ジェンダー平等、平和の祭典という五輪の理念にてらして

> > >

文教委員会 2020年3月18日

斉藤委員 では、私から、大会を通じたジェンダー平等と平和の取り組みについてと、今も質疑がありましたネーミングライツ導入に関する基本方針について質問をいたします。

 

ジェンダー平等の理念にてらして

 

斉藤委員 初めに、ジェンダー平等の取り組みについてです。
二年前の二〇一八年三月八日の国際女性デーに、IOCは、ジェンダー平等、男女平等に向けた二十五の改革提言を発表しました。
各競技の出場者数やチームの人数を平等にすることや、競技役員、コーチの女性の比率を高めること、スポーツにおいてのハラスメントや性暴力の防止、賞金や賃金の格差解消など、スポーツシーンにおいて男女平等を実現していく本格的な提言であるとともに、通常社会にも通じる重要な内容だと思います。
まさに大会後のレガシーとしても、社会に引き継いでいくべき重要な提言だと思いますが、開催都市東京都として、この提言をどのように受けとめて、どのような取り組みを行っているでしょうか。

田中計画推進部長 東京二〇二〇大会開催基本計画では、性別の違いも含め、多様性と調和を大会の基本コンセプトの一つとして掲げておりまして、都は、組織委員会と連携し、この計画に基づき大会準備を推進しております。
また、都も検討に加わり、組織委員会が平成三十年六月に策定した持続可能性に配慮した運営計画第二版では、性別など多様性をともに認め合うといったダイバーシティー・アンド・インクルージョンを、大会の準備、運営において、可能な限り確保することを目指しております。

斉藤委員 大会開催基本計画では、多様性と調和を基本コンセプトにして掲げているということで、これに基づいて大会準備を進めているということです。この計画に示されている、人種や性別、性的指向、言語、宗教や障害の有無などあらゆる違いを肯定し、互いに認め合うことで、平和を維持し、さらなる発展を遂げるというオリンピック・パラリンピックの精神を大切にするということは、とても重要なことだと思います。
同時に、ジェンダー平等のIOCの提言は、性別による格差をなくしていくためにどういう行動が必要なのか、より具体的に指針を示しているものだと思います。今後の東京都の施策にも取り入れるべき大切な視点だというふうに思います。
この提言について、都の関係各局とは情報共有を行っているのか、また、大会組織委員会とは話があるのか、伺います。

田中計画推進部長 性別など多様性を認め合うことなどの重要性につきましては、持続可能性に配慮した運営計画の策定、実施を通じまして、各局との情報共有、組織委員会との連携を進めているところでございます。

斉藤委員 性別等、多様性も認め合うことの重要性について、運営計画を通じてということですが、この提言について具体的に取り上げてはいないというご答弁かなと思います。
東京二〇二〇大会は、この二十五の改革提言が初めて反映される大会になります。IOCも、史上最も男女平等に配慮した大会だと述べていることが報じられています。それにふさわしく、大会のレガシーとして今後に生かしていくためにも、これからも各局とも共有をしていただきたいと思いますが、特に、男女平等、ジェンダー平等の施策を推進している生活文化局とは連携をして、大会レガシーとして引き継ぐ施策の推進につなげていただきたいということを求めておきたいと思います。
こうした中で、女性アスリートたちは、今、美は競争ではないという声を上げています。
IOCのスポンサーの公式サイトでも紹介されていますが、体操のアメリカ代表のシモーン・バイルス選手が、SNS上に蔓延する競技とは無関係の声に対して、自分の実力とは無関係の競争が一つ存在している、美の競争、強制的に参加させられ、毎日さらされている、自分と同じ経験をしたことのある全ての人たちのために立ち上がろうと思うと決意表明しているということが、今月十三日付の毎日新聞で報道されておりますので、見ていらっしゃる方は多いかと思います。
この表明に対して、日本でも、卓球の石川佳純選手など、有名な女性アスリートが賛同してアクションを起こしています。
声を上げている世界各国からの女性アスリートたちの取り組みを応援し、男女平等を推進するための行動が、都としても求められていると思いますが、認識を伺います。

田中計画推進部長 都は、シティキャストの研修におきまして、性別などの違いを尊重し、受け入れることの重要性について理解を深めていただく取り組みや、女子アスリートや指導者向けの冊子を作成し、競技活動の留意点や適切な体調管理等の正しい知識の理解促進を図る取り組みなど、普及啓発に取り組んでいるところでございます。

