいております。

斉藤委員 このような機会はとてもうれしい、一体感がよかったなど、声が届いているということで、とても喜ばれている取り組みなんだと実感できます。
一方で、今の声にあるように、学校を卒業するとスポーツの機会が減るということが、障害のある方々にとって、まだまだ気軽にスポーツができない現状を物語っているというふうに思います。
障害者の方々がスポーツができる都立の施設は、北区と多摩にある二つしかありません。こうした施設の拡充が求められていますが、また、より身近なところで、バリアフリーになっている都立特別支援学校が利用できるということは、障害者のスポーツの推進にとっても有益なものです。
今、行っているこの都立学校活用促進モデル事業を本事業として拡充していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

加藤障害者スポーツ担当部長 今後の方向性につきましては、利用団体や体験教室の参加者へのアンケート結果も含め、モデル事業の実施状況等を踏まえた上で検討することとしております。

斉藤委員 私も、昨年度も同じ要望をしているんですけれども、大事なことなので今回も伺いました。ことしはオリンピックが行われたはずの年、また、来年には行われる予定ということで、これを契機に、やっぱり利用実績も伸びて、そして、利用者からも高い評価をいただいているという事業なので、ぜひ本事業として拡充していくことを重ねて求めるものです。

 

誰もがスポーツに親しめるように

 

斉藤委員 次に、スポーツ振興推進について伺います。
我が党では、誰もがスポーツに親しむことができる環境づくりのために、これまでもスポーツ推進についての質問を繰り返し行ってきましたが、今年度、そして来年度は、オリンピックの節目の年として、スポーツ推進を強化していく上でも大事な年だというふうに思っています。
改めて伺いますが、国のスポーツ基本法では、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは全ての人々の権利であるとうたっており、誰もがスポーツを楽しみ、スポーツを支える活動に参画することのできる機会が確保されなければならないとしています。
都としても、スポーツ推進に当たって、この理念を根幹に据えることが大事だと思いますが、見解を伺います。

鈴木スポーツ推進部長 スポーツ基本法では、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営む人々の権利等を基本理念に掲げ、地方自治体は、この理念にのっとり、地域の特性に応じた施策を策定し、実施することとしています。
このため、都は、スポーツ振興審議会の審議を経て、東京都スポーツ推進総合計画を平成三十年三月に策定いたしました。
同計画では、誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しみ、スポーツの力で人と都市が活性化するスポーツ都市東京を実現することを基本理念としており、これは法の趣旨にも合致しているものでございます。

斉藤委員 国のスポーツ基本法の理念にのっとり、東京都スポーツ推進総合計画を策定し、その基本理念は法の趣旨に一致するものというお答えでした。
スポーツ基本法の、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは全ての人々の権利であるという理念は、スポーツ推進をしていく上で大事な視点だと思いますので、ぜひこのことを根幹に据えていただきたいというふうに思います。
都は、そのスポーツ推進総合計画の中で、都民のスポーツ実施率七〇%を達成するということを目標に掲げています。
今年度は、新型コロナの感染症拡大によってスポーツの実施率も影響があると思いますが、感染拡大前の直近の実施率の到達について伺います。

鈴木スポーツ推進部長 直近の都民のスポーツ実施率は、平成三十一年二月に公表された都民のスポーツ活動に関する世論調査によりますと、五七・二%でございます。

斉藤委員 昨年二月に公表されたスポーツ実施率は五七・二%ということです。
未来の東京戦略ビジョンにスポーツ実施率の推移について示されていますが、二〇一二年には五三・九%、二〇一四年には六〇・五%、二〇一六年には五六・三%、そして二〇一八年度は、先ほどの五七・二%ということなので、直近では、やや横ばい状況。二〇一四年が六〇%を超えて一番高い実施率なので、必ずしもオリンピックイヤーに向けて上昇し続けてきたということではない状況かと思います。
都は、区市町村がスポーツ施設の新設や改築を行う際の費用に対して補助をするスポーツ施設整備費補助事業を行ってきました。
都民のスポーツの機会を広げるために重要な取り組みだったというふうに思いますが、この補助の結果、競技スペースや利用機会の拡大、またバリアフリー化など、スポーツ施設はどの程度充実したのか、伺います。

