2月5日、世田谷で開かれた保育合研の分科会「保育施設での事故を考える」に参加しました。
大田区の認可外施設でお子さんを亡くされたママのお話は本当に胸に詰まりました。風邪を引かないようにするためか、いつも厚着をしてくるように言われて、ロンパースの上にセーターとズボン、その上に園から渡されたオーバーオールで登園した娘さん。園ではその厚着のまま、その上に毛布をかけて暖房をつけた状態で、ミルクも与えられず、脱水症状を起こして娘さんは亡くなったといいます。
それでも当日にお迎えにいくまで連絡がなく、警察が集まっていた保育園の前で、何が起きたのか、どの子が病院運ばれたのかと聞いたら、「この子が運ばれました」と我が子の荷物が差し出されたそうです。スタッフは園児の名前もわからない状態…。あとで調べると園には有資格者がいなく、信じていた園長はただのおばあさんだったとのこと。ずさんな保育の現場で幼い命を亡くされたご遺族のママの話に、私も、参加者の皆さんも涙を抑えきれませんでした。
うつ伏せ寝で亡くなった赤ちゃんの話もありました。保育園での死亡事故の大半の状況を占めている「うつ伏せ寝」。厚労省がやってはいけない、と通達を出しているにもかかわらず、なぜうつ伏せ寝にする保育園があとを絶たないのか。保育士の配置が少なく、泣いている赤ちゃんに向き合うゆとりがない現場に問題がある、と保育士さんたちが声を揃えて言っていたことが印象的でした。
いま各自治体で、保育園の入園結果が届き始めて、入れなかった保護者の悲痛な声がSNSに上がり始めています。待機児童の解消は喫緊の課題です。だけど、心ある皆さんにはぜひ知ってもらいたいことがあります。保育の基準を緩めて保育園をつくるという方法では、赤ちゃんの命に危険がおよびます。こどもの健やかな成長がおびやかされてしまいます。いま政府は、事業者が主導する「こども子育て会議」のもとで、「基準緩和をしないで!」という保護者と保育従事者の声をよそに基準の緩和、弾力化をすすめています。格差が生まれた保育現場でこどもが命を亡くす悲劇が続き、今年に入ってからもすでに2件の死亡事故が起きています。
保育の質は、量と引き換えにしてはならないものです。保護者はどこに行っても安全な保育園にこどもを預けられる環境でなければ、安心できません。保育の質を見極めて保育園を選ぶことは困難だし、保活の熾烈化を招くことにもなります。親にとってこんな不親切な体制では困ります。
保育園のことを決める政治の現場では「子育て支援の充実」というのは誰でもいいます。いまは時流にのって、誰でも「保育園をつくります!」と言うでしょう。しかし、問題は、どのようにして保育園をつくるのか、です。基準を緩めて安上がりに保育園をつくろうというのではこどもたちの命と健康に危険がおよびます。こどもの命を守る砦=保育士さんの配置基準をきちんと守った待機児童の対策が進むように、たくさんの皆さんにご協力いただきたいです。
私も、保育の現場で命を亡くしたこどもたちの声なき声、ご遺族の皆さんの声を置き去りにしない政治を実現するために、全力でがんばる決意です。