斉藤委員 女子アスリートや指導者向けの冊子を作成し、正しい知識の理解促進を図る取り組みということをご紹介いただきましたが、具体的にどういうことかと伺いましたけれども、例えば、女性アスリートが過度なトレーニングや減量などを行うことで生理が来ないなどの弊害が来ないように啓発する冊子を作成しているということでした。そのこと自体は大切なことだと思いますけれども、今、女性アスリートが声を上げていることに対しても、開催都市として向き合っていただきたいというふうに思います。
IOCは、性別によるステレオタイプな描写や決まり文句、女性蔑視に満ちた表現を排除するよう求める指針を策定しています。メディアに対して、これを活用するようにと推奨しています。
都としても、IOC任せではなく、特に日本のマスメディアにそうした対応を求める必要があると思いますが、いかがですか。

田中計画推進部長 持続可能性に配慮した運営計画では、大会にかかわる全ての人が、差別やハラスメントなどを経験せず、インクルードされたと感じられる環境で大会が実行されるよう取り組むとともに、大会にかかわる報道の自由などを尊重するものとしております。
今後とも、本計画を尊重し、大会準備を進めてまいります。

斉藤委員 計画に基づいて、大会にかかわる全ての人が、差別やハラスメントなどを経験せずにインクルードされたと感じられる環境、つまり、排除や中傷ではなく、全ての人が尊重されたもとに参加できる大会が実行されるよう取り組むということだと思います。ぜひ開催都市として主体的なアクションを起こしていただくということを求めて、次の質問に移ります。

 

平和の祭典という理念にてらして

 

斉藤委員 平和の祭典としての大会についてです。
ことしは終戦から七十五年目の節目の年です。東京でのオリンピック・パラリンピック大会を、世界に向けて平和への取り組みを発信する大会にするように、我が党は繰り返し求めてきました。
昨年の事務事業質疑では、私も、生活文化局での質疑において、平和の発信を具体的に求める都民の声を紹介して、都の取り組みについて伺いました。しかし、いまだにその具体化は見えてきません。
予定どおり行われれば四カ月後に迫ったオリンピック・パラリンピック大会を、民族や国境を越えた平和の祭典として次世代に引き継ぐ、その具体化についてどう取り組むのかという、今定例会の我が党の代表質問に対して、知事は、開閉会式で、平和を含め、共生、復興、未来等、八つの基本コンセプトを掲げて演出の検討が進められていると答弁しました。
それは、平和について、開閉会式でほかの基本コンセプトと同列で何か演出するだけということなのでしょうか。

田中計画推進部長 開閉会式は、国内外が注目する世界最大規模のセレモニーでございまして、東京及び日本を世界にアピールする貴重な機会でございます。
組織委員会が策定した東京二〇二〇大会開会式・閉会式に関する基本コンセプトでは、平和は、共生、復興、未来等の八つのコンセプトの一つに位置づけられております。
現在、組織委員会におきまして、基本コンセプトに基づき開閉会式の準備を進めているところでございます。

斉藤委員 ご答弁にあったとおり、国内外が注目するセレモニーであり、東京及び日本を世界にアピールする、こういう、またとない機会なわけです。
代表質問での答弁では、知事はさらに、東京二〇二〇大会をしっかりと成功に導くことが、東京から世界に対して発信する最大の平和のメッセージとなると答弁しましたが、これはどういう意味でしょうか。
大会を行うだけで、特段、平和についてのメッセージはなくてもいいということなのでしょうか。

田中計画推進部長 オリンピック憲章では、平和な社会の推進がうたわれております。
都といたしましては、組織委員会と連携いたしまして、大会を成功させ、平和の祭典として次世代に引き継ぐことが重要であると認識しております。
そのため、東京二〇二〇大会をしっかりと成功に導くことが、東京から世界に発信する最大の平和のメッセージになると考えております。

斉藤委員 ご答弁のとおり、オリンピック憲章では、平和な社会の推進がうたわれています。それに対して、大会を成功に終わらせることが最大の平和のメッセージといいますけれども、平和の祭典として次世代に何を引き継ぐのか、これが問われているというふうに思います。今の状況ですと、東京都には積極的な取り組みが全く見えてこないということが本当に残念です。
冒頭でも申し上げましたが、ことしは戦後七十五年という節目の年です。そして、日本は、世界で唯一の戦争被爆国です。
広島、長崎を初め、世界百六十三カ国と地域、七千六百十四都市、国内では千七百二十八自治体が加盟している平和首長会議は、ことし二〇二〇年までに核兵器廃絶を目指す行動指針、二〇二〇ビジョンを策定しています。
平和首長会議では、二〇一八年十一月に開催した国内加盟都市会議総会で、二〇二〇大会に向けて平和の取り組みを進める報告をしています。このときに、我が党の星見都議が、この報告について、都として把握しているかどうかを質問しましたが、このときには、内容について承知していないという答弁でした。
その後に、この内容については確認されたのでしょうか。また、中身について、知事には報告しているのでしょうか。