鈴木スポーツ推進部長 都は、平成二十六年度から令和元年度まで、スポーツ施設整備費補助事業によりまして、区市町村が実施するスポーツ施設整備、合計二百四十八件に対して支援を行いました。

斉藤委員 六年間で二百四十八件に対して支援を行ってきたということです。私もその要綱を確認しましたが、補助対象は施設の新設や改築が含まれていて、区市町村が行う整備に幅広く貢献するものだったのではないかと思います。
ところが、区市町村が行う施設整備の取り組みを支援するこの制度は、昨年、二〇一九年度に終了しています。
なぜ終了したのか、補助事業の継続は検討されなかったのか、伺います。

鈴木スポーツ推進部長 都は、二〇二〇年までにスポーツ環境の充実、拡大を図るため、平成二十六年度から令和元年度までの六年間を事業期間として、ラグビーワールドカップ二〇一九や東京二〇二〇大会の受け入れ体制整備に係る工事も含めまして、スポーツ施設整備費補助事業により、区市町村に対して財政支援を行ってまいりました。この結果、多くの都民のスポーツ環境の充実、拡大に寄与することができました。
今年度は、誰もが身近な場所で気軽にスポーツを楽しめる環境を整備し、スポーツを通じた共生社会の実現を目指すため、スポーツ環境の整備促進に向けて区市町村が行う取り組みを支援する補助制度を新たに創設いたしました。

斉藤委員 六年間を事業期間としていたということ、また、多くの都民スポーツの環境の充実、拡大に寄与してきたという評価ですけれども、よい取り組みをしてきたということは私も共感をします。
しかし、なぜそれを、スポーツ実施率七〇%という目標にまだ開きがある段階で、そのままとめてしまったのか、疑問です。
補助事業の継続は検討されなかったのかということに対しては、明確なお答えがありませんでしたが、今年度からは新たな補助制度を創設しているということです。
この今年度に新たに始まっているスポーツ環境整備費補助制度の概要について伺います。

鈴木スポーツ推進部長 スポーツ環境整備費補助事業では、スポーツ環境の拡充として、庁舎、コミュニティ施設等の公共施設において、その一部をスポーツ活動の場として整備する工事や、スポーツ施設の暑さ対策など安全で快適なスポーツ環境を拡大する工事、さらに、障害者スポーツの実施を促進するための工事等を対象として支援するものでございます。

斉藤委員 障害者スポーツの実施を促進するための工事等ということが対象に入ったということは、いいところもあると思うんですけれども、全体として、庁舎、コミュニティ施設等の公共施設において、その一部をスポーツ活動の場として整備する工事や、スポーツ施設の暑さ対策など快適な環境を拡大する工事というのが対象ということで、とても限定的な内容になっています。
この点は、五月に、我が党のとや理事が都民からの陳情に合わせて質疑をしていますが、新しい補助制度では、新築や改築が補助の対象にはなっていません。
東京二〇二〇大会を契機として都民スポーツの推進を図っていくことが求められていますが、まさにこれからというときに、都の取り組みが停滞したり、後退するようなことでは不十分だというふうに思います。
先ほどもご答弁にありましたが、都は、スポーツ推進総合計画において、誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しみ、スポーツの力で人と都市が活性化するスポーツ都市東京を実現しますと基本理念を掲げています。
新型コロナの感染症拡大により、スポーツの実施が中断されただけでなく、経済的にも苦しい状況に置かれた都民がスポーツに親しむ機会を広げていくためには一層の努力が必要ですが、都の認識と、今後のスポーツ実施率七〇%を目指してどのような取り組みと展望を持っているのか、伺います。

鈴木スポーツ推進部長 感染拡大を防止しつつ、安全・安心にスポーツに取り組めるようにすることは大変重要でございます。
都では、競技団体が競技の特性に応じて作成するガイドライン等をホームページに掲載して、都民へ広く周知するなど、新しい日常におけるスポーツの推進に取り組んでおります。
また、都主催イベント等では、チェックシートによる参加者の健康管理などを行っているほか、都立スポーツ施設等においては、館内消毒の徹底など適切な感染防止対策を講じて、都民の皆様に安心してご利用いただけるよう運営を行っております。
これらに加え、引き続き、地域スポーツや生涯スポーツの振興など多面的な取り組みにより、都民のスポーツ実施率七〇%の達成を目指してまいります。