田中計画推進部長 都道府県は平和首長会議に参加しておりませんが、公表されている資料につきましては承知いたしております。

斉藤委員 中身については確認されたんだと思うんですが、知事には報告しているのでしょうか。

田中計画推進部長 都といたしましては、平和首長会議に直接参加してございません。
会議の内容などの詳細は承知しておりません。

斉藤委員 平和首長会議が二〇二〇大会に向けてということでやっている。そのことに対して、何も関知を、こちらからちゃんとしていかないということは、本当に冷たいなというふうに思います。
オリンピック大会の閉会日の八月九日というのは、ご存じのとおり、長崎の原爆の日です。世界に向けて平和を訴える、またとない機会に、長崎や広島の方だけでなく、平和を願って活動している市民、国民が大きな期待を寄せています。
平和首長会議は組織委員会に対して、八月九日の閉会式が被爆七十五年の長崎の平和の日に当たることから、開会式、閉会式等での平和のメッセージの発信や、平和に取り組む若者の関連イベントの参加を申し出ています。
昨年十月の平和首長会議の国内総会の資料の中には、組織委員会の意向が確定し、何らかの平和の取り組みが可能となった場合、または組織委員会からの平和の取り組みについて要請があった場合には、その取り組みを進めることとし、各加盟都市にも参加を呼びかけたいと記載されています。
これに対して、東京都は、組織委員会から確認を行い、何らかの対応は行っているのでしょうか。

田中計画推進部長 組織委員会に確認いたしましたところ、長崎市などから、閉会式の演出に関する申し入れがあったと聞いております。
開閉会式の具体的な演出につきましては、現在、組織委員会において検討を進めております。
都といたしましては、組織委員会と連携しながら、都民、国民の期待に沿った大会となるよう、引き続き取り組んでまいります。

斉藤委員 ぜひ、この平和首長会議、長崎、広島を初めとする、そういうところの声を酌んで、東京都としても積極的に組織委員会と連携をして形をつくっていただきたいというふうに思います。
二〇一八年八月のスポーツ紙には、長崎市の田上市長のインタビューが記載されています。高齢化が進み、被爆者のいる時代が終わり、被爆者がいない時代が始まろうとしている、被爆八十周年を健康に迎えられる被爆者はどれだけいるのか、だからこそ、節目として七十五周年に全力を注ぐと市長がいっています。さらに、平和首長会議にとっても、二〇二〇年は特別な年で、ぜひ協力、連携できたらと願いを込めたと掲載されています。市長として平和を願う重みのある言葉だと思います。
東京都には、開催都市として主体的に取り組み、組織委員会と積極的に連携をしていただきたいというふうに思います。
そして、七十五年前のこの終戦は、広島、長崎だけでなく、東京都にとっても重みのあるものです。東京では、長崎の原爆投下での死者を超える十万人もの都民が、大空襲によって一夜にして亡くなりました。
東京都でも、このオリンピック・パラリンピック大会での平和の取り組みをしてほしいという、戦争体験者や平和を願う方々からの声が届けられています。
今回の東京二〇二〇大会は、戦災を生き抜いてこられた方々にとっても、二度とない、平和の発信を世界に向けて行われる機会にもなります。
この重みを、都はどのように認識しているでしょうか。

田中計画推進部長 先ほどのご答弁の中でも申し上げましたが、オリンピック憲章では、平和な社会の推進がうたわれております。
大会を成功させ、民族や国境を越えた平和の祭典として次世代に引き継ぐことが重要であると認識いたしております。

斉藤委員 オリンピック憲章では平和な社会の推進がうたわれているということ、ぜひその具体化に向けて踏み出していただきたいというふうに思います。平和を願い、世界に発信してほしいという国民の立場に立っていただいて、積極的に組織委員会と連携することを求めて、次の質問に移ります。

 

ネーミングライツの問題について

 

次に、先ほど報告、質疑もありましたネーミングライツ導入に関する基本方針案について伺います。先ほどとは角度が違った質疑になります。
本方針案は、二〇二〇大会後も都民のスポーツ施設として利用する新規恒久施設の六つの施設に、企業名や商品名等を通称名として付与するネーミングライツを導入するためのものです。
まず、伺いたいと思いますが、都の新規恒久施設の施設運営計画では、この六つの施設の収支見通しが試算されていますが、おのおのの施設ごとの収支の額をお伺いします。

鈴木開設準備担当部長利用促進担当部長兼務 施設運営計画における各施設の収支見込みでございますが、まず、収支見込みがマイナスとなる施設といたしましては、海の森水上競技場が約一・六億円、夢の島公園アーチェリー場が約〇・一億円、カヌー・スラロームセンターが約一・九億円、大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場が約〇・九億円、東京アクアティクスセンターが約六・四億円となっておりまして、有明アリーナにおきましては約三・六億円のプラスということになってございます。

斉藤委員 ただいまのご答弁の六施設の中で、唯一、黒字なのが、五輪のバレーボール会場として整備した有明アリーナだということです。
有明アリーナはコンセッション方式で運営し、五輪後、二十五年間もの運営権を、電通を代表とするグループ会社に約九十四億円の格安で売却しました。五百二十億円もの都の財源を投じてつくった施設にもかかわらず、都立施設の位置づけがなく、スポーツ振興の目的も明記されず、都として利用料金の上限の設定もない。今後、二十五年間、運営内容などが都議会にかかる仕組みもありません。電通グループは、コンサートを初め、イベント誘致等で大きな利益を得ることが可能となります。
一方、今の計画では、メーンアリーナのスポーツ利用は、年間わずか六十日となっています。
そして、二十五年の契約期間終了後、大規模修繕は都の負担、都の財政で行うことになります。
黒字が見込めるおいしいところは民間事業に提供し、大規模修繕などは都が負担する。こういう都民にとって割の合わない、そういう状況だというふうに思います。
この新規恒久施設の施設運営計画には、新規恒久施設の収益向上策として、ネーミングライツの導入、企業広告の獲得の検討が挙げられています。これを受け、ネーミングライツ導入に関する基本方針案の導入の目的では、新たな財源確保とともに、都民サービスの向上につなげるためとしていますが、本当に都民へのサービス向上につながるのかどうかというのは考える必要があるというふうに思っています。
日本で初めてネーミングライツを導入して有名なのが、都有施設である多目的スタジアムの東京スタジアムです。運営は、東京都と京王電鉄株式会社などが出資している監理団体の株式会社東京スタジアムです。
この東京スタジアムのネーミングライツの契約経緯と実績を伺います。

小室スポーツ推進部長 株式会社東京スタジアムは、長期的に安定した収入を確保するため、味の素株式会社をネーミングライツパートナーとして、二〇〇三年三月にネーミングライツを導入いたしました。
これまでの契約期間と金額の実績は、メーンスタジアムである味の素スタジアムとセカンドフィールドであるアミノバイタルフィールドを対象に、第一期は、二〇〇三年三月からの五年間で合計十二億円、第二期は、二〇〇八年三月からの六年間で合計十四億円、第三期は、二〇一四年三月からの五年間で合計十億円でございます。
現在の期間である第四期は、西競技場であるAGFフィールドを対象に追加し、二〇一九年三月からの五年間で合計十一億五千万円となってございます。

斉藤委員 東京スタジアムの場合は、五年から六年ごとに、十億から十四億の契約金が入る。今回で四回目の更新がされているということです。
この契約は、株式会社東京スタジアムと味の素株式会社とで調印が行われておりますので、ネーミングライツ料は株式会社東京スタジアムの収入であり、都には入っているわけではありません。
基本方針案では、ネーミングライツ取得者は、都にその対価を支払うとなっていますが、施設の運営形態にかかわらず、契約は東京都が行うのでしょうか。また、契約で得たネーミングライツ料はどのような会計処理になるのか、伺います。

鈴木開設準備担当部長利用促進担当部長兼務 新規恒久施設におけますネーミングライツ契約者についてでございますが、契約主体は、東京都とネーミングライツの取得者であるネーミングライツパートナーとなります。
また、契約に基づきますネーミングライツ料は、東京都の一般会計に歳入されることになります。