斉藤委員 コロナ禍でのスポーツ実施において、ご答弁のとおり、現場では大変な苦労と工夫をされながら頑張っているということ、こうした方々の努力に、私自身も、個人やスポーツ団体の方、また、施設の管理者の方々には改めて敬意の思いですけれども、だからこそ、財政的なことも含めた都の支援やスポーツの機会の拡大のための取り組みの強化が必要だというふうに思います。
日本共産党都議団の調べでは、スポーツ基本法の制定やオリンピック・パラリンピックの東京での開催決定を契機として、全国で、現在、十七の県でスポーツの推進のための条例が制定されているということがわかっています。
幾つかの県に取り組みについて伺いましたが、例えば埼玉県では、二〇〇七年にスポーツ振興のまちづくり条例が制定されてから、スポーツ実施率を二〇%以上向上させてきています。
千葉県では、体育・スポーツ振興条例を制定して、毎年十月に県立のスポーツ施設を無料で開放し、県民のスポーツの機会を拡大しています。
また、オリンピック・パラリンピックの大会、東京開催が決まったということを契機にして、スポーツ振興と推進の条例を制定したというところが多いというのも特徴です。
こうした他県の取り組みに学びながら、オリンピック・パラリンピック大会の開催都市にふさわしく、今こそ東京都でもスポーツ推進条例を策定することが必要だと思いますが、いかがですか。

鈴木スポーツ推進部長 都は、平成三十年三月に東京都スポーツ推進総合計画を策定し、都におけるスポーツ行政の根幹となる考え方としまして、スポーツの力で東京の未来をつくるを基本理念としております。
本計画は、三十の政策指針を掲げ、障害者スポーツを含めた施策を一体的に推進していくものであり、都は引き続き、本計画に基づき都民のスポーツ振興を着実に進めてまいります。

斉藤委員 スポーツ推進総合計画があるからということですけれども、現状でもスポーツ実施率の目標にはまだ遠い状況で、オリンピックの巨大な施設をたくさんつくった後で、都民のスポーツの機会の拡大が停滞になるということでは不十分だといわなければなりません。
都民スポーツの推進を東京二〇二〇大会のレガシーにできるように、条例制定でスポーツ推進の機運や位置づけを高めて取り組んでいくということを強く重ねて求めます。

 

プライドハウス東京のオープンと連携したとりくみ

 

斉藤委員 最後に、プライドハウス東京について伺います。
東京二〇二〇大会に合わせて、LGBTQなどのセクシュアルマイノリティーに関する情報発信や交流の取り組みなどを行うプライドハウス東京がオープンしました。
オリンピック・パラリンピック大会を契機に、団体、専門家や企業、駐日各国大使館やアスリートなど幅広い方々が分野を超えて連携し、セクシュアルマイノリティーへの理解の促進や相談支援を行う重要な取り組みです。
このプライドハウス東京は、当初は、東京二〇二〇大会が開催された翌年、二〇二一年以降での設立を目指していましたが、今回、前倒しで十月十一日にオープンされました。
この経緯についてと、都としての取り組みについて伺います。

田中計画推進部長 プライドハウス東京のホームページによりますと、二〇二一年以降での設立を目指しておられましたが、コロナ禍において、安心してつながりを持てる場所が必要と判断し、設立計画を変更したとのことでございます。
この取り組みは、組織委員会の公認プログラムとして認証されておりまして、都としては、総務局において東京都のメッセージの送付、都の後援名義の使用承認、都民向けの啓発冊子の提供などを行っております。

斉藤委員 前倒しになったその経緯について、プライドハウス東京で行ったコロナ禍におけるLGBTQユースの実態調査から、長期化するコロナ禍でこそ、性的指向や性自認に気兼ねすることなく、安心してつながりを持てる場所が必要だという視点は、とても重要だと思います。
私も、この公開されている調査の結果を拝見しましたが、ふだんから自分の性自認などについて安心して話ができる人や場所を持っていないという方が多い中で、コロナ禍でさらにつながりにくくなっている現状や、ステイホーム中に無理解な家族や同居者の中で孤立してしまう状況、中には、家族から暴力を受けている、自傷行為がとめられないという深刻な実態があるということが示されています。
そうした深刻な実態から、予定よりも早く施設をオープンしたという経過は、当事者に寄り添った大事な取り組みだというふうに実感していますし、こうした取り組みに都が支援していくということの重要性を今とても感じています。
ご答弁では、都としてこのプログラムを後援し、小池都知事のメッセージが寄せられているということです。所管は総務局ということで、このメッセージの内容を伺いましたが、その一部をご紹介したいと思います。
東京都は、人を大切にし、女性も、男性も、子供も、高齢者も、障害者も、そしてLGBTの方も、誰もが希望を持って生き生きと生活でき、活躍できる都市、ダイバーシティーの実現を目指しています、そのため、平成三十年十月、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を制定いたしました、東京都は、本条例に基づき、多様な性の理解を推進してまいりますというものです。
とても重要な認識が述べられているというふうに思います。まさに、この知事の言葉にふさわしい東京都の取り組みが求められていると思います。
多様性と調和という大会理念を掲げるオリンピック・パラリンピック準備局として、LGBTQなどのセクシュアルマイノリティーへの理解や権利の保障の現状について、どのように認識しているでしょうか。

田中計画推進部長 オリンピック憲章では、オリンピズムの根本原則で、性別や性的指向等を理由とする差別の禁止が定められております。
これを受けて、東京二〇二〇大会開催基本計画では、多様性と調和を大会ビジョンの基本コンセプトとしているところでございます。

斉藤委員 ご承知のとおり、オリンピック憲章では、セクシュアルマイノリティーへの差別は禁止されているということは非常に重要な点です。
しかし、今の日本の社会の現状はどうかというと、LGBTQの方々にとって、決して生きやすい社会にはなっておらず、むしろ当事者を傷つけたり、差別する言動が公の場で行われているという状況が続いています。
私の地元の足立区では、区議会議員が、教育で性の多様性を教えたり、法律で守るということになれば、セクシュアルマイノリティーがふえて、足立区は滅びるという趣旨の差別発言を区議会で行いました。
差別をなくして、人権を尊重し、誰もが生きやすい社会をつくっていく、このことに一番の責任を負っている政治家が差別発言をして、人々を分断し、差別を助長するようなことはあってはならないことです。
私は、当事者の方にお話を伺いましたが、社会の理解が少しずつでも進んでいるときに、こうした発言が議会という場で行われたということに本当にショックを受けたということでした。
しかも、このことは、足立区だけでなく、国会議員の立場からも繰り返されているという現状に、セクシュアルマイノリティーへの理解の促進と、差別は許さない社会の実現が喫緊の課題だというふうに痛感しています。
今こそ、オリンピックを通じて、また、その後のレガシーにもつながるように、差別のない社会の実現に向けて踏み出すことが求められています。
LGBTQなどのセクシュアルマイノリティーへの差別の禁止を掲げているこのオリンピック憲章に基づいて、オリンピック・パラリンピック準備局として、性的マイノリティーへの人権意識の普及啓発の促進のために、プライドハウス東京などの取り組みへの支援や、大会時における当事者の方々への配慮、また、大会を契機とした理解の促進など、取り組みを強化していくべきだと考えますが、見解を伺います。

田中計画推進部長 東京二〇二〇大会開催基本計画では、多様性と調和を大会のビジョンの基本コンセプトとしておりまして、大会の運営を担う組織委員会では、職員へのLGBT研修や、性的少数者などの権利の尊重を盛り込んだ持続可能性に配慮した調達コードの策定などを行っております。
さらに、都では、職員に対し、大会に関連してLGBTを含む人権に関する研修等を実施いたしますとともに、大会を支えるシティキャストに対し、共通研修でLGBTを初めダイバーシティーへの理解を深めていただいているところでございまして、引き続き、組織委員会等と連携し、大会ビジョンのコンセプトも踏まえ、大会準備を着実に進めていくこととしております。

斉藤委員 オリ・パラ局として、職員や大会を支えるシティキャストに対して研修を行っているということですけれども、現状にとどまることなく、今後は、セクシュアルマイノリティーへの理解の促進と、誰もが生きやすい社会の実現に向けて、関係各局とも連携を強化していただきたいと思います。
プライドハウス東京への支援や連携など、大会を契機とした取り組みを強化していただくことを重ねて求めて、私の質疑を終わりにします。