斉藤委員 東京スタジアムとは違って、契約主体は東京都であるということが確認できました。また、ネーミングライツ料は、都の一般会計の歳入になるということです。東京都全体の一般会計の収入ですから、特にオリンピックのレガシーとしてのスポーツ振興や新規恒久施設でのサービス向上に使われる仕組みがあるわけではありません。
また、今回のネーミングライツ命名権で、企業は掲示請求権を得ます。具体的には、東京都に、ホームページや広報印刷物等において企業名や商品名等の通称を積極的に使用させることや、都に、バスや鉄道、地図業者、警察まで通称名の使用等を呼びかけさせるなどの請求権です。企業は、大きな広告宣伝効果を得ることができます。
また、ネーミングライツパートナーには、命名権に加え、各種附帯権利を付与することができるというふうになっています。
命名権に附帯する権利にある施設の使用権というのはどういう内容か、教えてください。

鈴木開設準備担当部長利用促進担当部長兼務 命名権に附帯する権利でございます施設の使用権は、パートナーが主催するイベント等に限り、年間の上限日数を定めた上で、優先的に無償または有償で使用できる権利でございます。
ネーミングライツを導入している先行事例でも、こうした使用権を認めている例がございます。その中には、パートナーが地元貢献のために使用しているような例もございます。
今後、各施設の特性や利用見込み等も踏まえながら、使用権の上限日数や有償、無償の扱いなどについて検討していくこととしてございます。

斉藤委員 使用権の上限日数や有償、無償の扱いなどについて検討ということで、とても曖昧に聞こえるんですけれども、命名権に附帯する権利にある施設の使用権の具体的な例として、東京スタジアムでは、ネーミングライツパートナーに対して、施設の使用権はどのように設定されているのでしょうか。

小室スポーツ推進部長 株式会社東京スタジアムでは、ネーミングライツパートナーである味の素株式会社に対し、一年当たり十日間、無償で味の素スタジアム及びアミノバイタルフィールド、AGFフィールドの全施設を使用できる権利を付与してございます。
斉藤委員 東京スタジアムでは、ネーミングライツパートナーである味の素株式会社が、一年当たり十日間、全施設を無償で使用できる権利を付与しているということです。都が進める新規恒久施設の六施設へのネーミングライツの導入でも、年間の上限日数を定めた上で、優先的に無償または有償で使用できる権利と、先ほどもご答弁がありました。これは、ネーミングライツパートナーになった企業にとっては魅力的な権利だと思います。
しかし、都民にとってはどうなのか。先ほど、有明アリーナでは、コンセッション方式で企業による運営が優先される中、メーンアリーナのスポーツの利用は、年間わずか六十日に制限されているということを指摘しました。その他の新規恒久施設でも、ネーミングライツパートナーは優先できる一方で、都民や一般スポーツ団体の利用枠は、その分は少なくなります。最も大事な都民の施設利用権が削られていく、そういうことだと思います。
また、都民に混乱をもたらすのが、施設に二つの名前があるということです。
東京スタジアムのネーミングライツ名を、なぜ二〇二〇大会での会場表記に使っていないのか、お伺いします。

川瀬競技・渉外担当部長 オリンピック憲章において、スタジアム、競技会場またはその他の競技グラウンドでは、商業目的の設備、広告表示は許可されないとされておりますことから、立候補ファイルの段階から東京スタジアムという名称を使用しているところでございます。

斉藤委員 オリンピック憲章に基づき、商業目的のネーミングだから、味の素スタジアムという通称は使えないということです。
こうした商業目的の通称規制が、FIFAなど世界のスポーツ大会ではほかにもあります。このため、本来の条例名である施設名を使う場合とネーミングライツの通称を使う場合が混在しています。
加えて、今回対象にしている公共施設である新規恒久施設が企業名や商品名の通称になることによって、企業の民間施設と勘違いする都民が生まれることもあり得ると思います。
こうしたことを通して、新規恒久施設へのネーミングライツ導入は、企業にとっては魅力的な話ですが、都民のスポーツ権向上につながる保証がないといわざるを得ません。都民の利益を最大限にするということならば、スポーツの振興のため、あるいは環境整備のための予算をしっかりと確保するということが本来ではないかと思います。安易な導入については見直しをする必要があるというふうに思います。
今、東京都に必要なのは、スポーツビジネスを優先させることではありません。都民のスポーツ施設利用を保障する運営に力を注ぎ、都民のスポーツ要求を正面から受けとめた環境整備の予算を増加させることを求めて、質問を終わります。